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ユースワーカー研修 in ドイツをおえて (報告動画を追記しました)

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 ドイツでのユースワークの研修終了。ってか研修かこれは?って思うくらい平和な時間でリラックスできた。場所はハノーバーというドイツの真ん中に位置する都市の郊外にあるInternational Young Nature Friendが所有するこのラブリーな施設。周りには畑しかなく、陸の孤島のような場所。

International Young Nature Friend の所有する家

対象はユースワークをしている人なら誰でも!という感じ(そもそもユースワークっていうくくりがでかい)。テーマは”Empowerment, Inspiration & Action in Youth Organizations,”で、日程は10日間。チームビリディングに始まり、エンパワメント・アクティビズム・参画・モチベーションについてのディスカッション、自己開示、そして後半になるにつれて参加者主体のワークになるようになっていた。途中で参加者からの意見を聞き、新たなワークをいれたり適度の休憩をいれたりと柔軟に進んでいった。

コーディネーターの3人

とくにプログラムの後半にいくほど、オープンスペースになりunorganized度が加速。時間の指示も曖昧だからいつも最初は不安だったけど途中から気にしなくなった。これでも参加者はジャーマンPunctualだね〜と言ってたから驚き。

全体スケジュール(左上)と一人一人が背負ってきたものを書き下ろしたバックパック(右上)

10日間という長い時間確保できていたからという理由もあるだろうけど、それでもこの時間のおだやかさは不思議と革命的だった。タイムプレッシャーを全く感じなかった。ダニエル・ピンクの時間の制約は創造性を殺すという言葉を思い出す。

23人の参加者は440人の中から選ばれ,スペイン,ハンガリー,アルバニア,ロシア,アイルランド,オランダ,フランス,アゼルバイジャ,グルジア,セルビア,モルドバ,ギリシャ,ウクライナ,ラトビア,エストニア,そしてスウェーデンから僕が参加。バルカン,東欧からの参加者が多かった。

森のリソースだけをつかってアートをつくれ!というチームビルディング

大学生,ユースワーカーから国際NGO職員,Appleのマネージャーなど立場も異なる。コーディネーターは、ベルリン,ラトビア,リトアニアから参加。これだけ異なるバックグラウンドを抱える人が集まり共同生活をするのだから、配慮のポイントも大きく異なるのだろう。あえて休憩時間やランチを長めにとったのは参加者どうしの主体的な交流を促したかったのだろう。(それでも、コーヒーブレイク一日4回(30分くらい),ランチブレイク3時間,夕食3時間は長いと思ってしまった)

コーヒーブレイク 1時間のときも

参加者は現地で環境系のユースワークをしている人が多かった。働いている人もいたが、EVSという奨学制度を使ってインターンをしつつ仕事を探しているorまだ国際交流をしたいという人など。西・東欧の参加者は、このようなトレーニングに何度も参加してるみたい。

オランダ発祥のアクティビズム”Loesje”を創るワークショップはすごかった

EUが財政的に全面支援をしているこのような若者の国際交流の機会の豊富さとそれを最大現に利用している参加者に圧倒された。その背景にはノンフォーマル教育やボランティア活動などがEUの若者政策で位置づけられているという事実がある。個々の国々の市民性だけでなく、EUという枠組みの中で多様な機会を若者に提供することで社会的統合や連帯を謀ろうとしている。こうしてEUシティズンとなる。参加者もこれを十分に認識し活用している。そして今もSato-Youthから毎日メールで新たなトレーニングの情報が大量に届く。こうしてEUはものすごい勢いで統合に向かっているんじゃないかとちょっと焦る。

モチベーション・フレームワークとアクティブズムの歴史

英語と言う共通言語で, こうして加速度的にネットワーキングとローカルプラクティスの共有をしてときには比較し論文にまとめたり、国際プロジェクトを組み社会にインパクトを与えているのだと思うと、さらに焦る。逆にバックラッシュも激しく、ローカルのNGOがあり過ぎて競争過多でファンディングに苦しんでるとこも多いという。2014年からの新たなEUの政策に望みをかけているとも言っていた。その一方で極東アジアは今どうなっているのだ。国をあげての国際的な「統合」に向かおうとしているだろうか。

誰かが”Let’s 〜!!” と言ったら全員で”Let’s do it!!”といって実行するエナジャイザー

社会政策の比較研究は70年代から急激に関心が高まり90年代には東アジアも単なる西欧福祉国家の比較研究から脱却し、国際比較の土俵にのるようになった。しかしユースワーク-ユーススタディという領域では日本はこの土俵にのれてないのではないか。そしてそのままでいいのだろうかというのが最近の危機感。イギリスでは産業革命期からユースワークが始まり、1930年代にはユースワーカーの労働組合が活動をしており戦後には公的機関に組み込まれることとなる。その過程で職業資格化されやがて学問となった。社会的認知、歴史の違いはあるがこうして欧州全体に独自の発展をしながら広がっていった。そうした背景と現在のEUという基盤のもとで前述したとりくみがこの分野でなされている。

最もエンパワメントしたorされた瞬間をシェアするワーク

日本ではユースワークと言う分野は様々な文脈と言葉によって説明されながら独自の発展をしてきた。他のアジア諸国もそうだろう。しかしSato-Youthのような枠組みはあると言えるだろうか。そしてそのままで大丈夫なのだろうか。そんなぼやっとした危機感と、ドイツの田舎のど真ん中で感じた不思議な懐かしさとともに、ハンブルグ経由でスウェーデンに帰ってきました。

“Life of river”自分のこれまでの人生を振り返るワーク中

PS

ヨーロッパにいる日本の留学生はぜひEuropean Volunteer Service (EVS)でインターンを見つけるのをお勧めします。生活費とポケットマネー、全てEUが支援してくれるみたいです。ただ大学で授業受けてるよりよっぽどいい経験になると思う。あとユースワークに関心あるなし関係なくSalto Youthに登録してイベントに参加するのもいいと思う。日本人でもEU圏内に住む許可を得ている人なら応募できます。

追記

参加者でもあったエストニアからのカメラマンが制作してくれた報告動画が公開されました。雰囲気でも味わってもらえたらと思います。

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