PR不確実性の高い時代の根を張らない生き方のすすめ:その2〜「やりたいこと」との向き合い方
2021.04.22
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座談会:やりたいことと向き合う方法
両角
今から、質疑応答っていう感じにしたいんですけど、いきなり皆さんに「質問して」っていうのも難しいと思うので、櫻田さんと津富先生にお願いしてやっていこうかなって思います。その前にまず、他の皆さんも自由に聞きたいことあったら聞いてください。
さくらだです。偶然性を高めるためにやってきた事っていうスライドがあったじゃないですか。たっぺいさんはそこにつきると思うんですけど。そこで、自分をプロデュースするとか自己紹介をするとかっていうのは簡単そうだけど、難しいじゃないですか。初対面の人と会った時に、どうするのかなって気になったので、ちょっと簡単にやってみてもらいたいなって。
両角
津富先生
なかなか学生が注文してくるのって少ないから自己紹介やってみて。例えば、櫻田が知らない人だとして。
両角
じゃあ、勉強会に参加した時の日本版とヨーロッパ版で。
(まずは日本版から)
両角
両角
津富先生
両角
津富先生
両角
やっぱり、自己紹介をするには相手をまず知らないといけないから、まず相手を知るということが大事ですね。知らないで、いきなり会っても話すことがないから、「何か共通点はないかな」って常に探していると思う。とにかく、共通点を探すっていうことですね。
それで、その人と仲良くなったとするじゃないですか。それで自分をアピールするにはどうしたら良いのかなって。日本人ってちょっとアピールが苦手じゃないですか。
両角
例えば、名刺とかもらったらすぐメッセージを書くといいですね。「今日はお会い出来てよかったです」って。あとは自分の経歴とか所属団体について述べたり。これは、自分は偉いぞっていう意味ではなくて「あ、この人こういうところに居たんだ!」ってなる可能性を掴むためのものですね。日本人は、そういうのを出し惜しみしちゃったりするので、もったいないです。
津富先生
両角
津富先生
さくらださんも「なんで両角さんと知り合いか」を自己紹介しないと
なんで両角さんと知り合いかっていうと、前期の集中講義で津富先生の授業の地域づくりインターンシップていうのを受けて、インターンシップ先を探していたんですね。そして漠然と海外に行きたいなって津富先生に話したら、私も北欧好きだからということで両角さんを紹介してもらって・・・それでインターンシップに行ったときに、めっちゃお世話になったっていうことです。
両角
津富先生から、うちの生徒でインターン先を探している子がいるから、インターン先を探してくれって言われて。
津富先生
適当さをカタチにするためにはどうすればいいか?
津富先生
うーん、なんか適当な感じで出来てるなぁって感じました。
両角
なんか、偶然性を高めるっていう話でも思ったんですけど、なんか適当なんだなって。私も適当なところがあるんですけど。だから、その、適当を形にしていくのってどうすればいいんだろうなって思いました。
津富先生
なるほど。じゃあ、この人は適当を形にする為にどんな努力をしたと思いますか?
さっき言っていたみたいに、自分のアピールをしていたり、やるときはやっていたのかなって。英語の勉強とかも。
津富先生
やるときはやるって本当ですよね。この人が外国行くってなったときは、毎日英語の勉強をちゃんとやっていましたし。さっき言っていたように、ヨーロッパの大学院ってそこそこ大変だったはずだと思いますよ。あと、ただ修士をとったわけではなくて、ずっと発信していましたからね。だから全然違うことになっていったんだと思います。
両角
僕はやっぱりその、内なる動機っていうのを大事にしました。親って言いますよね。「こういう人生がいいんじゃない?」みたいな。けど、どんどん言わなくなっていきました。今ではなんも言わないですし、今僕が何やっているかもあんまり分からないとおもいます。
両角
それこそ、山田ズーニーさんの最近のコラムで面白かったのが 「アバター化する母娘関係」 っていうものだったんですけど。要は、最近の母と息子の関係はマザコンって言われていたけれど、母と娘の関係も気になると。母が実現できなかったキャリアプランを娘というアバターを使って実行させようとするっていう風に日本はなっていませんかね? これを聞いて、ああ、あるかも~って思ったんです。周りの女友達に聞いてもそういってましたね。最終的には、自分のことは自分で意思決定しないと幸せになれないって思っているので。
そういうことに重きを置いていたからここまで来れたのかなって思います。それこそ、修士をとるとかもありましたけど、 内的な動機を深めていったら原動力になったのかなって思います。 それこそ僕、本とか全然読めないんですけど、小説も読めないんです。だって、センター国語も101点だったし。だけどね、自分のやりたいことだったら直ぐにパッと動けるのかなって思います。多分それは皆さん一緒だと思うんです。自分のやりたいこととか何かやんなきゃっていうときに動けるっていうのは。だから、そこを深めていければいいんじゃないかなって思いました。
やりたいことはどう探したらいいか?
津富先生
両角
はい。それこそね。見つけるのって大変ですよ。やりたいことを見つけるために自己分析をするだけじゃ見つからないなって思います。それこそ山田ズーニーさんの言葉なんですけど、 「私の場合やりたいことは、人に引き出され導かれして初めて見つかっていった。やりたいことは人とのつながりの中にある」 って。なるほどって思ったんですよ。やっぱり、人と交流していく中で「あ、これやりたいのかな」っていうのが出てくるんですよね。っていう風に一つ思ったんですけど。
それを見つけるための一歩として何か行動をしなくちゃいけないと思うんです。 例えば、本を読むのもいいですし何かサークル活動をするにもいいですし。とにかく自分でアクションを起こすっていうことですね。 高校まででやりたいことなんて見つからないですよ。だって、狭い社会の中でずっと生きてきましたから。
でも日本はこんなに大学が自由だから。大学こそみんな「人生の夏休みだ」って言ってますし。高校受験が終わって「やったー!」ということで色々自由なことができるようになったと思うんですけど、最近はそうではなくなってきている。例えばバイトもそうですし、金銭面を賄うことでやらなくちゃいけないことが多くなると、暇な時間が無くなるんですよね。
あと、人の目を気にしますよね。 それこそ、今が「正直になれる」最後の時期だと思います。自分の持っている価値とかに向き合って、やりたいことをやれるっていう。やっぱり、人の目を気にしなくていいですよ。 そんな感じでよいですかね?
津富先生
やりたいことはどうやって見つければ良いですか?っていうやつだったよね。
だから、人と出会って、いろんな活動に参加して、喋って・・・ってことですよね。
両角
なんかこういう風に活動していると「たっぺいさん、やりたいことあっていいですね~」とかって言われるんですよ。そうでもないのかなって思ったりもするんですよね。 そもそも、やりたいことって移り変わるようなものじゃないですか。やりたいことがある人って、なんか一貫性があると思われていますけど、僕、自分がフリーランスになるなんて全く思ってもみなかったですからね。 で、なんかやりたいことがない人は「自分がない」なんて言われるし・・・
津富先生
「やりたいこと」と「やるべきこと」っていうのは、たっぺいの中で一緒ということなのかな?
両角
最初は、「やりたい」がわりと散漫でしたけど。起業するとかDJするとか。でもそれはそれでいいと思うんですよ。「主体性」があるから。で、色々やっていく中で「自分でやる」という感覚が分かってきて、楽しくなるみたいな。 やるべきことっていうのは、「自分がやらないで、誰がやるんだ」って思えるくらいの何か衝撃的なことに出会えるっていうことなのかなって思います。それが使命感になるみたいな。
やりたいことは自己実現が目的だけど、やるべきことっていうのは目的が外部化するっていう。 社会や他の人の為ってなると、人って凄く力を発揮しますよね。 それこそ、主体性は出たけど、目的は何かなっていう時が来るんですよね。目的は、なにか自己完結しててなぁみたいな。けど、自分が出くわして、「誰がやるんじゃ」ってなると、 「あ、これは社会を変えるための何かになるんだ」って思えたときに、すごく力が出ると思います。その時に「やりたいこと」と「やるべきこと」が一致するんじゃないかなって思います。 どうでしょうか?
津富先生
今の答えについてどう思うかっていうこと?要するに、自分のやりたいことはやりたいことでいいんだけど、それが他者にとって価値を持つとかそういう時にもっと本気が出せるというか。 あとは、主語が「I」だったのが、「We」になったりとか、ただ自分達ではなくてみんなと一緒にやっていくことによって「みんなでやっていることなんだ」という風になるんだな って思いました。
両角
じゃあ、最後に締めです。まあ、自分に向き合って「あなたはアバター化していませんか?」とか「誰かに人生乗っ取られていませんか?」っていうことを問いてみるのもいいんじゃないでしょうか。素直にやりたいことを自分で決めていけばいいんじゃないでしょうか?人生はシンプルです。やりたいことは人とのつながりの中にある。だから、繋がっていきましょう。
自分を表現して行動していく中で偶然性は高まっていきます。そして、人と繋がることができて「やりたいこと」が出てきたりします。
職業をどうなりたいって考えるよりも、実はテーマなのかなって思います。僕の場合「教育」とか「若者政策」とかに関わっていきたいと思いますし。
あと、世界観っていうのはまあ、スウェーデンみたいな社会ですね。ああいう世界が出来ていったらいいなと思いますんで。だから、職業っていうのはそんなにこだわらないというか。山田ズーニーさんが 「職業」「テーマ」「世界観」 この三つで自分の将来を考えたらいいんじゃないかなって言ってて。それで僕はここまでこれたんじゃないかなって思うんですよ。それこそこのスライドでいうとね、僕は今フリーランスでブロガーということですけど、テーマと実現したい世界観があるから、地に足をつけずというかね、職業にとらわれず国にもとらわれず出来ているのかなって思いますね。
両角
おそらくこれがですね、今回の講演の目的だった「根をはらない生き方」なのかなって思います。ので、今回はこれでお話を終わりにしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
津富先生
前期の授業もとられた方は『その幸運は偶然ではないんです』を読まれたと思うんですけど、彼も偶然性というのをすごく意識しています。偶然性を追いかけると根を張らない生き方になりますよね。だって想定外を増やしていくわけですから。 もうお分かりだと思うんですけど、今の不確実性が高まっている世の中で「根をはる」っていうのは凄くリスキーなことです。 で、じゃあなんとなくくじ引きを繰り返す人生でいいのかっていうとそうではないんですよね。 彼の言っているのは、テーマに沿って偶然性を高めていくっていうことです。
皆さん人生は一回ですから、 生きててよかったなとか誰かの役に立ったなとか、生きがいを感じるためには「自分のテーマ」 っていうのがすごく大事だと思うんですよね。それってどうやって出会うの?っていってましたけど、彼は動くことが主体性から始まるっていってましたよね。多分そうです。
多分そうですっていうのは、自分が動いているうちに自分が唯一無二の存在になっていくっていうことがあります。彼はスウェーデンに勉強しに行った日本人で「若者政策」を専門にやっているのは、彼が唯一ですよね。私も非常に変わった経歴ですけど、少年院に勤めた後に大学教員になった人って、日本に二人くらいしかいないです。
で、そういうね、私しかない唯一っていうのは、ちょっとした自分のテーマによってつくられていきます。人生って不思議なものですよね、僕は根を張らないっていうのが圧倒的に力があると思っています。静岡県立大の卒業生の方達はそれぞれ、いろんな人生を送っていて、必ずしもめっちゃ稼いでるわけではないんですけどね。
でも、キャリアって考えたときに、彼の生き方は非常に重要な生き方だと思っているので、ぜひ皆さん友達になって学んでいってくれればなって思います。まあ、あの、最初は好きなことしていいよっていってるんで、好きなことしたらいいですけど、その中で自分との対話だよね。それを繰り返していくことによって成長していくと思うので。私はそれを楽しみにしています。
両角
以上、全2回に渡って「根を張らない生き方」をお届けしました。いかがだったでしょうか。
「根を張りながら」根を張らないということ
ひとつ付け加えたいのは、 根を張らないといいつつも「根を張る」のが大事 ということです。僕自身、通訳や講演の仕事を多方面からいただけるとのは、このように唯一無二の独自のテーマを持ちながら、それをブログで発信してリーチャブル(reacheable)にしつつ、日本の方とローカルで繋がっていることがあるからだと思います。
それこそ、大学時代からずっと若者支援の活動をしていたので、各種勉強会やイベントに参加したりこちらが主催したりということをずっとやってきて、今も続けています。その中で、こういうことをしているから是非!というお誘いをいただくことが多いです。一緒にやりましょう!と誘うこともあります。また、四月から日本の大学で授業を持つようになったのですが、それも僕の講演会に参加いただいた教授からのお話があって可能になったことです。
海外留学組や移住者は特に、文字通り日本で地に足をつけていない人が多いです。その人の生き方を尊重するので、とやかく言いませんが、実際には大きな機会損失をしているなと思っています。それこそテーマ探しも日本にいる時からできますし、帰国後に仕事やビジネスチャンスを探すときにも、ローカルなネットワークは必然です。特に海外帰国組は、煙たがられる傾向にあるので、日本でのローカルな専門性を高めつつも海外にいる強みを伸ばしていかないと受け入れてもらえません。
それが根を張らないことを軸にしつつも、根を張るということに繋がるのです。
この不確実性の高い時代を、より良く生きるヒントになればと思います。