ストックホルム大学教育学研究科にこの5月に提出した修士論文が公開されました。
修士論文のタイトルは?
題して「Reinterpretation of Youth Participation: Longitudinal and International Comparative Study on Youth Policy in Sweden and Japan」
なので、「若者参画の再解釈︰スウェーデンの日本の若者政策の国際・経過比較研究」といったとこでしょうか。
研究の問いは、スウェーデンの若者はなぜ日本の若者と比べて社会参加しているのか、その根拠は若者政策の相違にあるのではないかという仮設に基づいています。
修士論文の内容は?
内容は以下のようになります。
まず、初めに世界的に若者政策が注目されている概況をまとめ、その上で若者参画政策の世界的な潮流があることを整理しました。その後、そもそも若者参画とは何かという定義から始まり、有名なロジャーハートの子ども参加の梯子とのその周辺・批判的な議論や、さらにどこに参加するのか?どのような時に参加は促されるのか?、といった視点をミシェル・フーコーなどのポストモダニストの「権力関係の転換」からヒントを得て再解釈をして参加の梯子をアップデートした枠組みを作りました。
その枠組みと、政策の目標や内実その社会背景を整理するための枠組みを用いて以下の2つをざっくり分析しました。
1. スウェーデンと日本の若者参画が若者政策の歴史的発展の中でどう変遷してきたか
2. 90年代以降の両国の法制化された若者政策
1は結果的に文献レビューになってしまいましたね。
というのもその時代の若者政策自体が存在したりしなかったり、あっても「若者政策』ではなかったり、あっても若者参画政策がなかったり…. そういうこともあって、2の共通の枠組みがより多い現代の若者政策をいくつかピックアップして分析することにしたのです。
その後、両国の若者政策と若者参画の違い、共通点や課題などを最後に指摘しました。これまでかなり質的な研究ばかりによっており、政策を比較研究するのは大変で特に方法論がこれで大丈夫かと不安でしたが、うちの大学院では大丈夫でした。稚拙な点が随所に散りばめられていますが、よかったらご参照ください。
2010年に初めてスウェーデンに訪問してからこれまで60回近くのインタビューをして来てユースワークや若者参画の現場実践の取り組みを「血肉化」することはある程度できたように思いますが、それを支える歴史や政策への理解が薄いままでした。そういう意味で今回は珍しくフィールドワークではなく、文献をひたすら読んでいく試みとなりましたが、それはそれでとても良かったと思っています。
今後はこの論文をもとに日本の学会誌などにも投稿していけるようにしていきたいですね。
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