「青少年教育関係施設基礎調査(令和2年度調査)」の報告書が完成したので共有します。
青少年教育関係施設基礎調査とは?

この調査は、国立青少年教育振興機構が3年に一度実施する調査です、全国の青少年教育施設の実態把握を目的としています。文科省の社会教育調査とも類似していますが、こちらのほうがよりテーマ性が高いと言えます。日本におけるユースセンター的な存在である青少年教育施設の調査になります。
そもそも青少年教育施設とは?ユースセンターはどう位置付けられる?
「青少年教育施設」とは、子どもや若者が学校外で多様な体験を通じて、自主性や社会性、市民性を育むことを目的とした社会教育施設です。制度上は社会教育法第23条に基づき、都道府県や市町村が必要に応じて設置することができます(任意設置)。文部科学省の2019年の調査によれば、青少年教育施設は次の6類型に分類されており、平成30年度時点で全国に897施設が存在しています:
① 少年自然の家
② 青年の家(宿泊型)
③ 青年の家(非宿泊型)
④ 児童文化センター
⑤ 野外教育施設
⑥ その他の青少年教育施設
ところで「ユースセンター」という名称は、制度上の正式名称ではなく、文部科学省や社会教育法における法令上の定義は存在しません。しかし、ユースセンターと呼ばれる施設は、実際には「青年の家(非宿泊型)」や「児童文化センター」、または「その他の青少年教育施設」などに該当あるいは横断的にまたがる施設として存在していると言えそうです。たとえば、文部科学省の調査報告では、「青年の家(非宿泊型)」は次のように定義されています:
「青年の日常生活に即した交流と研さんの場を提供し、青年の研修、団体活動の助長を図るための施設」
この定義は、ユースセンターが提供している居場所・相談・交流・参加・活動支援などの機能と重なるところがあります。実際に、以下のような地域の事例があります:
• 札幌市「若者支援総合センター(ユースセンター)」 → 非宿泊型の社会教育施設として位置づけられ、13〜30歳程度の若者を対象に、居場所提供、相談、就労支援、イベント等を行っています。
• 名古屋市「ユースクエア」(正式名称:青少年交流プラザ)
→ 「青年の家(非宿泊型)」の枠組みで設置され、スタジオや多目的室、相談機能、ボランティア活動支援などを備えた中高生〜30歳対象の拠点施設です。
このように、ユースセンターは制度上の用語ではなくとも、実際の運用や現場の機能面では日本においては青少年教育施設の一類型としてみなすことは可能かと思います。
青少年教育施設で子ども・若者はどんな参画をしているのか?
今回は、私の研究テーマを反映し、青少年教育施設における「利用者及び青少年の参画」を調査票の質問項目に盛り込みました。青少年教育施設がどれだけ利用者である子ども若者の声を聴いた民主的な運営をしているのだろうか?という問いを起点としています。たとえば、運営協議会があるのかどうかとか、構成員の年齢層はどうか、アンケートなどは活用されているのかどうか、といった具合です。(詳細の結果はP.59から)
調査結果 :

・施設の運営に関するアンケートを実施している施設は、全体の約6割となった。
・施設の運営について協議する「運営協議会」は、設置・開催している施設が約4割を占めている。
・運営協議会の構成員の最も多い年齢層は、「50 代」が 55.5%と最も多くなっている一方で、「30代以下」は全体で 2.8%に留まっている。


・女性職員の割合は、全体では「1割未満」が 155 施設(25.1%)と最も多くなっており、「1~2割程度」とあわせると、約 49%の施設で女性職員の割合が2割以下となっている。
・40 歳未満の職員の割合は「1割未満」が 198 施設(32.0%)と最も多くなっている。
…いかがでしょう。子ども若者のための施設なのに子ども若者が参画できていない実態があるのではないでしょうか。
このあたりの調査結果を関連づけた論考は報告書のP.66「青少年教育施設における子ども・若者の参画の実態と課題 」において書かせていただいたので、どうぞご覧ください。調査票のデザインから、発送、集計、分析まで多くの方にお世話になりました。ご協力いただき、本当にありがとうございました。
日々の現場の活動や実践に役立てていただければと思います。報告書は以下から閲覧が可能です。



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