スウェーデンはどのようにして体罰を廃止したのか?

日本では体罰問題が注目を浴びています。スウェーデンではどうなのでしょうか?

「もしスウェーデンの公共の場で親が子どもに対して少しでも怒鳴っていたり、腕を強くつかんでいたりしたら通報されるよ!」

とスウェーデンで子どもを育ている友人が話していましたが、実際どうなのでしょうか。ちょっと調べてみると、国際NGOセーブ・ザ・チルドレンがこのような冊子を作っていました。

スウェーデンでの体罰禁止の状況がよくわかるこの冊子の内容を簡単にまとめました。

世界で初めて体罰を法律で禁止した国がスウェーデン

スウェーデン 体罰

 

子どもへのあらゆる形態の暴力的な取扱いや、精神的虐待を禁じる法律がスウェーデンで導入されたのは1979年です。この法律を導入したことで、スウェーデンは世界で初めて育児手段としての暴力を禁じた国になりました。

かつてはスウェーデンでも体罰は容認されていた

その成果もあって今では、体罰にたいする世論は昔とは大きく変わったということです。

このグラフをみてもわかる通り、1960年代では体罰に対する肯定的な態度をとっていた人が90%を超えていたのが、2000年代には10%前後に減少しています。体罰を容認していた学校法を廃止しようという動きが1945年にあったときでさえ、ある議員は体罰をせずにどのようにして学校の秩序を保つのかという懸念を表しており、大半の親でさえ「教師は生徒を叩く権利を有するべきだ」と指摘していたということです。子どもの人権大国のスウェーデンでも、昔は体罰が容認されていたんですね。

スウェーデンで体罰が禁止されるようになった理由

しかし、最終的には1958年には学校における体罰が全面的に禁止されました。それは1930年代から社会で以下のような変化があったからということです。

①多くの国で子どもや子ども期に関する新たな認識の普及
②小児科医・児童心理学者・教育者同士の体罰や精神的虐待に当たる取扱いが子どもに及ぼす悪影響についての知識の深まり
③その広報キャンペーンをNGOが後押し

しかし、この段階ではまだ「学校における体罰の禁止」に留まっていましたが、最終的には家庭内における体罰・虐待を全面禁止するにいたったのです。

体罰をするのは「子どもは親のもの」という考えが原因

「教師や親には子どもをしつけるための体罰はいいではないか!」
そのような考え方は序章を担当した欧州評議会人権理事のトマス・ハマーベリの言葉で一掃されます。

「理に適った体罰」や「法的に容認される懲罰」といった概念は、子どもを親の所有物とする認識から生まれます。そのような「権利」は、弱者に対する強者の力に基づいており、暴力と辱めによって維持されます。 

また冒頭にも記した、スウェーデンでは親以外の人が虐待の被害を発見した時には通報が可能というのも納得です。こういう制度の裏付けがあったのでね。

公共または民間部門で子どもや若者と接する仕事をし、その仕事を通じて 「子どもの保護が必要かもしれない」という情報を得た人は誰でも、社会福祉機関に知らせる法的義務を負います。この法律が適用されるのは、子どもや青少年と接する仕事をしている人だけですが、子どもが不当な取扱いを受 けているという疑いを抱いた国民は、社会サービス法の第14章第1条により、 社会福祉機関に通知することを求められます。 (スウェーデンにおいて)

さらに、体罰のない社会を実現するために実際に「あなたはお子さんを叩かずにうまく育てられますか?」と題した法務省の冊子を、子どものいる全世帯に配布したとのことです。これは英語にも翻訳されているのでぜひ読んでみたいですね。

是非この日本語訳の冊子を読んでみてください。スウェーデンに限らず2004年の時点で、欧州評議会の議員会議は、ヨーロッパ全域での体罰禁止を呼びかけているのですが、そういったの世界の潮流が読み取れると思います。こちらからダウンロード可能です。

こちらの関連書も合わせてどうぞ。

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