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【保存版】スウェーデンの若者の選挙の投票率が高い理由がわかる12記事

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選挙が終わり、あいかわらずの低い投票率を嘆く声があちこちで聞こえます。これに応じる形で、スウェーデンの投票率の高さについてTwitterでのバズが急増しています。

というわけで、これまでブログで書いてきた「スウェーデンの若者の投票率の高い理由」についての記事をまとめました。問題は、若者の投票率をあげるには何をすれば良いか、そのパラダイムシフトのヒントがつかめるはずです。

なぜスウェーデンの若者の投票率は高いのか ①

スウェーデン投票率

作成:両角達平 (@tppay)

筆者自身がスウェーデンの若者の投票率の高さの理由について最初に書き始めたのがこの記事です。

以下は1960年から2006年までのスウェーデンの選挙の投票率の推移を表したグラフです。近年は低下傾向にありますがそれでも70%前後は少なくとも維持しているのがわかります。そしてやはり若年層は多世代と比べても低い値であることは昔から変わらない事がよくわかります。

2010年の総選挙において、18歳から29歳のスウェーデンの若者の投票率は79%にもおよび、2006年から約4%の増加率でした。

スウェーデンの若者の投票率の高い理由②(政党青年部)

30歳以下の政治家が日本の10倍近くもいるスウェーデンのその理由の一つに、間違いなく政党の青年部に所属している若者の数の多さが挙げられと思います。16歳から25歳の若者の3.5%が政党組織所属(過去10年間で変化なし)しています。この割合はヨーロッパの中でも多い方です。政党本部のいいなりならず、若者を代表して独立した主張と政策を主張しているところが、スウェーデンの政党青年部の強さです。

 

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スウェーデンの政党青年部の特徴は、政党青年部が母体となる政党本部とは、政策的にも独立して活動をしているところです。同じ政党なのに本部と青年部で方針が異なった場合は、青年部として本部へ提案をするのです。

またこちらの記事では、スウェーデンの中道右派の政党の青年部の活動についてまとめています。

16歳から25歳の若者の青年部所属率は3.5%で、過去10年間でみるととくに大きな変化はなく相対的に安定しており、他の欧州諸国よりも高い水準を保っているとのことです。

スウェーデンの若者投票率が高い理由③(学校選挙)

日本でも実施されている模擬選挙との圧倒的な違いは、その規模とそれを支える国からの全面的な補助と言えるでしょう。

 

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「学校選挙が果たしている役割は大きいと思います。学校選挙の参加によって生徒は、少なくとも選挙のやり方がわかるので、実際の選挙への敷居を下げていることは間違いないでしょう」

学校選挙2014とは、スウェーデンの国政選挙が実施されるたびに行われるプロジェクトだ。日本でいう中学生と高校生が主な対象で、実際の選挙に先駆けて生徒が投票を学校で行うというものだ。もちろん投票は「模擬」なので実際の国政選挙に結果が反映されることはない。

スウェーデンは学校で「政治的中立」をどのようにして保っているのか?

スウェーデンでは政党を学校に招いて政治的ディベートをよく開いています。とくに総選挙の前に開かれることが多く、学校で実施される「模擬選挙」に併せて開かれています。ではその際にどのような原理原則で、政治的な中立性を保っているのでしょうか?

「学校は、価値中立的とはなり得ない」とキッパリ認めている点です。これはどういうことかというと、学校に広く浸透すべき価値観とは中立であるべきものの、根本的な「民主主義という価値観」は絶対的な価値としているということです。とくにスウェーデンでは民主主義的な価値観のひとつに非差別の原則が強調されています。

日本では学校で政治について教えられることがありません。それは教育基本法が定める「政治的中立」への過剰な配慮が理由とされています。ではスウェーデンではどのようにして政治的中立が学校で保たれているのでしょうか。具体的にみていきます。

政治に関わる若者が「増えている」国、スウェーデン

スウェーデンの子ども・若者白書の「影響力と代表制」という部分をまとめました。指標自体が面白いです!

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  • 18歳〜25歳の若者の議員数増加
  • 2012年の16歳から25歳の若者の政治活動参加率 71%
  • 40%の若者が自分の地域に影響を与えることに興味があり、17%が政治家に意思表明する機会があると感じている
2010年 18歳〜21歳の若者の投票率 79% 18歳〜25歳の若者の議員数増加 16歳から25歳の若者の3.5%が政党組織所属(過去10年間で変化なし) 2012年の16歳から25歳の若者の政治活動参加率 71% うち50%の若者がインターネットを介して社会的な問題への支持を表明 40%の若者が自分の地域に影響を与えることに興味があり、17%が政治家に意思表明する機会があると感じている。

スウェーデンの「インターネット×直接民主主義」政党の超ハイテク民主主義がすごすぎる

日本でもインターネッ党を立ち上げるという話しが一時ありましたが、どうやらこちらでは長らくそういう政党があったようです。民主的な意思決定をするためのソーシャルメディアを活用して実際にインターネットと直接民主主義を実現している例は、本当に興味深いです。

 

インターネット上の 「直接民主党」のウェブサイトに登録した会員たちが、特定の争点について議論した後、評決で 立場を決め、直接民主党の議員はその結果に忠実に従うのです。つまり議員は「伝達役」に徹するだけなのです。

デモエックスとは、インターネットを活用して、市民の直接的な政治運営を実現した、まさに「直接間接並存政治」主義の政党です。そんなわけで、今年の6月にこの団体を訪問してきたので簡単に紹介します。ぜひこのプラットフォームを日本語化して、新しいメディア、ネット、民主主義についてまずは「書くディベート」始めてみませんか?

 

ネットによる熟議民主主義は可能か?ー可能です。スウェーデンはこうやってます

直接民主党に初めて訪問してから数年後、再びお話を伺いました。そこではCrowd Poll という新しい取り組みが始まっていました。

スウェーデンは様々な指標において高度な民主主義を実現していることで知られています。それは高い投票率にもあらわれています。そんなスウェーデンの民主主義をさらに大きく前進させようとしている取り組みがあります。 それがインターネット…

若者はどうすれば政治に影響をあたえることができるのか?スウェーデンの「若者会」の代表に聞いてみた

スウェーデン若者会がおこなっていることは、若者の政治的な影響力を高めることです。

改めて、若者がどのようにして政治、社会に参加していくことができるのか、スウェーデン全国若者会(SUR)の代表に聞いてみました。

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若者が政治に影響をあたえ、民主的な権利を実現する方法は大きくわけて2つあるとガブリエルはいいます。一つは、「参加型」です。例えば、市議会を傍聴すること、請願書を書くこと、政治家や政策形成者と直接会うことなどです。もう一つは、「表現型」です。これには、メディアへの発信、公の場でのスピーチなどが当てはまります。

日本では、選挙権が18歳に引き下げられ、未成年の若者が票を投じました。今後の若者の参加のあり方について、多方面で議論が起きています。改めて、若者がどのようにして政治、社会に参加していくことができるのか、スウェーデン全国若者会(SUR)の代表に聞いてみました。

スウェーデン緑の党で活躍する若き政治家が語る、若者が政治に参加する理由 (動画)

スウェーデン環境党員の若手政治家が、なぜ政治活動をするのか、いち若者として何を思っているのかを、語っている動画が視聴できます。後半には、スウェーデンで留学をした日本人の若者が自身の経験と政治科学・教育・社会科学的な視点から解説をしています。

 

今日わたしたちが決定する事柄が未来の世代に影響を与えます

スウェーデンの若者はどうしてそんなに政治参加の意識が高いのでしょうか? その理由をスウェーデン緑の党で活躍する若き政治家、ユーリ・シルヴァ氏(25歳)にたずねます。

スウェーデンに学ぶ、選挙権を18歳に下げたその先

某政党の機関紙への寄稿記事です。スウェーデンで18歳でも国会議員になれる理由、若いスウェーデンの政党青年部、若者の声を届けるチャンネルの多様性などについて、ガッツリ書いています。

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スウェーデンの例では一連の活動を「教育」という言葉で位置付けていないともいえる。つまり、民主主義的な社会参加を促進するには、学校教育の授業で政治を教えれば全て事足りるとは考えていないことだ。言うならば、若者が政治的な参加を実現していくには、若者を取り囲む環境や制度を変革していくことが重要ということである。

先日、某政党から寄稿をお願いいただき、ザーッと書き下ろしました。原稿が完成し、文書ブログでも公開する許可を頂きましたので、こちらにて本邦初公開いたします。テーマが「政治参加」でかつ政党機関紙なので漢字をゴリッゴリに使って書いてみました。ここでは見出しを入れるなどして、ちょっとブログ調にして読みやすくしてお届けいたします。

スウェーデンの若者政策と余暇活動

スウェーデンの若者がこのように活躍できるのは、そのための社会の土壌とそれを支える社会制度があるからと言えます。例えば、教育を担当する省庁とは別で「若者政策」を担当する省庁があったり、若者の社会的な影響力を保障することを若者政策の目標にしています。

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若者は問題解決の対象なのではなく社会のリソースなのです

スウェーデンの若者政策の対象年齢 EUの若者白書では15歳から25歳を若者政策の主な対象年齢としており、国際的な法律や統計では15歳から24歳と明確に定めたものもあります(らしい)が、は基本的には国によって異なり、欧州各国でも30歳までと定めていたり、18歳までの子ども政策とそれ以上の若者政策を分離している国もあるなか、スウェーデンでは13歳から25歳を若者政策の対象にしているとのことです。

スウェーデンの教育・子ども若者政策の今と日本への提言

僕がスウェーデンに留学することになったのは2010年に参加したスタディツアーが直接のきっかけです。このブログでも紹介してる様々な若者関連の団体を訪問しヒアリングをしました。

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ここで紹介されていることは、すぐには日本には適用できないこともありますが、それでも同じ地球上にこういうことが実現できている国があるということは希望を与え、日本が歩む道への示唆を与えてくれます。民主主義を「実践的にする」ということがわかるはずです。

子ども若者政策・シティズンシップ教育の充実を掲げる同団体の調査研究の一環として実施したツアーでは、スウェーデンの青年事業庁、学校教育庁、LSU(全国青年協議会)、全国若者会、全国生徒会、学校選挙2010、政党青年部、学校などを訪問しヒアリングを実施してきました。

おまけ: スウェーデンはどのようにして体罰を廃止したのか

スウェーデン若者と政治のことだけじゃあれなので、このトピックも追加です。人権大国のスウェーデンでも昔は体罰を肯定する人が多数を占めていましたが、それがどう変化していったのか気になる方はぜひ。

「理に適った体罰」や「法的に容認される懲罰」といった概念は、子どもを親の 所有物とする認識から生まれます。そのような「権利」は、弱者に対する強者の力 に基づいており、暴力と辱めによって維持されます。

スウェーデンが子どもへのあらゆる形態の暴力的な取扱いや、精神的虐待 に当たる取扱いを禁じる法律を導入してから、2013年時点ででちょうど34年。この法律を導入したことで、スウェーデンは世界で初めて育児手段とし ての暴力を禁じた国になった

 

以上です。

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