ルーマニアのユースワーク研修に参加することになった経緯
ことの始まりは、2023年2月に国立青少年教育振興機構の国際比較調査の一環でルーマニアにいったときに遡ります。この間、ヨーロッパへの実地調査をコーディネート引き受けてくれていたルーマニア若者政策分野で活躍するある人物からルーマニアでのユースワーク研修に日本から参加しちゃえば?という提案をいただいたのでした。
この2月に北欧入りした時にも彼からさらにプッシュがあったので、私のほうからユースワークコミュニティ(ユースワークキャンプをきっかけに発足したディスコードコミュニティ)内で以下のように呼びかけたのでした。
ルーマニア・ユースワーク研修参加者募集!
昨年、ルーマニアのユースワーク団体を訪ねた縁で今年の7月にルーマニアで開催されるユースワーク研修に日本から誰か参加しないかという、熱いお誘いが来ています!参加費は航空券代だけ負担であとは、主催団体もちという美味しいお誘いです。ぜひご検討ください!
以下、概要を抜粋して要約したものになります。詳細は添付ファイルを確認ください。興味ある方、こちらに反応ください。また、YWCのディスコードに参加していない方にこの文を外部に送っていただいてもOKです!
テーマ:ノンフォーマル教育とメディアリテラシー
主催団体のRomania Humanis Associationのスタッフは、ユースワークの10年以上の経験があります。研修ではこれらのツールをユースワークにおいて具体的なスキルと戦略とともに実践的に理解していくことを目的としています。
サブテーマ:メディアリテラシー
デマやフェイクニュースが増加する昨今、メディアリテラシーの向上が喫緊の課題となっています。この研修では、参加者は、効果的なファクトチェックの方法や方針について知り、複雑なメディアの環境にある若者をサポートする方法について検討します。
全体参加者:30人(6〜7か国から)
時期:2024年7月13-19日
場所:ルーマニアのBusteni地方(ステキな山岳地帯!)
宿泊場所:Vila Doi Ponei https://www.doiponei.ro/
日本からの募集人数:最大5人
求める参加者像:若者とかかわる経験を有し、ノンフォーマル教育ツールの利用スキルを向上させる意欲があり、基本的な英語に適度な習熟度を持つ個人(基本的にプログラムはすべて英語なので、海外経験があっても少なくとも3ヶ月以上英語留学していた人じゃないと置いてけぼりにされると思います)
費用:宿泊代、1日3食、現地交通費は、主催団体負担。現地までの飛行機代のみ参加者負担。
主催:Romanian Humanist Association
助成:EU エラスムスプラス
このように募集をかけたところ最終的に5名で派遣が決まりました。
今回の研修では、参加型で各国でワークショップをホスティングする時間が設けられていました。お題は以下の通りでした。
各組織は、若者向けのメディアリテラシーに関する革新的なアプローチを紹介するワークショップや活動を主催します。使用する教材は、国レベルまたは組織レベルのベストプラクティスに基づき、事実確認ツール、偽情報やフェイクニュースへの対策、デジタルメディアスキルの向上、その他関連する側面を含めることができます。
日本チームは渡航まで時間が取れず、現地入りして様子を見ながらワークショップをねることとしました。
いざ出発
というわけで7月12日、羽田空港に集合して旅立ちました。

イスタンブール経由でブカレスト入りです。
空港に着くと、主催団体の代表がお出迎えしてくれました。そのまま研修先へ移動です。

ブカレストから車で2時間ほどのブシュテニという避暑地のようなところまで移動しました。

昼前に到着すると、素敵なヴィラが迎えてくれました。

午後は時差ぼけ直しに軽く昼寝。その後、続々と参加者が到着しました。

ヴィラの外で集合して、自己紹介のワークショップ。

それぞれの「名刺」を作って自己紹介し合う時間でした。今回、ブルガリアの参加者の中で日本語を話せる人がいたこともあり、このようなワークをすることになりました。
参加者は、ブルガリアから5名、イタリアから2名、ラトビアから2名、マルタから2名、ポーランドから3名、ポルトガルから3名、日本から5名、そしてホストするルーマニアから10名で、合計32名。男女比は2:3で女性の方が多め。参加者の年齢は、40代から10代で平均は20代後半くらい。特にブルガリアやルーマニアからは10代、20代前半の若者の参加者が多めでした。
5日間のスケジュールはご覧の通り。

前半は、代表国同士がチームとなって課題になっていたワークショップを主催しました。後半は、具体的なツールや実践の開発や自分が代表しているNGOや組織を紹介し、どんな取り組みが今後できそうか意見交換、という流れです。途中のCultural Visit Dayではブシュテニ周辺の観光地を巡るとのことでした。
到着日は旅の疲れもあったので早めに床につきました。
研修1日目
朝8時に朝食、9時からワーク開始です。

最初にエナジャイザー(アイスブレイク)をして、ペアを作って以下の問いについてインタビューする時間をとりました。
あなたの国の若者グループにおけるメディアリテラシーの状況はどのようなものですか?
現在、メディアリテラシースキルの向上に取り組んでいますか?
私は、イタリアからの参加者にインタビューをし、ポーランドの参加者からインタビューを受けました。いざ、国レベルでの状況や取り組みについて聞かれて、自分自身、専門家でもないのであまり語れないし、適当なことを言っていることに気づきました。
その後、今度は国ごちゃ混ぜのグループになって以下の問いについて考えました。
- メディアリテラシーとは何ですか?
- メディアコンテンツを分析する際に考慮すべき主要な要素は何ですか?
- メディアは私たちの考え、感情、行動にどのような影響を与えますか?
- メディアの制作、使用、規制に関する倫理的な考慮事項にはどのようなものがありますか?
その後全体で、輪をつくり、以上の問いについてグループごとに簡単に発表し共有。それぞれの立場から知っていることを出し合っていく時間となりました。

そもそもの今回の研修のテーマが「メディアリテラシー」であるので、ある程度のことは知っている参加者の方が多い印象を受けました。

ルーマニア:ファクトフルネス
休憩を挟んで、最初の国別アクティビティの開始。まずはルーマニア。
まず最初にファクトフルネスのクイズに取り組みました。

日本語版はこちらです。

このクイズは今は亡きスウェーデンのカロリンスカ研究所の偉大なる研究者ハンス・ロスリングの著した、Factfullness をベースに作られたもので、3択問題に応えていくと、自分のバイアスがいかんに偏っていて古い情報からのアップデートができていないかに気づかされる優れ物です。私は一度解いたことはあったので(とはいえ)正解率は63%でした。
思い込みを乗り越えるには人間には、分断本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能などの 10の思い込みがあることを踏まえて、データを用いて正しく世界を見る習慣を身につけることがリマインドされました。
最後にGapminder や以前、ルーマニアと他国で共同制作したファクトフルネスに基づいてワークショップをするためのワークブックが紹介されました。
その後、フィシュボウル(金魚鉢)というアクティビティを実施。

輪の内側と外側に分かれて、内側の席に座っている人が論争的なテーマについて賛成派と反対派に分かれて議論。外側に座っている人は発言したくなったら内側の人の肩を叩いて交代し、議論を続けるというもの。テーマは、民主的な社会においては独裁者を排除する法案を可決すべしかどうか、などメディアリテラシーを超えて論争的なものばかりでした。
ここで時間切れになって終了。個人的には、この時間でそれぞれの参加者の振る舞いやコミュニケーションがファクトフルネス的だったかどうかという視点で振り返りができたらよかった感じました。
ブルガリア:AIとは?
続いてはブルガリア。ブルガリアチームは具体的なAIツールをさまざまに紹介するプレゼンテーションと、AIを活用する際の良いプロンプトの入力方法について紹介。

ブルガリアチームからは、国内におけるメディアリテラシー教育や、ユースワーク界隈での取り組み、オンラインでのいじめが増えていることが報告されました。そして後半では、AIについての説明がありました。
AIとは、コンピューターが特別に設計されたアルゴリズムを通じてデータを理解、分析、学習する方法。AIは行動パターンを記憶し、それに適応する応答を提供したり、行動の変化を促したりすることができます。AIは機械学習、ディープラーニング、自然言語処理から成り立っています。
このようにAIの認識を整理した上で、日々我々はどれくらいAIを使いこなせているのかどうかをいくつかの問いかけに答えていくことで明らかにしていきました。
そのあとは、ペアになって、一人は人間、一人はAIになりきって、プロンプトを正しく指示してAIの相方を動かしてみようというワークをやりました。これが結構おもしろくて、支持されたプロンプトに従ったり従わなかったりしてAIになりきることで、プロンプトの出し方を丁寧にする必要があるということに気付かされました。
ラトビア:クリティカルシンキングのテスト
休憩後、今度はラトビアチーム。テーマは、「クリティカラルシンキング」。まず、ラトビアの国内の取り組みの紹介で、ラトビアは、国を挙げてメディアリテラシー教育に力を入れているという報告がありました。その次に行ったの以下のクリティカルシンキングのテストです。このテストは、ラトビアディベート協会とラトビア英国協会(British Council)との共同で作成されたものです。

全24問を答えればクリティカルシンキングの力がどれだけあるかを測れるというものでした。

が、内容があまりに難しすぎて、制限時間以内に答えることができませんでした。途中から内容を和訳していたにもかかわらず、内容があまりに欧米のコンテキスト寄りだったせいかとても苦労しました。

しかし、回答完了後の解説などは丁寧に書いてあった印象があるので、また研究したいです。
ポルトガル:ファクトチェックのツール
1日目の最後はポルトガルチーム。
ポルトガル勢は、ファクトチェックに関連する具体的なツールを紹介。ポルトガルではフェイクニュースをファクトチェックするサイト Poligrafo (https://poligrafo.sapo.pt/) が存在し、フェイクニュースを専門家が精査し、その信憑性をパラメーターで表示するという仕様になっています。

他にもAI検索機能と出典提示が優秀なPerplexity、右派と左派のどちらにより読まれたりシェアされているかがわかるニュースサイト Ground News 、ゲームやホームページの作成が瞬時にできるClaudeが紹介されました。
最後に1日のリフレクションをして、これで1日目終わりです。食事は毎回、ルーマニアの手料理が出され、夜は参加者は各々自由に過ごしました。
研修:2日目
ポーランド:LARPで学ぶフェイクニュース
2日目はポーランドからスタート!ポーランドはE-LARPの実践を紹介。Eは教育、LARPは、Live Action Role Playing (game)の略で、「ゲームのキャラクターになりきって物語や戦いを演じる体験型のアナログゲーム」とされています。このLARPにメディアリテラシー教育を組み込んだゲームを開発した(教材)のでそれをやってみようというワークでした。

設定は、暴君が政権をとったある国が舞台。参加者は、暴君に従っている側近、暴君派だけどこれでいいのかと思っている側近、密かに革命を企てている人、政府の広報をしっかり市民に行き渡らせようとする人、広報をフェイクニュースにしようとする人、ジャーナリストなどの役割を一人一人が分担します。1日1回、政府から広報が発布されて、それに対して、それぞれの役割を踏まえたコメントややり取りをします。これを数回繰り返して、最後に革命が起こり政権交代が起きた時に、審判の日を迎えます。一人一票、誰を残して誰を刑に処すかを投票。そんな設定で展開されるゲームでした。
個人的にはLARPに慣れていなかったので、全体像を掴むのにかなり時間がかかってしまいました。慣れている人だったら楽しめると思いました。
マルタ:ファクトチェックの方法
マルタの参加者からは、ファクトチェックの具体的な方法についてのレクがありました。

以下の写真のように、FACTSのイニシャルをとって、ファクトチェックする際の視点について紹介いただきました。

F.A.C.T.S.の説明
- F: Fact-Checking(事実確認、意見と比較して事実や主張を検証する)
公平性:情報は偏りなく提示されているか? - A: Author credibility(著者の背景と信頼性の確認)
著者は誰で、どのような人が発信をしているか確認すること - C: Cross-referencing(他の情報源と比較する)
情報は最新のものか?複数のソースを当たっているか? - T: Trustworthiness of source, Transparency(情報源の信頼性の評価)
透明性:情報収集に使用された情報源や方法は明確でアクセス可能か? - S: Story context – ストーリーの文脈を分析し、潜在的なバイアス、フィルターバブル、エコーチェンバーを特定して追加の潜在的バイアスを識別すること。記事やニュースには、何かしらの恣意性が入って何かのストーリーを伝えようとしている可能性があるからです。
以上の観点から記事やニュースを読み解こうという、大変簡潔でわかりやすいインストラクションが共有されました。後半のワークではFACTSの視点と具体的なテクニック(例えばGoogle検索の際に”クオテーション”でキーワード検索すると完全一致検索しか表示されないなど)で、ニュースを読み解く時間を持ちました。
イタリア:フェイクかどうか?
昼食を挟んで、イタリアのワーク。はじめにイタリアにおけるメディアリテラシーの状況のレクがありました。続いて、フェイクニュースっぽい記事や画像をだけをグループで閲覧して、これはフェイクかどうかを当てるワークをしました。

このタイミングでやるか?と思いましたが、色々知った後だとあのツール使いたい、ここを確認したいとうのが改めて確認できました。
日本:若者への情報提供・メディア教育はいかにあるべきか?
最後に日本チームのワークショップです。我々は、全体のワークショップを鑑みてユースとの関連があまり論じられていないことを踏まえて、日本のユースワークの外観、そしてデジタルユースワークの実践事例としてNPO法人3keysのMex について紹介しました。


最後に若者に専門的に検証された情報を提供することの重要性、インターネットの匿名性が声を届けることにもなること(フェイクニュースの話が多かったので改めてネットのポジティブな面もあることをリマインド)、そしてこのような研修の機会に参加して、改めて、ヨーロッパのユースワークの財政的支援や強力な国際ネットワークがあることが貴重で羨ましい、ということを伝えました。
カルチャーナイト
これで全ての国ごとのワークショップは終了。夜は、国ごとに持ち寄ったものをシェアするカルチャーナイト。それぞれの国ごとで簡単なプレゼンテーションをしました。我々、日本勢はけん玉をお披露目です。




研修:3日目
3日目の朝は、マルタチームが時間切れで実施できなかったワークをやりました。
Bad News: https://www.getbadnews.com/
Harmony Square: https://harmonysquare.game/en
この2つのどちらのゲームもメディアリテラシーに関するものなのですが、これまでのゲームと異なり完璧なデマ情報の発信者となることがゴールです。
ゲームを始めると、デマ情報発信者と雇われたというチャットメッセージが届きます。そのチャットメッセージに対して返答を選択していくシミュレーション型ゲームです。できるだけデマ情報を発信者として、極端で扇状的な投稿をして、フォロワーを増やしていくのです。とはいえ胡散臭いだけだと信頼を勝ち取る情報発信や立ち回りをすることが大事です。こうしてあなたはBad Guyとなる道筋を知ることで、例えば選挙期間中にどういった情報が出回ったり、そのような情報の意図を読み解けるようになっていくことがこのゲームの真の目的です。
「Bad News」:偽情報対策の革新的オンラインゲーム

偽情報が社会に与える影響が深刻化する中、ケンブリッジ大学の社会的意思決定研究所が開発したのが「Bad News」というオンラインゲームです。このゲームは、ミス情報への耐性を身につけるという新しいアプローチ「プリバンキング」の一環として作られたということです。
Bad Newsの特徴:
- プレイヤーの立場:
通常のゲームとは異なり、プレイヤーは「悪役」の立場に立ちます。偽情報を作成し、拡散させる側の視点を体験することで、その手法を学びます。 - 学習内容:
ゲームを通じて、偽情報の作成に使われる6つの一般的なテクニックを学びます。例えば、「恐ろしい」や「ぞっとする」といった感情的な言葉を使用してコンテンツのバイラル性を高める方法などが含まれます。 - 多言語対応:
Bad Newsは19言語に翻訳されており、世界中でプレイ可能です。これにより、国際的な規模で偽情報対策の教育が可能になっています。 - 広範な普及:
すでに世界中で100万回以上プレイされており、その効果と人気の高さがうかがえます。 - 教育効果:
研究結果によると、このゲームをプレイした人々は、操作的なソーシャルメディアコンテンツをより信頼性が低いと判断できるようになりました。また、自分の判断に対する自信が向上し、誤った情報を共有する意欲が減少したとの報告もあります。
Bad Newsの目的は、プレイヤーに「偽情報の作り方」を教えることではありません。むしろ、偽情報がどのように作られ、拡散されるかを理解することで、実際の生活でそれらを識別し、抵抗する能力を養うことを目指しています。
このゲームは、従来の「事後対応型」の偽情報対策とは一線を画す、予防的アプローチの代表例とされいます。Bad Newsは、楽しみながらメディアリテラシーを高め、より賢明な情報消費者になるための効果的なツールとして、今後さらなる注目を集めることが期待されます。
実際に以下のTED Edの動画ではこのような方法で偽情報の予防線を予防線を貼っておくことが有効であるとされています。(日本語字幕をつけて視聴ください)
ニーズ把握:若者のメディアリテラシー、ファクトチェック具合は?
後半戦、最初に取り組んだことはResearch for instrument 。つまりこれまでのワークを踏まえて、若者との関連でメディアリテラシー教育やファクトチェックの取り組みを開発してみるというものでした。
まず午前中に行ったのは、ニーズの把握。それぞれの国ごと、組織ごとで対象にしている若者のニーズを以下の観点から把握することです。
①Demographics (対象者の人口動態や定義、社会課題)
②Basic knowledge (対象者のメディアに関する基本知識の把握レベル)
③Media consumption(対象者が情報を得るためにどんなメディアを使っているか)
④Fact – Checking (対象者がどの程度ファクトチェックをしているかどうか)

我々、日本チームも最初は雑感で議論をしていましたが、ファクト確認ができていなかったので、改めてこれまで教えてもらったツールをもとに研究。例えば、Perplexityで②について聞くとこんな結果が。
日本の若者のメディアリテラシーレベル
(Perplexity)日本の若者のメディアリテラシーのレベルは以下のような状況にあります:
メディアリテラシー教育の認知度が低い
・日本のメディアリテラシーの認知度は、アメリカや韓国と比べて大幅に低い結果となっています。[3]
・日本では「メディアリテラシー」を知っている人の割合は17%にとどまっています。[3]
若者はオンラインの偽情報に接触しやすい
・日本でも年間100件程度のフェイクニュースが存在し、特に若者が接触しやすい状況にあります。[3]
・今後はディープフェイクなどの技術の進歩によりオンラインの偽情報が増える可能性があります。[3]
情報リテラシー教育の効果が限定的
・現状の情報リテラシー教育は効果が限定的で、年代による信じる割合の差はほとんどありません。[3]
・30代以上の受講率は40%と低く、中高年以上への啓発も進める必要があります。[3]
以上のように、日本の若者はオンラインの偽情報に接触しやすい一方で、メディアリテラシーの認知度が低く、情報リテラシー教育の効果も限定的な状況にあります。若者のメディアリテラシーを向上させるためには、メディアリテラシー教育の充実と、より効果的な情報リテラシー教育の推進が課題となっています。
参考文献
[1] https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/record/36514/files/24349356_71_47.pdf
[2]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC
[3] https://www.soumu.go.jp/main_content/000820476.pdf
[4] https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2012_04/20120403.pdf
[5] https://jp.reuters.com/article/world/-idUSKBN2XV097/
Perplexityすごいですよね。引用情報までしっかり出してくれるのです。
加えて、情報リテラシー教育を充実したとしても、そもそもの政治的な素養や影響力発揮の機会がないことなど日本特有の事情についてチームで議論しました。
日本の若者はファクトチェックをしているのか?
④についてPerplexityに聞いてみました。
(Perplexity)日本の若者はファクトチェックをまだ十分に活用できていない状況にあります。
ファクトチェックの認知度が低い
・日本のファクトチェックの認知度は、アメリカや韓国と比べて大幅に低い結果となっています。[1]
・日本では「ファクトチェック」を知っている人の割合は17%にとどまっています。[3]
若者はオンラインの偽情報に接触しやすい
・日本でも年間100件程度のフェイクニュースが存在し特に若者が接触しやすい状況にあります。[3]
・今後はディープフェイクなどの技術の進歩によりオンラインの偽情報が増える可能性があります。[3]
情報リテラシー教育の効果が限定的
・現状の情報リテラシー教育は効果が限定的で年代による信じる割合の差はほとんどありません。[3]
・30代以上の受講率は40%と低く中高年以上への啓発も進める必要があります。[3]
以上のように、日本の若者はオンラインの偽情報に接触しやすい一方で、ファクトチェックの認知度が低く、情報リテラシー教育の効果も限定的な状況にあります。若者がファクトチェックを活用するためには、ファクトチェックの認知度向上と、より効果的な情報リテラシー教育の推進が課題となっています。
参考文献:
[1] https://www.huffingtonpost.jp/entry/fact-check_jp_64a3a617e4b0c7e9d8e92b9c
[2] https://www.factcheckcenter.jp/explainer/others/jfc-report-2024/
[3] http://www.innovation-nippon.jp/reports/2019IN_report_digest.pdf
[4] https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd123400.html
[5] https://www.soumu.go.jp/main_content/000861267.pdf
これらを踏まえて、今回のトレーニングを受けての日本に持ち帰りたいこととして、
- アプリやツールの日本語版をつくってローカライズ
- ユースワーク業界でメディアリテラシーをテーマとして扱うこと
- スッタフ向けの研修で活かすこと
- 感覚が古いスタッフに対して、AIの活用なども含めて若返らせていくことが必要。現場の人ほどAIへの抵抗も強かったりす る。
- AIなどのツールを使って客観的なファクトを取り入れた議論になれるようにする
と意見交換をしました。私は、ヨーロッパの人権やヒューマニズムの視点で濾過されたメディアリテラシーとユースワークが日本に文脈化されていくことが大事だと思いました。というのは、日本だと経済界や遅れて行政からの主導で伝わることがあり、そのプロセスで人権やヒューマニズムのコアバリューが薄まってしまっているのではないかと思ったからです。経済界だと効率性重視でAIがSNSなどで紹介されていますし、行政だと、メディアを「正しく活用」という規範教育で落ちてくるということです。
ツールの開発

対象者のニーズを踏まえ、最後に国ごちゃまぜのグループを作ってツールやプロジェクトの開発をしました。グループは以下の5つのツールを開発するグループに分かれます。
- メディアリテラシー向上による過激化対策ツール
- 批判的思考力向上ツール
- 情報に基づいた意思決定ツール(市民/政治的エンパワーメント)
- メディアリテラシー基礎学習ツール
- ソーシャルメディア消費に関する意識向上ツール
その上で、以下の対象グループを1つピックアップし、
対象グループ:
▪︎ 若年層向けツール (15-20歳)
▪︎ 学生向けツール (20-25歳)
▪︎ 成人教育者/ユースワーカー向けツール
クイズ、意識向上キャンペーン、ファクトチェックツール、ゲーム、デジタル教材、ビデオゲーム、ツールキット、オンラインプラットフォーム、ガイドブックなど、NGOが実施可能と思われるものであれば、何を開発してもOKというワークでした。







最終的には、SNSによるラディカリゼーションを防ぐことをSNSマーケティングでするプロジェクト、スマホの使いすぎを防ぐためのツール「CHUUI」、脱出ゲームとメディアリテラシー学習を組み合わせたゲームなどユニークなものが出揃いました。
私のチームでは、批判的思考力向上のためのツール開発が目的だったので、スウェーデンの資料批判の教育を共有した後ゲーミフィケーションを取り入れたツール開発をしました。最終的には、Truth QuestというAmong Us というオンラインの人狼ゲームにBad Newsの要素を入れたゲームを考案しました。

Claudeで実際のゲーム開発まで試みましたが、考えが甘すぎました。最終的なモックアップでは以上のようなホームページまで作ることはできました。
研修4日目:エクスカージョン
4日目は、大きな中休憩!エクスカージョンということで、ブシュテニ地方の観光をしました。標高1400メートル近くまでいき、湖や川、洞窟探索、カンタクジーノ城の訪問などをしました。






研修5日目
エクスカージョンを終え、いよいよ最終日。
まずはNGOフェアということで、それぞれの自分が所属する団体や組織について紹介し今後どのようなコラボレーションができそうかを検討する時間をとりました。
1日目からしてきた全体のリフレクションとして最後に一人一人、感想を伝え合う時間をとりました。
研修の様子は、ブルガリアから参加したLoesjeブルガリアの皆さんが動画にまとめています。
主催のルーマニアウマニスタ協会でもこのようにあげています。
研修に参加して
私自身、ヨーロッパのユースワーク研修に参加したのは4回目でした。1度目はフィンランドのユースフォーラム、2度目はドイツのハノーバー、3度目はブダペストのヨーロピアンユースセンターにおいてでした。どちらの機会もスウェーデンとドイツに留学中に参加したものであり、私費負担はほとんどなく、EUの助成で参加させてもらったものです。改めて、ユース世代にこのような機会を実質的に保証していることに頭が下がります。ソーシャルセクターや市民社会に投資するというのは、こういうことなんだと再認識しました。
ヨーロッパでも社会の分断がさまざまに起こっています。地球上どこを見渡しても、ここまで人の流動性が高く、異文化、異言語が混じり合う地域はありません。近年は極端主義の台頭に加え、スマホやソーシャルメディア、さらには生成AIの出現によってメディア空間は特に何がリアルで何がフェイクかの見分けがつかないくらいに複雑になってしまいました。それが現実社会にさまざまに影響をもたらしています。
おりしも、研修1日目には、ドナルド・トランプ氏への発砲事件がアメリカでありましたが、このようなセンセーショナルなニュースを目にした時に、どのような心持ちや視点で反応をすれば良いか、情報を精査すればいいのかその具体的な方法を学ぶことができました。私自身も研究者であり、ドイツにいた頃にはネットとプライバシー関連の記事も発信していた時もありジャーナリズムを齧っていたときもありましたが、特に生成AI の扱いについてはまだまだ情報がアップデートできていませんでした。
日本でもゲームや、オンラインや電子機器を活用したユースワークであるデジタルユースワークは、もはやそれを使わないほうが少ないというくらいに、一般的になってきましたが、コンテンツとして「デジタル」を扱い、メディアや情報リテラシーについて学び合う機会はまだまだ少ないのではないでしょうか(それもデジタルユースワークの1つの柱です!)。学校でもメディアリテラシー教育は扱われているようですが、上述した、Bad Newsのようなアプローチは日本だと「犯罪につながる」とか「ゲーム中毒になる」と扱われ、結果何も教えないことになりそうです。だからこそノンフォーマル(学校外)のチャンネルが扱うべしではないでしょうか。
ちなみに国内でも、市民団体がメディアリテラシーや情報リテラシー教育のために取れる助成金について、以下の情報がみつかりました。(Perplexity調べ)
- 民放連のメディアリテラシー活動助成
2024年度の助成対象事業として、6件のプロジェクトが選ばれています。これらのプロジェクトは、テレビ局が主催するワークショップやシンポジウムなど、メディアリテラシーに関する教育活動を含みます[2]。 - ドコモ市民活動団体助成事業
2023年度には、全国から168件の応募があり、52団体が助成を受けました。助成対象には、子どもがメディアと接する際のリスクを軽減するためのプログラム作成などが含まれています[4][5]
民間の助成ですが、情報リテラシーを取り扱うことは、公共空間に関わることなので、国や自治体がもっと扱っても良いテーマのはずです。EUではそう位置付けているからこそ今回、ユースワーク研修でメディアリテラシーがテーマになっていたのです。
改めて、日本のユースワーク従事者や若者をヨーロッパに連れてきてこのような機会を増やしていきたいという思いを強くしました。今回は研究者は少なく、実践者が多く参加したわけですが、やはり実践者同士、若者同士の交流、そしてその中で起きるユースワークが素晴らしいと感じました。日本はヨーロッパとは国レベル、地方自治体レベル(姉妹都市交流など)の2国間での交流は多くありますが、そろそヨーロッパとの交流はEUのエラスムスと連携するなど、次のフェーズに行っても良いのではないかと。
さて、来年5月にはマルタで第4回の欧州ユースワーク大会ががあります。ぜひ参加して発表し、南ヨーロッパのユースワークを訪ねる旅に繋げていきたいです。
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