子ども系NGOの「”スウェーデンの子どもの貧困”に関する調査にメディアから牽制があった」ことが報じられましたが、それに応じる形でセーブ・ザ・チルドレン-スウェーデンがホームページにて声明を発表しました。質疑応答形式になっています。以下、ホームページより簡単に翻訳して転載です。
セーブザチルドレンは貧困状態にある子どもたちから身をひくのですか?
いいえ、SVT(スウェーデンのNHK)のリポートはそう言ってますが、それは違います。これは(当日使っていた)キャンペーンの映像から距離を置くという意味です。「キャンペーン・ブラック」は2011年の秋で終わっています。
子どもの貧困の数値は誇張されているのでしょうか?
今年の最新の報告では24万2千人のスウェーデンにいる子どもが、経済的な危機、または子どもの貧困に直面していると報告しています。このレポートでは、この報告の数値が正しくないと指摘する批判や証拠はありません。アフトンボラーデット社(新聞社)のJanne Josefsson自身も1月17日の放送の二日後に、「私は、スウェーデンに貧困状態にある子どもやそれを裏付ける数字もない、と訴えているわけではない。疑問を投じているだけだ。私たちが調査しているのは実態はどうなっているのかということだ。」とコメントしている。
「子どもの貧困」はどのように測っているのか?
セーブザチルドレンは、貧困状態にある子どもの数を測るのに2つの指標を用いている。
子どもと過ごしている家族が…
- 生活保護を受けているかどうか
- 家賃、食費、服、保険などの最低限の出費を賄えていない、いわゆる低所得水準にあるかどうか
の2つである。この指標をこれまでの10年間ずっと用いてきた。
スウェーデンには、本当に”子どもの貧困”があるのか?
はい。 私たちが答えている質問は貧困についてのみですが、この概念は関連性があると思っています。同様に、常に資源が乏しい環境の中で育った子どもについては、経済的な脆弱性という用語を使っています。そうすることで人々に彼・彼女らが他の人たちと同じ機会がないという事実を教えてくれるのです。
(参考: Child poverty – a fact in modern Sweden ここから www.fattigskolan.se 子どもの貧困に関するより具体的なセーブザチルドレンの活動がみれます。Questions and answers on child poverty.)
一千万人の4分の1の子どもたちが、お腹をすかせており、冬の靴を持っていないというのは本当なのでしょうか?
いいえ。ひとりひとりの子どもについては言えません。セーブザチルドレンからも他の団体からも、食料が足りていない子どもや、冬にふさわしい靴を履けていない子どもの正確な人数を示す調査は出ていません。セーブザチルドレンは、子どもやその家族、教会やその他の団体、地域の子どもと関わる組織から、この種の脆弱性についての定期的な警告をうけています。もちろん個々の事例には、経済的状況に関係なく、十分な食料や冬の靴を優先する親もいますが。
今回のレビューの義務づけ(Uppdrag granskning)は、新たな扉を開けました。動画上に表示されたレトリックもメッセージも適切ではなかったことに同意します。このメッセージはセーブザチルドレンが伝えたかった子どもの経済的な脆弱性の実態とは一貫性のないものでした。キャンペーンのインパクトと普及を目的に付け加えたのでした。このキャンペーン・ブラックはもう子どもの貧困のためには今は使われていません。
実際、子どもはどうなのでしょうか?
子どもの貧困の結果は、子どもの現在もその後の人生にも影響を与えていきます。それが意味するのは、例えば、学校の成績が下がる危険や、未履修のまま退学する危険、いじめ、家庭内暴力、余暇活動の減少、不健康の危険を高めます。そして最も大事なのが、多くの子どもが社会的な活動への参加を困難にするということです。
他の国でも状況が悪化している中、スウェーデンでは子どもの貧困についてこれからどのように議論していけばいいのでしょうか?
スウェーデンは豊かな国です。ということは、1人の子どもも不利で残されないように強く求める事ができるということです。こちらをご覧下さい。Save the Children claims
セーブザチルドレンは、子どもの権利条約(UNCRC)に基づいて活動をしている。この条約では、すべての子どもには、身体的、精神的、モラルと社会的発達のために適切な生活水準を求める権利があるとしている。それはゆうなれば、妥当な生活水準である。それは子どもの能力を限定してしまうようなものではない。第4条には、「 締約国はこの条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる」と述べられている。これが意味するのは、豊かな国のスウェーデンで子どもの貧困があってはならないということだ。しかし実際は未だに存在している。
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とまあセーブザチルドレンは、キャンペーンの動画で扱った数字が誇張であったという事実も認めつつ、子どもの貧困問題を認識するよう改めて主張しました。NGOであれど調査方法があいまいで誇張表現をもちいてまで世論喚起をしては、市民活動失格です。その監査役にこのようにメディアがなっているんですね。