ユニセフ・スウェーデン主催の子どもの声を政治家に届けるためのパレードに参加してきました。ストックホルム大学で子どもの文化の勉強をしている吉成さんのお誘いで急遽参加することになりましたが、けっこうおもしろかったです。
ストックホルムの観光スポット、ガムラスタンを一刀両断して国会議事堂までパレード(17時なので真っ暗でめちゃくちゃ寒い)。
風船やプラカード、お菓子やラップパフォーマンス、DJなどでお祭り騒ぎでした。国会について参加者の子どものラップパフォーマンスの後、スウェーデン子ども大臣(実際はBarn och äldreministerなので「子ども・高齢者大臣」ですかね)であるMaria Larsson にトラックに上がってもらって、子どもとディスカッション。ノルウェーでは子どもの権利条約が法律になっていること、大人はいつもいいわけばっかして話しをそらすこと、昔から何も変わってきていないことなどを訴えていました。
「大人は話し合ってばっかりだから、今すぐ決めてくれ!今すぐここにサインしてくれ!」
すると大臣は、もごもご言い訳をし、何年か後には…なんて言うと
「それじゃあ、その時、もう僕らは子どもじゃないじゃないか!」
とがつーんと。
「私の政党は賛成だけど、他に2党賛成してない党があって…もごもご」
で、結局引かない子どもを前に大臣はサインしてしまいました(吉成さん談)。あっさりしてた〜
実際調べてみるとこういう背景があったみたいです。現在、スウェーデンには200万人の子どもがおり、そのうち子どもの権利条約が保障している教育の機会、健康、安心・安全へアクセスができずに「社会的排除」を受けている子どもが増えており、ユニセフはこういった状況を世に訴えるために、「15歳なのに廃れた人生/スウェーデンの社会的排除をうけている若者の声(“I’m only 15 years, but sometimes it feels already as it is run” / Young people’s voices on social exclusion in Sweden)」というレポートや下記の「こどもとしての私の人生」というドキュメンタリー動画を制作してきました。
他にも、スウェーデン中の子どもからユニセフに直接送られてきたメールなども公開されておりなかなか酷な内容です。
子どもの権利条約の第2条に ”締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。” という記述があるにも関わらず、実際のスウェーデン社会ではまだ子ども達の声は聞かれず、子どもは未だに社会的な排除を受けている。これを変えるためにユニセフ・スウェーデンは以下の提言を行いました。
- 政府の子どもの社会的排除をなくすための指標を伴う政策の向上
- 学校、ソーシャルサービス機関、子ども精神科との連帯の強化
- 居住地域、育っきた環境に関わらず、全ての子どもが平等な教育を受けられるようにすること
- 子どもの権利条約をスウェーデンの法律とすること
- 社会的排除を受けている子どもを、その解決策を導く際に参画させること
今回はこのキャーンペーンの一環として、電話やメール、SMSで集まった子ども達の2万件以上の声をまとめ、政治家に直接届けようというものだったということです。
大臣はあっさりサインしましたが果たして今後どうなるんでしょうか。注目していきたいところです。