選挙が終わり、あいかわらずの低い投票率を嘆く声があちこちで聞こえます。これに応じる形で、スウェーデンの投票率の高さについてTwitterでのバズが急増しています。
というわけで、これまでブログで書いてきた「スウェーデンの若者の投票率の高い理由」についての記事をまとめました。問題は、若者の投票率をあげるには何をすれば良いか、そのパラダイムシフトのヒントがつかめるはずです。
- なぜスウェーデンの若者の投票率は高いのか ①
- スウェーデンの若者の投票率の高い理由②(政党青年部)
- スウェーデンの若者投票率が高い理由③(学校選挙)
- スウェーデンは学校で「政治的中立」をどのようにして保っているのか?
- 政治に関わる若者が「増えている」国、スウェーデン
- スウェーデンの「インターネット×直接民主主義」政党の超ハイテク民主主義がすごすぎる
- ネットによる熟議民主主義は可能か?ー可能です。スウェーデンはこうやってます
- 若者はどうすれば政治に影響をあたえることができるのか?スウェーデンの「若者会」の代表に聞いてみた
- スウェーデン緑の党で活躍する若き政治家が語る、若者が政治に参加する理由 (動画)
- スウェーデンに学ぶ、選挙権を18歳に下げたその先
- スウェーデンの若者政策と余暇活動
- スウェーデンの教育・子ども若者政策の今と日本への提言
- おまけ: スウェーデンはどのようにして体罰を廃止したのか
なぜスウェーデンの若者の投票率は高いのか ①
筆者自身がスウェーデンの若者の投票率の高さの理由について最初に書き始めたのがこの記事です。
2010年の総選挙において、18歳から29歳のスウェーデンの若者の投票率は79%にもおよび、2006年から約4%の増加率でした。
スウェーデンの若者の投票率の高い理由②(政党青年部)
30歳以下の政治家が日本の10倍近くもいるスウェーデンのその理由の一つに、間違いなく政党の青年部に所属している若者の数の多さが挙げられと思います。16歳から25歳の若者の3.5%が政党組織所属(過去10年間で変化なし)しています。この割合はヨーロッパの中でも多い方です。政党本部のいいなりならず、若者を代表して独立した主張と政策を主張しているところが、スウェーデンの政党青年部の強さです。
スウェーデンの政党青年部の特徴は、政党青年部が母体となる政党本部とは、政策的にも独立して活動をしているところです。同じ政党なのに本部と青年部で方針が異なった場合は、青年部として本部へ提案をするのです。
またこちらの記事では、スウェーデンの中道右派の政党の青年部の活動についてまとめています。
スウェーデンの若者投票率が高い理由③(学校選挙)
日本でも実施されている模擬選挙との圧倒的な違いは、その規模とそれを支える国からの全面的な補助と言えるでしょう。
「学校選挙が果たしている役割は大きいと思います。学校選挙の参加によって生徒は、少なくとも選挙のやり方がわかるので、実際の選挙への敷居を下げていることは間違いないでしょう」
スウェーデンは学校で「政治的中立」をどのようにして保っているのか?
スウェーデンでは政党を学校に招いて政治的ディベートをよく開いています。とくに総選挙の前に開かれることが多く、学校で実施される「模擬選挙」に併せて開かれています。ではその際にどのような原理原則で、政治的な中立性を保っているのでしょうか?
「学校は、価値中立的とはなり得ない」とキッパリ認めている点です。これはどういうことかというと、学校に広く浸透すべき価値観とは中立であるべきものの、根本的な「民主主義という価値観」は絶対的な価値としているということです。とくにスウェーデンでは民主主義的な価値観のひとつに非差別の原則が強調されています。
政治に関わる若者が「増えている」国、スウェーデン
スウェーデンの子ども・若者白書の「影響力と代表制」という部分をまとめました。指標自体が面白いです!
- 18歳〜25歳の若者の議員数増加
- 2012年の16歳から25歳の若者の政治活動参加率 71%
- 40%の若者が自分の地域に影響を与えることに興味があり、17%が政治家に意思表明する機会があると感じている
スウェーデンの「インターネット×直接民主主義」政党の超ハイテク民主主義がすごすぎる
日本でもインターネッ党を立ち上げるという話しが一時ありましたが、どうやらこちらでは長らくそういう政党があったようです。民主的な意思決定をするためのソーシャルメディアを活用して実際にインターネットと直接民主主義を実現している例は、本当に興味深いです。
インターネット上の 「直接民主党」のウェブサイトに登録した会員たちが、特定の争点について議論した後、評決で 立場を決め、直接民主党の議員はその結果に忠実に従うのです。つまり議員は「伝達役」に徹するだけなのです。
ネットによる熟議民主主義は可能か?ー可能です。スウェーデンはこうやってます
直接民主党に初めて訪問してから数年後、再びお話を伺いました。そこではCrowd Poll という新しい取り組みが始まっていました。
若者はどうすれば政治に影響をあたえることができるのか?スウェーデンの「若者会」の代表に聞いてみた
スウェーデン若者会がおこなっていることは、若者の政治的な影響力を高めることです。
改めて、若者がどのようにして政治、社会に参加していくことができるのか、スウェーデン全国若者会(SUR)の代表に聞いてみました。
若者が政治に影響をあたえ、民主的な権利を実現する方法は大きくわけて2つあるとガブリエルはいいます。一つは、「参加型」です。例えば、市議会を傍聴すること、請願書を書くこと、政治家や政策形成者と直接会うことなどです。もう一つは、「表現型」です。これには、メディアへの発信、公の場でのスピーチなどが当てはまります。
スウェーデン緑の党で活躍する若き政治家が語る、若者が政治に参加する理由 (動画)
スウェーデン環境党員の若手政治家が、なぜ政治活動をするのか、いち若者として何を思っているのかを、語っている動画が視聴できます。後半には、スウェーデンで留学をした日本人の若者が自身の経験と政治科学・教育・社会科学的な視点から解説をしています。
今日わたしたちが決定する事柄が未来の世代に影響を与えます
スウェーデンに学ぶ、選挙権を18歳に下げたその先
某政党の機関紙への寄稿記事です。スウェーデンで18歳でも国会議員になれる理由、若いスウェーデンの政党青年部、若者の声を届けるチャンネルの多様性などについて、ガッツリ書いています。
スウェーデンの例では一連の活動を「教育」という言葉で位置付けていないともいえる。つまり、民主主義的な社会参加を促進するには、学校教育の授業で政治を教えれば全て事足りるとは考えていないことだ。言うならば、若者が政治的な参加を実現していくには、若者を取り囲む環境や制度を変革していくことが重要ということである。
スウェーデンの若者政策と余暇活動
スウェーデンの若者がこのように活躍できるのは、そのための社会の土壌とそれを支える社会制度があるからと言えます。例えば、教育を担当する省庁とは別で「若者政策」を担当する省庁があったり、若者の社会的な影響力を保障することを若者政策の目標にしています。
若者は問題解決の対象なのではなく社会のリソースなのです
スウェーデンの教育・子ども若者政策の今と日本への提言
僕がスウェーデンに留学することになったのは2010年に参加したスタディツアーが直接のきっかけです。このブログでも紹介してる様々な若者関連の団体を訪問しヒアリングをしました。
ここで紹介されていることは、すぐには日本には適用できないこともありますが、それでも同じ地球上にこういうことが実現できている国があるということは希望を与え、日本が歩む道への示唆を与えてくれます。民主主義を「実践的にする」ということがわかるはずです。
おまけ: スウェーデンはどのようにして体罰を廃止したのか
スウェーデン若者と政治のことだけじゃあれなので、このトピックも追加です。人権大国のスウェーデンでも昔は体罰を肯定する人が多数を占めていましたが、それがどう変化していったのか気になる方はぜひ。
「理に適った体罰」や「法的に容認される懲罰」といった概念は、子どもを親の 所有物とする認識から生まれます。そのような「権利」は、弱者に対する強者の力 に基づいており、暴力と辱めによって維持されます。
以上です。
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