本日、KRISという元受刑者の自助団体にいってインタビューをしてきました。その簡単なメモになります。
KRIS
1997年に設立.
過去30年ほど刑務所に入っていたChrister Karlssonが、刑務所から出た者に対して更生のための支援がなさ過ぎることを問題と考え、数人の犯罪者とともに声を上げたところ、ストックホルムで理念に賛同する人がおり、スウェーデンを発祥の地としてできた、元受刑者の自助組織。KRISという名前は、「リベンジ」というような意味ですが、それは社会に対する復讐ではなく、自己に対する思いで「やってやるぞ」というような意味合い.スウェーデンで29カ所に支援の拠点(居場所)があり、5500人の会員。今はヨーロッパなどにもその組織が拡がっている。(ソース:http://blog.goo.ne.jp/okunagairi_2007/e/5bb5e23a98ca927c3a2af047ef288151)
クリスが成功してる理由は?
- 1997年にKRISができたときにこのような取り組みは今までに無かった。この用な方法でこの手の社会の問題を解く考え方があまりなかった。
- 4つの原理(正直であること、ドラッグ禁止、友情、連帯)を徹底してる組織はこれまでになくて、人々がこれを求めてきた。
- 政治家にKRISを作りたいといったら、今までに無い取り組みだったから手伝ってくれた。
- 15年前は大人だけの組織だったが今はヤングクリスもできた。若者の犯罪問題は大人の犯罪とは違う性質を持つのでヤングクリスをつくった。
政府からの助成について
- もともとNGOには政府はお金はだしていないかったが、1970年ドラッグ・アルコール問題が深刻化。これを受け、政府は若者組織を支援することとユースセンターを作ることを定めた。2つのこの方針で社会問題を解決していくことを選択した。この時からKRISは助成を受けるようになった。ちなみにクリスはFRYSHUSETよりも前から設立されている。
- LSUが代弁団体となってUS(青年事業庁)に働きかけ、USが若者団体へお金を配分することになっている。
- 青年事業庁からお金をとるには、若者団体のメンバーが25歳以下じゃないとお金をとれないという決まりがある。だからみんな若い。
- 若者団体は若者ひとりひとりののキャリアの先駆けになている。現在のラインフェルト首相も昔は若者団体の代表をやっていた。自分も若者団体の代表をやっていた。
若者と関わる上で大切にしてること
- 自分についておこったことを、まずは自分から話すこと
- 同じ経験をシェアすること
単発的なイベントで終わらない継続的な活動ができるようにするためのコツ
- クラブハウスを作ること。そのためにお金が必要。助成を受けること。そのためには政治家などの権力者やお金もちの人と仲良くなることが大事。現在スポンサーになっているジュエリーの会社はお金持ちの人が多いからそういう人を紹介してくれる。このジュエリーの会社助けで現在KRISグッズの指輪やネックレスのアクセサリーを製作中。
- 若者が興味を持ちそうな面白いイベントと研修などをミックスさせることは大事。例えば、 日中はレクチャーで夕方からバレーボールやポップコーンを食べたりパーティーを開いたりする。これをやると若者は楽しかったという印象を持つようになる。実際にはとても大事なことを研修から学ぶのだが。
- ほとんどの若者団体がこのようにやっている。LSUやその傘下にある若者団体もだいたいこのうようにやっている。ヤングクリスでも同じ。
どのようにして4つの原理を根付かしているか
- 原理を教えたり壁に貼ること。スウェーデンの人は言ってることとやってることに一致しないと心地よく思わない。
- ポジティブなやりかたで忠誠心を引き出している。例えばギャングは、もし~したら殺すなどでネガティブなやり方で忠誠心を引き出しているが、KRISではポシティブギャング的なやり方で忠誠心を引き出している。この4つの原理に従うとこのようないいことがあるよというのを教えるという方法をとっている。
- この方法でヤングクリスでは毎週研修をおこなっている。若者達が自分たちで教え合うこともしている。
- ビンゴなどのレクレーションと織り交ぜながら実践している。
25の支部のそれぞれの決定権はどこにあるのか?
- 4つの原理に従っていればなんでも決めていい。基本的には理事会で決める。代表が理事会からの委任をうけている場合は代表が決められる。しかしここの支部の場合は理事会で決める。ここは4人。原則5人以上だが今はできたばかりだから4人。
どのようにして元犯罪者の人が普通の人を巻き込んでいくことができるか?
- 政治家などに働きかける際に、教授などの信頼できる人に紹介してもらうなどに紹介してもらう。
- 結果をみせる。ソフィアはクリスの若者をつれてきて一緒に政治家と話しをする。彼らの経験を話してもらうと政治家は驚く。これが最も効果的。
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ここにきてもLSUや青年事業庁の話しが出てきたのにびっくりしました。ホントにこちらの組織はdemocratic。制度や仕組みとしての民主主義の徹底がすごい。ミーティングの開き方や代表の立て方、代表を信託すること、決定を委託すること、こういうことも民主主義の基本的な手法としてここでも教えてる。trusteeとかboardとかの理解だけでなく、プレゼンテーションとか議論の仕方を紹介する本もあった。
昨日、自治体のユースワーカーにインタビューしてきたのですがここでも最新のハンドブックをもらいました。「民主主義の方法」というタイトルのハンドブックでした。「あなた自身の社会」にもこのように民主主義などを紹介していましたが、やはりこれがベースにあるように思いました。
日本だとビジネス書で会議のやり方とかプレゼンのやり方とかの紹介が多いですが、社会人になってから必要になるものじゃないですよね。もっと早いこっちは。
この徹底ぷりに感動。