先日、6月19日付の中部経済新聞「オープンカレッジ」に寄稿した記事が掲載されました。タイトルは「若者の声を聴く社会へ─参画を支えるユースワークの可能性」。日本では「若者の社会参加」という言葉がよく使われますが、私は意図的に「参画」という表現を選んでいます。参加が「そこにいること」を指すのに対し、参画は「意思決定や行動を通じて社会を形づくること」を意味するからです。
記事では、スウェーデンをはじめとする北欧の実践を紹介しました。スウェーデンでは若者の投票率が80%を超え、全国の若者の7割が「若者団体」という組織に属しています。若者団体やユースセンターは単なる余暇活動の場ではなく、民主主義を日常で経験し、実践する場所。ここで「自分の声が社会に届く」という体験を重ねることが、将来の政治参加や地域参画を支える基盤になっています。
日本でも若者支援に取り組む人たちから「どうすれば若者の社会参画を進められるのか」と問われます。多くの場合、意識啓発や投票呼びかけなど、表層的なアプローチにとどまりがちです。しかし、スウェーデンの事例から学べるのは「仕組みをつくること」の重要性です。制度的に若者が意思決定に関わる場を増やし、資金や支援を届けることで、権限移譲が当たり前になる土壌が育ちます。
また、ユースワークは特別なプロフェッショナルだけが担う活動ではありません。学校や地域で若者の声を聴き、その思いを実現する仕組みづくりを支える営みです。大げさに言えば、「若者のためにしてあげる」のではなく、「若者とともに社会をつくる」こと。こうした視点を共有することで、日本でも「若者が主役になれる場」を少しずつ増やせるはずです。
今回の寄稿は紙幅の関係でかなりコンパクトな内容になりましたが、ユースワークの魅力や奥深さは語り尽くせないほどです。もし関心のある方は、ぜひ実践の現場に足を運んだり、一緒に議論できたら嬉しいです。
(本記事は中部経済新聞2025年6月19日付掲載記事をもとに執筆しました)
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