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「社会を変えられる」日本の高校生は35.4%|日米中韓調査を研究者が考察

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この記事のポイント

  • 国立青少年教育振興機構が2021年6月に公表した日米中韓4か国の高校生調査の結果と、考察を担当した筆者の見解をまとめています。
  • 社会参加への意識は4か国とも2008年調査より高まっている一方、「自分の参加で社会を少しでも変えられるかもしれない」と感じる日本の高校生は35.4%で、4か国中唯一4割未満でした。
  • 日本の高校生は学校行事・部活には積極的ですが、生徒自治活動への参加意欲は4か国で最も低く、関心は趣味やアルバイトなど私的な領域に向かっています。
  • これは若者が「自分本位」だからではなく、声が届く回路と経験の不足によるものだと筆者は考えます。子ども・若者の代弁組織の位置づけと、若者文化への着目を提言しました。

2021年6月、国立青少年教育振興機構が「高校生の社会参加に関する意識調査報告書―日本・米国・中国・韓国の比較―」を公表しました。私(両角達平)は、この報告書の考察の執筆に携わりました。

高校生の社会参加に関する意識調査報告書(日本・米国・中国・韓国の比較)

「日本の若者は社会に関心がない」「自分のことしか考えていない」と語られることがあります。調査結果は本当にそう言っているのでしょうか。本記事では、調査のポイントと考察の要点を整理します。

▶ 報告書(全体版PDF):高校生の社会参加に関する意識調査報告書―日本・米国・中国・韓国の比較―(国立青少年教育振興機構)


調査の概要

実施機関独立行政法人 国立青少年教育振興機構
調査期間2020年9月〜2021年2月(国により期間が異なる)
対象・有効回答数高校生 日本4,623人/米国1,300人/中国5,019人/韓国1,526人
公表2021年6月
目的高校生の社会参加に関する意識や実態を把握し、4か国比較から日本の特徴と課題を分析する

調査結果のポイント

社会参加への意識は4か国とも高まっている

まず押さえておきたいのは、社会参加への意識そのものは、日本を含む4か国すべてで2008年の同種調査より高まっているという点です。「日本の若者だけが無関心」という単純な図式では読み解けません。

それでも「社会を変えられる」と思えない日本の高校生

一方で、参加の効力感には大きな差があります。「私の参加により、変えてほしい社会現象が少しでも変えられるかもしれない」に肯定的に答えた割合は次のとおりです。

国「社会を少しでも変えられるかもしれない」(肯定計)
中国79.6%
米国70.5%
韓国69.6%
日本35.4%

各国とも2008年より数値は上がっていますが、4割に届かないのは日本だけです。参加したい気持ちはあっても、それが社会に届く実感を持てていない――このギャップが今回の調査の核心だと考えています。

学校行事には積極的、生徒自治には消極的

学校内では、日本の高校生は「学校行事(運動会や文化祭等)」「部活・クラブ活動」に積極的に参加していると答えた割合がいずれも約6割で、4か国中最も高くなっています。

ところが、生徒自治活動に「参加したい」と答えた割合は40.2%で、中国(79.5%)、韓国(72.0%)、米国(47.0%)を下回り4か国で最低でした。用意された活動には熱心でも、ルールや仕組みを自分たちで決める活動には距離があることがうかがえます。

関心は公的な事柄より私的な事柄へ

学校外では、日本の高校生の8割以上が「趣味に関する活動」「アルバイトや仕事」に関心があると答えています。対して、地域の子ども・若者の交流活動や政策に意見を述べる活動といった公的な領域への関心は相対的に低い傾向にあります。

日本の若者は「自分本位」なのか?――考察

こうした結果から「日本の若者は自分本位だ」と結論づけるのは早計だと私は考えます。

  • 意識は高まっている:社会参加への意識は2008年より上昇しており、関心そのものが欠けているわけではない。
  • 欠けているのは効力感:「参加しても変わらない」という感覚は、個人の資質というより、声が意思決定に反映された経験の乏しさを映している。
  • 私的関心は合理的な選択:公的な回路が見えにくい社会では、手応えのある私的な領域に関心が向かうのはむしろ自然である。

つまり問われるべきは若者の意識ではなく、若者の声が届く仕組みと、それを経験できる場が社会の側に用意されているかです。

提言:代弁組織と若者文化への着目

子ども・若者の代弁組織を位置づける

ヨーロッパでは、若者自身が運営する若者協議会(ユースカウンシル)などが、若者の声を政策に届ける組織として制度的に位置づけられています。日本でも、個々の若者が単独で声を上げるのではなく、若者の利益を代弁し、継続的に政策過程に関与する組織を公的に位置づけることが効力感の土台になると考えます。

若者文化に着目する

趣味やアルバイトへの高い関心は、裏を返せば、若者が主体的に関われる領域がそこにあるということです。音楽やゲーム、スポーツなどの若者文化と余暇の場(ユースセンターなど)を入口に、自分たちで企画し決める経験を積み重ねることが、公的な参加への橋渡しになり得ます。

▶ 考察の全文は報告書に収録されています:報告書(全体版PDF)

その後の動き(追記)

  • 2021年11月、機構の青少年教育研究考察会議「読んでみた!高校生の社会参加に関する意識調査」で、津富宏さん、林大介さん、奥ちひろさんとともに調査結果を議論しました(開催概要)。
  • 2023年4月にこども基本法が施行され、こども施策にこども・若者の意見を反映させることが国と自治体に求められるようになりました。調査が示した「声が届く回路」の課題は、今まさに政策の中心テーマになっています。

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よくある質問

日本の高校生は社会参加への意識が低いのですか?

一概に低いとは言えません。社会参加への意識は2008年調査より高まっています。低いのは「自分の参加で社会を変えられる」という効力感で、肯定的な回答は日本35.4%と、米国・中国・韓国の約7〜8割を大きく下回りました。

日本の若者が「社会を変えられない」と感じるのはなぜですか?

若者の声が意思決定に反映される仕組みや、それを実際に経験する機会が乏しいことが大きいと考えられます。生徒自治活動への参加意欲が4か国で最も低いことも、学校段階から「自分たちで決める」経験が少ないことを示唆しています。

高校生の社会参加に関する意識調査の報告書はどこで読めますか?

国立青少年教育振興機構のサイトで全体版PDFが公開されています(報告書PDF)。筆者による考察も収録されています。

若者の社会参加を促すには何が必要ですか?

筆者は、若者協議会などの子ども・若者の代弁組織を公的に位置づけること、そして若者文化や余暇の場を入口に、自分たちで企画し決める経験を積める環境をつくることを提言しています。


考察はあくまで私のいち見解です。調査結果をもとに「なぜこうなのか」「どうすればよいのか」という議論を広げていくことが大切だと考えています。ご意見・ご感想をぜひお寄せください。

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