新刊『福祉大生、スウェーデンへいく』好評発売中

ストックホルムはどんな街?人口・治安・生活費を4年住んで解説

この記事は約8分で読めます。

スウェーデンの首都ストックホルムに4年間住んだ身として、改めてこの街がどんな街なのかを紹介します。「留学・移住先としてどうなのか」を、人口・気候・治安・生活費・住みやすさの観点から、実体験ベースでお伝えします。

ストックホルムはどんな街?

14の島からなる水の都ストックホルムの街並み
自然に囲まれた北欧の首都、ストックホルム

スカンジナビア最大の都市ストックホルムは、「北欧のベネツィア」と呼ばれるように14の島からなる水の都です。宮崎駿監督のアニメ「魔女の宅急便」や、映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の舞台にもなった、小綺麗な街として知られています。

「ストックホルム」の意味は?

スウェーデン語の表記は「Stockholm」。丸太を意味する ”stock” と島を意味する ”holme” が由来です。かつて島に丸太を積み上げて敵船の侵入を防いだ地域がストックホルムであった、というのが語源の一説とされています。

ストックホルムの人口・気温・日照時間

北欧最大の都市といっても、スウェーデンの人口は約1,000万人。ストックホルム市は約97万人で、日本の都市と比べると小規模です。四季があり、夏の最も暑い7月でも平均約18℃。湿度も低く、じっとしていて汗ばむことがないので、とても心地よく過ごせます。

北欧というと厳しい寒さを想像しますが、最も寒い1月でも約-3℃程度。雪も多くはなく、日本の寒冷地のほうが総じて厳しい気候といえます。

スウェーデンの地図と位置

日本と最も違うのは日照時間です。夏は最長で朝4時前に日が昇り、沈むのは22時ごろ。夕方から深夜まで屋外で過ごすのが夏の楽しみです。逆に冬は日の出が8時30分前後、日の入りが15時前。朝起きても暗く、17時の帰宅時にはもう真っ暗です。そのため冬は、運動やビタミンD摂取などで「暗さ」を乗り切る術が求められます。

ちなみに北極圏の街キルナでは、冬は太陽が昇らない極夜、夏は24時間陽が出る白夜になります。

世界で有名なスウェーデンの企業・ブランド

スウェーデン発祥のブランドIKEA

スウェーデンは、デザインのIKEA・H&M、ITのSpotify・Skype、音楽ではABBA、近年はAviciiやAlessoなど、小さな国の割に世界的なブランドやアーティストを数多く輩出しています。高福祉・高負担の包括的な社会保障制度は、少子高齢化が進む日本のモデルとして引き合いに出されることも多い国です。ストックホルムは「ヨーロッパのシリコンバレー」と呼ばれるほど、IT系スタートアップが数多く生まれる都市でもあります。

これらに象徴されるように、この街はシンプルさと機能性を兼ね備えた、派手すぎず小粋な「ちょうどいい」都市。それがストックホルムらしさといえるでしょう。

ストックホルムで気に入っているところ

スウェーデン語に「ラーゴム(lagom)」という形容詞があります。日本語の「ほどよさ、適度、中庸」にあたる言葉で、スウェーデンではこの「ほどよさ」が美徳とされます。街の規模も大きすぎず小さすぎず、風景もド派手でも無機質でもない——あらゆる面で「ラーゴム」なところが、この街の良さです。

自然環境・治安・英語の通じやすさ・ワークライフバランス

環境政策の先進国だけあって、空気も水もとてもきれいです。実際、OECDのより良い暮らし指標(Better Life Index)の環境分野で、スウェーデンはトップクラスに位置します。

治安は、中心街や一部郊外で注意すべき場所はあるものの、他のヨーロッパ都市と比べればはるかに良好とされています。

スウェーデンのコーヒー文化フィーカ(Fika)
スウェーデンの習慣「フィーカ(Fika)」——コーヒーと甘いものでひと休み

日本人にとっては英語の通じやすさも大きな助けです。スウェーデンは、母語が英語でない国の中で最も英語が流暢な国の一つとして知られ、老若男女を問わずほぼ全員が英語を話せます。同じゲルマン語圏のドイツでも、旧東ドイツ地域では年配層の第二言語がロシア語で英語が通じにくいことがありましたが、スウェーデンではそうしたケースはほとんどありません。スウェーデン語が話せなくても、留学生・移住者が難なく生活できるのは、移住のハードルを大きく下げてくれます。

ワークライフバランスと健康を重視する点も、スウェーデンらしさです。労働時間の短さ、賃金の高さ、男女賃金格差の小ささ、育休取得率の高さ、就業・就学への復帰のしやすさが、持続可能なキャリアと生活の両立に寄与しています。事実、スウェーデンのワークライフバランスはOECD諸国の中でも上位で、日本は下位に位置します。筆者が働いていたIT企業でも、17時にはオフィスにほとんど人が残っていませんでした。

余暇の時間が多いぶん、街ではランニングやワークアウトに励む人が多く、それに触発されて筆者自身も運動を欠かさないようになりました。

ストックホルムで戸惑ったところ

日本と大きく違って戸惑うのが、アルコールの取り扱いです。

コンビニでは3%程度の弱いビールしか買えません。スウェーデンの厳格なアルコール販売政策により、5%以上のお酒は国営の酒屋「Systembolaget(システムボラーゲット)」でしか買えないのです。しかも多くが19時ごろに閉店し、土曜は15時まで、日曜は休業。お酒の購入には「計画性」が要るので、慣れるまでは戸惑います。

スウェーデンの国営酒販店システムボラーゲット
5%以上のお酒は国営店Systembolagetでのみ販売

さらに、パブやバーは酔いすぎていると入店できず、店内で酔いつぶれると退出させられます。「飲み放題」もありません。飲みニケーション派としては物足りない面もありますが、裏を返せば依存や飲みすぎのリスクを社会全体で抑えている、ともいえます。

ストックホルムに住むことになったきっかけ

筆者がストックホルムに住むことになった直接のきっかけは、2012年に当時の大学を休学し、ストックホルム大学に1年半近く留学したことでした。

北欧、とくにスウェーデンの教育・若者政策に関心があり、留学中も学業のかたわら、現地の若者の余暇活動施設でインターンをしたり、ブログで情報発信をしたりしてきました。帰国後、やはりヨーロッパで暮らしたいと思い、再びストックホルムへ。当時パートナーがいたことに加え、スウェーデンの大学院の学費がかからなかったことも、移住を後押しする大きな理由になりました。

一か月の生活費はどのくらい?

住居費・水道光熱費・食費・通信費などを含めた1か月の生活費は、15万円程度が一つの目安です。学生の暮らしでこの水準になるのは、円安とストックホルムの物価の高さゆえ。たとえば普通のランチでも1,500円前後はかかります。

※生活費は為替・物価により変動します。上記は筆者在住当時の目安であり、最新の水準は現地の物価情報も併せてご確認ください。奨学金なしだったため仕事と両立していましたが、賃金・待遇・労働環境は良好で、思いのほかうまくやっていけました。

どんな人におすすめの都市?

「寒さが苦手」という人がいますが、実はそれほど寒くありません。日本の寒冷地出身の筆者からすれば、日本のその地域のほうがよほど寒いほどです。風の強い日はありますが、長く暗い冬さえうまく乗り切れれば、なんとかなります

総じて、ストックホルムは日本人にとって非常に住みやすい都市です。スウェーデンは「ヨーロッパの日本」と言われるように、日本との共通点が意外に多いからです。室内で靴を脱ぐ、勤勉、まじめ、時間に厳しい、ほどよさを美徳とする、やや人見知りな国民性、オタク文化、ハイテク志向——数えきれないほどの共通点があります。

とくにストックホルムは、他のスウェーデンの都市と比べて人々が「冷淡」で「働きすぎ」と言われることもありますが、この点も東京とよく似ています。ビザや行政手続きの簡素化・オンライン化が進み、英語でのやりとりもスムーズなので、その点も安心材料です。

以上、愛する街ストックホルムの紹介でした。これから留学や移住を考えている人の参考になれば幸いです。

よくある質問(FAQ)

ストックホルムの人口はどのくらいですか?

ストックホルム市の人口は約97万人です。スウェーデン全体でも約1,000万人と、北欧最大の都市ながら日本の都市と比べると小規模です。そのぶん、自然と都市機能が近く、コンパクトに暮らせるのが特徴です。

ストックホルムの治安は良いですか?

他のヨーロッパ主要都市と比べれば良好とされています。中心街の一部や特定の郊外では注意が必要な場所もありますが、全体としては安全に暮らせる水準です。英語がほぼ全員に通じるため、トラブル時の意思疎通で困りにくいのも安心材料です。

ストックホルムの冬はどのくらい寒いですか?

最も寒い1月でも平均約-3℃で、日本の寒冷地のほうが厳しいこともあります。むしろ課題は寒さより日照時間の短さで、冬は日の出が8時半ごろ、日の入りが15時前。運動やビタミンD摂取など、暗さ対策が快適に過ごす鍵になります。

ストックホルムの生活費は月いくらくらいですか?

住居費・光熱費・食費・通信費を含めて月15万円程度が一つの目安です(為替・物価により変動)。物価は高く、普通のランチでも1,500円前後かかります。一方で賃金や労働環境は良好なため、働きながらであれば十分に生活が成り立ちます。

スウェーデン語が話せなくても住めますか?

住めます。スウェーデンは非英語圏で最も英語が流暢な国の一つとされ、老若男女を問わずほぼ全員が英語を話します。行政手続きも英語対応・オンライン化が進んでいるため、スウェーデン語が話せなくても留学・移住のハードルは低めです。

タイトルとURLをコピーしました