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なぜスウェーデンの若者の投票率は高いのかその①

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スウェーデンの若者の投票率の高さや政治意識の高さについてはこのブログでも何度か触れてきましたが、その理由についてはこれまであまりストレートに触れませんでした。今回はその辺りを、こちらの記事や友人から借りた文献”Governing and Governance in Sweden“などを引用しながら突っ込んでいきたいと思います。

高い、スウェーデンの若者の投票率

まず、以下は1960年から2006年までのスウェーデンの選挙の投票率の推移を表したグラフです。近年は低下傾向にありますがそれでも70%前後は少なくとも維持しているのがわかります。そしてやはり若年層は多世代と比べても低い値であることは昔から変わらない事がよくわかります。

次に2010年の選挙の投票率です。2010年の総選挙において、18歳から29歳のスウェーデンの若者の投票率は79%にもおよび、2006年から約4%の増加率でした。

この投票率の高さは他の世代と比べると若干劣りますが、それでも初回有権者にしてはこの投票率は高いほうみたいで、地方選においては2006年は70.7%であったのに2010年では74.1%という増加の結果でした。

これは1994年の選挙以来の高水準だったということです。事実、当時の初回有権者数は、51万5000人という規模で90年代のベビーブームで生まれた子ども達が投票する時期だったこともあり、これまでの内で最も初回投票者数が多くなったと言われています。とくにLudvika, Trelleborg, Lindingöという地域では初回有権者のうちの85%が投票をしました。また顕著な投票率の増加はBracke,Kiruna, Ragundaという地域で目立ちました。

若者の投票率が高い理由とは?

この高い投票率の理由としてあげられている事のひとつが、スウェーデンの学校制度です。同記事で地方自治体などの管轄などをしているスウェーデン地方自治体協会のアンダーシュさんは、こちらの記事で以下のように述べています。

“スウェーデンの学生は国際的にみても民主主義に関する高い知識とその価値感への支持率が高い。多くの学校で、ディベートや民主主義のプロジェクト活動を推進する事で生徒の政治への興味を高めている。”

”また、ほとんどの自治体は若者の投票率を上げるために他にも様々な工夫をしている。事前に投票するのもますます簡単になっているし、選挙に関する情報も新聞やウェブページを通じてアクセスしやすくなっている”

実際、Tyresöという地域ではさらにディベートなどの他にも初回有権者のためのウェブサイトやポストカードの送付、地域の新聞による情報掲載などをした結果、投票率は79%に上昇し、過去最高となっています。さらに、事前投票は図書館などの公共施設でもできるようになっており、2006年の選挙では有権者の31%が郵便による投票を利用しました。この数字は単なる不在者投票などではなく、アクセシビリティの向上の一貫として実施しているように思います。

それではアンダーシュさんの言う、学校で起きている「ディベート」や「民主主義のプロジェクト」とはなんなのでしょうか。それは、これまでのスウェーデン・スタディツアーで見聞きしてきた様々な若者団体やユースセンターや学校、そしてそれらを統括するスウェーデン青年事業庁による包括的な若者政策が相互作用し、民主主義の機会を若者に若者に提供しているといえるでしょう。

外国人の投票

スウェーデンでは外国人であっても投票が可能ですが、国政選挙に投票する事ことはできず、地方選挙のみに限られています。人口の5%を占める外国人の投票は1976年から開始され、当時の投票率は60%に及びましたが、1998年と2002年には35%、2006年には37%といった落ち込み具合となっています。またスウェーデンはEUに加盟しているのでその選挙もあるのですがこちらの投票率は低いグループに属しているという現状があります。

【参考文献】

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