スウェーデン総選挙2018 By: Greger Ravik – CC BY 2.0 今更ですが、2018年のスウェーデンの総選挙で当選した国会議員のデータまとめます。講演でも2014年の社会民主党政権のデータばかり使っていたので、いい加減アップデートしようと思いまして。2018年の総選挙の全過程はこちらでまとめていますので、参照してください。 投票率は驚愕の87%で、若い世代の投票率は約85%でほぼ差がありませんでした。今回は、選出された国会議員のデータをみてみます。 スウェーデンでは政党の議席数は、総選挙での政党の得票率に応じて割り当てられます。選挙の結果、各政党に割り当てられた議席はこの通りでした。
- 社会民主党 (S) 100 議席
- 穏健党 (M)70 議席
- スウェーデン民主党 (SD) 62 議席
- 中央党 (C) 31 議席
- 左党 (V) 28 議席
- キリスト教民主党 (KD) 22 議席
- 自由党 (L) 20 議席
- 環境みどりの党 (MP) 16 議席
ちなみに349人の議員のうち、初当選が108人です。選挙結果の詳細はこちらの記事も参考にしてください。 スウェーデンは、男女平等が進んでいると評されますが、それは国会議員のジェンダーバランスからも明らかです。2018年の選挙の結果、349議席の議席の内訳は、男性が188人(53.9%)、女性が161 人(46.1%)となりました。 このようにして、男女比が半々に近いのは、1994年の選挙で社会民主党政権が政党の(候補者の)投票用紙に「男性一人につき女性を割り当てる」という「ジッパーモデル」が導入されてからと言われています。以降、その他の政党でも導入されるようになりました。 その結果、このグラフのように約半世紀をかけて男女比がトントンになってきたのです。スウェーデンもかつては男性ばかりが占める国会だったのです。 日本は、今回の参院選で女性の当選者比率は22%を上回りましたが半数には「道半ば」です。 スウェーデンではかつて18歳の国会議員が生まれたり、前政権でも約10%が30歳未満の政治家だったりと、若手政治家が異様に若いということで知られていましたが、今回の選挙後どうなったのでしょうか。 当選者は、国会のホームページでリストになっており、アルファベット順、政党別、選挙区別、で参照できるようになっています。生まれ年順でも確認が可能なので、そこで国会議員の年齢をリストにしてみました。(文末に添付) 計算の結果、2018年のスウェーデン社会民主党連立政権下の国会議員の平均年齢は、45.3歳ということが明らかになりました。中央値年齢は 46.0 歳です。最年少の国会議員は22歳(1996年生)で、最年長の国会議員は85歳(1933年生)。実に、63歳の差です。年齢の多様性がすごいですね。20代の国会議員は24人なので、全国会議員の6.87%が30歳未満ということになりました。30歳を含んで、30歳以下とするとその数は35人となり、全国会議員の約10%が30歳以下ということになります。 ついでに政党別の平均年齢も出してみました。
いずれも当選時の年齢です。
結果、最も平均年齢が若い政党は「スウェーデン民主党」となりました。(最年少で、22歳が2名選出されています。)平均年齢が最も高いのは、自由党でした。(中央値年齢でいうとキリスト教民主党です)
なぜ極右ポピュリスト政党から最年少議員が?
スウェーデン民主党は、現在、欧米で支持を拡大しているいわゆる、極右ポピュリスト政党です。今回の選挙でも党勢拡大が予想されましたが、結果は第3政党にとどまりました。スウェーデン民主党の躍進は、これまでもいろいろと物議を醸してきした。
ヨーロッパ、とりわけスウェーデンは経済格差が小さい国として有名ですが、一方で国内では経済格差がかつてないスピードで進んでおり、住まいや出自などによる隔離化が表面化しています。事実、投票率もそれらが変数となっています。
そのような状況の中で、不満のはけ口として移民や難民が仕事を奪っているとしてスケープゴート(生贄)にして、支持を拡大してきた排他的極右政党という構造は他の欧米変わらないでしょう。この背景には、右肩下がりの経済、グローバリゼーション、新自由主義の拡大、代議制民主主義の限界などがあるといわれています。
そのポピュリスト政党から、このように若い2名が送り出され、選出された理由に「若者の極右化か!?」と単純に言い切ることはできません。なぜなら、スウェーデンはもともと政党青年部の活動が活発で
・13歳から活動に加わることができること ・若年層の5%が政党の党員として活動しているという高い参加率
・そして被選挙権年齢が18歳であること