スウェーデンの再生可能エネルギー政策は、未だに原発あり。 石油にもまだまだ頼っている。1980年に原発投票 25年以内に廃止を決定したがまだそのようになっていない。現政権は原発保持という方針それをとめるための政策に取り組んでいる。 既に原発があるところに投資しようとしてるがそうするとコストがかかるので それを再生可能エネルギーで代替させたい。原発の新規コストは高い。フィンランドも作っているが、長期化、予算の膨大化が陰りを見せている。経済面をみれば、風力太陽光でも原発と競えるぐらい安くなってきた。
ストックホルムの近郊、ウプサラでスウェーデンの環境政策、緑の党のお話しを聞いてきました。この会はリボーンという団体の海外エコツアーの一環で、スウェーデンに訪問して自然エネルギーや福祉社会について学ぶというもので、多様な世代の日本人の参加者がいらっしゃいました。
話者は以下の2人。

Flickr: Socialdemokraterna Kenneth Gunnarsson
緑の党ウプサラの代表のマリアガードフェル(Maria Gardfjell)とティーエプ市の緑の党のグループリーダーのケネスグンナション(Kenneth Gunnarsson)。
環境政策についてはあまり詳しくはないのですが、色々勉強になりましたのでシェいたします。以下、簡単なメモです。
緑の党について
- 緑の党(みどりのとう、Miljöpartiet de Gröna)はスウェーデンの環境政党。直訳すると環境党緑。1980年に行われた原子力発電に関する国民投票における反対運動が母体となり、1981年に設立された。1988年に初めて議会で議席を得た。支持者には若年層が多い。(ここまでwikipedia参照)
- 党首はグスタフ・フリードリンで2002年、当時19歳で国会議員になった。
- 緑の党はスウェーデンのエネルギー政策の改善に取り組み、主な政策主張は環境エネルギーを100パーセント再生可能にすること。 その方法は第一に、エネルギーの節約。電気機器の消費抑えれば半分になるという研究結果がありそれに注力している。
スウェーデンのエネルギー政策
- スウェーデンには、未だに原発あり (12基)。 石油にもまだまだ頼っている。1980年に原発投票 25年以内に廃止を決定したがまだそのようになっていない。現政権は原発保持という方針それをとめるための政策に取り組んでいる。
- 既に原発があるところに投資しようとしてるが、そうするとコストがかかるので それを再生可能エネルギーで代替させたい。原発の新規コストは高い。フィンランドも作っているが、長期化、予算の膨大化が陰りを見せている。経済面をみれば、風力太陽光でも原発と競えるぐらい安くなってきた。
- 風力発電:スウェーデンには広大な土地があるから風力発電に力をいれている。ドイツでも進めているがスウェーデンほど場所がない。しかし風力に反対している人も多いのでこれをいかにとりこむかが課題。水力発電:100年前から利用している。スウェーデンで開発されていない川は4本しかない。 水力の開発は環境破壊になる。だから開発されていない川を守るのが大事。太陽エネルギー: ウプサラでは研究がある。つい最近、中国に売却。中国には資金があるのでこの産業が発達することに期待。
- 交通の便も大事。市バスの45パーセントがバイオガスバス。 個人の乗用車で使っている人もいる。
- バイオ燃料: 地域の暖房の燃料のほとんどがバイオ燃料になっている。別の街ではできているが、ウプサラでは5年から10年先に ここでもバイオ燃料をつかうことになっている。ウプサラ大学が最近、開発している波力発電も進んでいる。
- 再生可能エネルギーの割合が増えている。第一次エネルギー供給力は原発28%。第2次世界大戦 で原爆の開発も考えていたが、アメリカの失敗をみて、平和利用に転換。70年代に始めて建設。それから12基ができた。最後の一基の設置は85年。というのはスウェーデンの一人当たりの原発依存度はヨーロッパのなかでとても高い。1年間ひとりあたりのキロアワーは5300kw、フランス 11000kw、日本 2100kw (全て稼働しているとき) 。これは日本のほうがやりやすいということである。
スウェーデンの原発政策の変遷
- スウェーデンでも日本と同じように、原発を廃止しても大丈夫かという不安がある。最近は「クリーンなエネルギー」として表現されており、ウラン濃縮などの問題を目立たないようにしている。スウェーデン人は政府への信頼度が高いため、チェルノブイリの問題も、もう大丈夫だという風潮がある。なので福島が起きてもそんなに盛り上がらなかった。
- 70年代は他の環境問題にも議論が広がった。例えば、廃棄問題。 当時の首相は反対していて、完成していても動かさないという主張だった。しかし、電力会社、産業界からの圧力があり実現できず、首相は妥協した。稼働はさせるが条件として廃棄物問題を解決した上で稼働という妥協。しかし、新しい首相になって廃棄物問題はもう既に解決しているということになってしまった。その議論があったおかげで、89年の国民投票で議会が25年での廃止を決定した。
- スウェーデンは妥協案が大好きである。処理方法は掘って埋めるというのが主流だったので、それに決定したがどこに埋めるかで問題になった。岩盤を調査したが、どこでも地元の人が反対した。そこで国が仲介して対話プロジェクトというのが始まった。狙いは「受け入れ自治体を見つけること」行政機関、環境団体が加わったが電力会社は関わらなかった。結果は今でも生きている。透明性を高くし、住民が情報をもらうこと、財源を確保することを確約 。しかし原発産業は反対し、受けいれを検討しないか聞くことにした。調査するのはやめて地質で判断し、住民に説得するように働きかけるようにしたのだ。しかし、スリーマイル事件、 チェルノブイリ事件の後だったので反発は多かった。自主的に検討したいと手を挙げたのが22自治体。 18は政治家や住民投票の判断でやめたが、2自治体が残った。 毎年この2つの自治体で世論調査をしているが、 80%が賛成している。全国調査では69%が自分の自治体に受け入れたくないと考えている。なのでその2つの自治体が受け入れを考えたのは地質で判断したのではなく、世論が前向きになったからといえる。
- 原発政策は世論の動向が最も重要で、世論が前向きになるのは経済的問題が絡むときである。しかしそのような判断は他の問題をもちろん無視していることになる。スウェーデンは世界の中でもこのプロセスが最も進んでいて、再生可能エネルギーの研究の許可申請もしている。このためには市民団体とうまくやっていかないといけない。
- 99年に新しい環境法ができ、市民団体が環境政策の決定に関わることが明記された。原発、廃棄問題は難しいから政府は法を改正、2005年に新しく決まったのは、原子力会社が再生可能エネルギーの資金をためていて、それを市民団体も利用できるようになった。ふたつの自治体での受け入れが決まってから、ほとんど全国的な議論はしなくなった。この問題は難しいから政治家も議論したがらない。 2つの党しか主張を明らかにしていない。環境党はこの議論が活発になるときに広がる余地がある。
質疑応答
Q:技術的問題はほんとにあるのか。ヒルズでの自家発電で結局電力がまかなえたという事実が明らかになった。
A:日本と同じで電力会社が強く反発している。自然保護協会がつくったエコマークつき電力というのがあるが、ウプサラ市はエコマークしかついてないものを買うことに決定。自治体の購入ガイドというのもある。ちなみにオストハンマー市(原発自治体)がどの電力が一番安く変えるかを調べた結果、原発ではなくて、風力だった。
環境先進国のイメージが強いスウェーデンですが、あるんですねスウェーデンにも原発は。しかし、スウェーデンらしいなというのは、住民や市民団体を世論調査や、対話プロジェクト、受け入れ自治体を公募したりして、環境政策の意思決定に巻き込んでいる点でしょうか。99年の環境法で市民団体が環境政策の意思決定に関わることが明記されたことも印象的です。この意思決定のプロセスを民主化することによって、透明性とアカウンタビリティーを高めていることは、環境政策に限らず様々な政策決定においてスウェーデンでは重視されていることだなと感じました。