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「他者評価」が生き方の基準となった世界の終末

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Netflixのブラック・ミラーの「ランク社会」を観ました。Uberのような評価経済をSNSに適用させて、SNS投稿のみならず、リアルでのコミュニケーションを含む人のあらゆる行動を、他者が5段階評価でランクづけできるというディストピアが描かれています。

ランク社会とは?

目に埋め込まれたチップで誰が何ランクかすぐにわかるようになっており、何か交流があればすぐにスマホを取り出して、5段階で評価し合うようになっています。ランクが高い人にしか乗れない飛行機やマンションがあり、高ランクを求めて人々は振る舞います。ランクを上げるコツは、高ランクの人からの高評価を得ることなので、人々は常にマナーや挨拶、身だしなみに気を使います。

終いには、ポイントでしか人をみなくなった人々は「友情」すらも利用するようになってしまいます。親友もランクが低くなればたちまち縁が切られる。そのディストピアの果てに主人公がみたものは…って感じです。

他人の評価を気にしすぎる人たちの行く末

これはまさに「消費主義の拡大による人間関係の分断」そのものだなと思いました。こんなにエグくなくても、実は今のSNSや実際の社会でもこういうことは、部分的に起きているんだろうなと思います。こちらのnoteによると中国ではすでにSocial Credit System(SCS)として起きているとのことです。

大衆への大規模な監視を政治利用はこれまでその問題点が度々指摘されてきました。一方で今回の「ランク社会」には政府による監視(ビッグブラザー)はほぼ出てきません。むしろ、個人と個人の間での「評価」がテクノロジーで過度に可視化され、それがスコアとなり「実経済」化し、生活に直接影響を与える。これがもたらす、人間関係や社会の分断の可能性が生々しく描かれています。

評価というコミュニケーションの功罪

Facebookやインスタの「いいね」、リツイートの数、気がつけばその他者による反応をもらいたくて、私達は投稿をやめません。その小さな画面の中の僅かな数字の変化こそが、自分の承認欲求を満たしてくれる日々の行動基準となっているのです。それが単にSNS上で終止するのなら良いのですが、実生活にも影響を与えていることは明らかです。成功者はインフルエンサーとなり、炎上すれば叩かれ排除される。

SNSなどの単純化されたコミュニケーション手段のおかげで、こんなに人と人がネットを通じて発信をし、繋がれるようになりましたが、そのコミュニケーションの負の側面も既に現実化しています。

これまでの時代は、人が人から評価されることがここまで一般的ではあまりなかったのかもしれません。そもそも人を表面的に評価すること自体あまりなかったのかもしれません。だからこそ評価には敏感だし慎重だったのかもしれません。

この評価というコミュニケーションが、ときに人を励ましときに人を自殺に追いやるくらいに傷つける「諸刃の剣」であるということを、このドキュメンタリーは伝えようとしていたのかもしれません。

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