スウェーデンの留学がおすすめしづらくなっている理由として留学生に対する学費が導入されたことを別記事で書きましたが、それでも僕はスウェーデン留学を断然おすすめします。まずは理由を以下に、箇条書きします。
スウェーデンのレベルの高い大学教育
- この調査は、リソース、環境、コネクティビティ、アウトプットという4つの指標から構成されており、スウェーデンは、産業界との共同論文(joint publication)と、人口当たりの論文数で首位をとっています。
- 世界の大学ランキングの200位以内にランクインしたスウェーデンの大学は5つ。世界ランキング(THER 2014-2015)は、以下のとおり。(ちなみに日本も5大学が200位以内にランクイン)
大学 | 順位 |
カロリンスカ研究所 | 44位 |
ストックホルム大学 | 98位 |
ウプサラ大学 | 98位 |
王立工科大学 | 126位 |
ルンド大学 | 119位 |
スウェーデンは学問が、古い、大規模、そしてノーベル賞
- ハーバード大学が創設されたのは1636年で、ストックホルムの学問の始まりは1567年まで遡ります。
- 人口200万人規模(仙台くらい)のストックホルムには、18の大学とカレッジ(短大)があり、学生数は90,000人に及びます。
- うち、世界61カ国から10,000人以上の留学生と客員研究員を招聘。
- 雇われている研究者は約2万人。
- そして忘れちゃいけないノーベル賞。物理学、医学生理学の受賞者はカロリンスカ研究所が選定をしています。(ストックホルムの大学生なら、ノーベル賞受賞講演を無料で聴くことができます)
若い人にやさしい
- 若い人が多い気がする。(雑感)
- 大学の敷地内に学生が運営するクラブやパブがあって、安く飲めます。
- 学割がどこでも使えます。電車のチケットはもちろん、SUBWAY、カフェ、携帯料金、Apple製品、家電屋までなんでも。
- 学割証明書がスマフォのアプリだからこれまたどこでも使えて便利。なんでもかんでも電子化しちゃうのもスウェーデンっぽいです。
Studentkortet i mobilen | mynewsdesk.com
- 学生じゃなくても、「若者割」というのがある。(スウェーデン国鉄では、切符購入時に学割とは別で、16歳から19歳の若者と、20歳から25歳の若者という身分で買うことができる。)
ストックホルムの物価は高いのか?
- 東京と比較しても、確かに物価は全体的には高い。
- 特にレストランでの外食は東京よりも約67%も高い※
- しかし、家賃と食料品は東京よりも安い
- 家賃は12.5%、食料品は10.6%安い※
- 結果、家賃を含めた消費者物価は東京よりも約1%安い
- 主観的にも、外食さえ控えればそんなに物価は東京とかわらないと思います。家賃は、学生向けなら月5万円以下で借りられます。
スウェーデンの学費は高いのか?
- EU圏以外の留学生には学費が2012年から導入され、一年間がっつりフル単なら、130万円近くかかります(専攻による)。
参考記事:スウェーデンへの大学院留学がおすすめしづらくなってる理由3つと、それでもなんとかして留学する方法
- しかし一年間あたりの留学生の学費が、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(アメリカ)が約410万円、ケンブリッジ大学(イギリス)約260万円と比べると、そこまででもない※。
- ちなみに、スウェーデン人、EU圏内の学生はもちろん学費無料。スウェーデンも2012年まで日本人学生でも無料でした。
- さらにちなむと、スウェーデン人の学生は、学生補助金なるものがもらえる。90万人近くのスウェーデンの学生がこれを利用している。
ストックホルムは、国際人にオープンな街
- 英語が母国語じゃない国で最も英語がうまい国、スウェーデン
- Education First という言語教育の営利会社が60カ国を対象に行った調査によると、スウェーデンは2012年、2013年2年連続で世界トップ。第2位にノルウェーそしてオランダ、エストニア、デンマーク、オーストリア、フィンランドと続く※。
- 最近のスウェーデンの子どもたちは、スウェーデン語よりも英語でいい成績を収めるようにまでなってしまっているくらい※、英語が日常化している。
- ゆえに、スウェーデン語が話せない留学生でも、コンビニでも道端でも問題なくスウェーデン人と会話でき生活できる。(へんな訛りがなく、ネイティヴ並に早くないのでで聞きやすい)
- 大学の学生組合が留学生向けにいろんなアクティビティを用意してくれている。(ストックホルム大学では、大学案内や新歓はもちろん、留学生と現地学生とのバディープログラムや、IKEA家具買いツアー、小旅行、ワークショップなどいろいろ企画しています。)
英語圏にないスウェーデン社会の魅力
- 英語圏のアメリカやイギリスなどでは、世界中の学生が留学をしてくるので、もはや留学生の存在が「当たり前」であるため留学生に埋もれてしまう。
- 一方英語圏でなく、人口規模も小さいスウェーデンのような国ではなんだかんだ留学生は、「留学生」でいられる。
- もちろん日本人は英語圏に比べて少ないので、語学留学でよくある「日本人で集まっちゃって語学力が向上しない」ってことがあまりない。
- スウェーデン語は、同じゲルマン語族だけあり英語と相性もいいので習得しやすい。
- 英語圏の国は、日本人にとってある程度開拓されているので知られていることも多いが、スウェーデンのことはまだまだ未開拓なとこもあるのでレア感がある。
- 社会民主主義、人権大国、人道主義、平等主義、福祉先進国、のスウェーデンという国それ自体が、経済大国の日本と対をなすとこが多々あっておもしろい。
- 一方で、室内では靴を脱いだり、ちょっと人見知りっぽかったり、中庸という価値観(スウェーデン語ではLagom)があったり、機能主義だったり、非宗教主義的だったり、ヲタクが多かったりと日本と似ているとこも多い。
これからの社会のオルタナティブに会える国、スウェーデン
いろいろ書きましたが、なんだかんだ僕がスウェーデン留学を勧める最大の理由は、スウェーデンという国、そのものの魅力です。日本でありえないようなことがいっぱい起きている社会です。高福祉高負担国家として、高い税金や福祉、学費無償は有名ですが他にも日本では考えられないようなことが、いっぱいあります。
例えば、
- 難民として登録された移民や、大学院できた留学生などはスウェーデン語の授業が無償でうけれたり、
- しかもある一定期間内にその授業を修了すると報酬としてボーナスがもらえたり(すでにこれは終了しましたが、2ヶ月で卒業した僕は18万円もらいました)
- 育児休暇を390日間とれたり、
- そのうち80%の給料が保証されていたり、
- その390日間を夫婦間でシェアできたり、
- 大学生は国から毎月お小遣いをもらっていたり、
- 若者の選挙投票率が80%近くだったり、
- 18歳の国会議員がいたり、
- 教育大臣が28歳で最年少だったり、※
- 若い人の政治意識がやたら高かったり、※
- 確定申告がSMSだけでできたり、
- 買春禁止法があったり、
- 若者が立ち上げた余暇活動施設があったり※
- SNSを使った直接民主主義政党なるものがあったり※、
- 元受刑者が受刑者を支援する団体があったり※
……etc.
他にもまだまだありますし、これからも、もっと発見していくのでしょう。僕は、この民主主義、人道主義、平等主義、を掲げるスウェーデンが、が実際にどのようにしてこの理想を実現しているのかを辿っていくのが本当におもしろいと思います。上述した日本でありえないことが何でそうなるのか、そのロジックがわかったときに、この国の魅力を思い知らされます。(たまにスウェーデンのこういう魅力を全く知らない留学生がいますが、それには本当に絶望します。さっさと帰れと思います。)
そして僕は、この発見の積み重ねが、日本のこれからの社会を形成していくオルタナティブになると信じて止みません。日本の経済・社会状況は知れば知るほど絶望していきますが、同じ時代にスウェーデンのようなオルタナティブをみるとまだまだ社会はよくできると、励まされます。
ちなみにアメリカももはや沈みゆく大船です。マイケル・ムーアがヨーロッパで何を学び、アメリカの何に再び失望したのか、このドキュメンタリーをみれば一目瞭然です。
単に語学力あげるとか、旅したいとかそんなちっぽけな目的じゃなくて、将来の日本社会を良くしていくためのオルタナティブを探す旅を、スウェーデンにしに来ませんか?スウェーデンは裏切りませんよ。
これが僕がスウェーデン留学を本気でおすすめする理由です。