こんにちは。本日から、一週間リトアニアの首都ヴィリニュスに滞在して、あるイベントに参加してきます。そのイベントとは、国際的な非政府独立組織トランスペアレンシー・インターナショナル(TI) が毎年2000年からリトアニアで開催しているサマースクールです。
その名も、Transparency International School on Integrity 2016です。
トランスペアレンシー・インターナショナルとは?
Transparency International、訳してTI(ティーアイ)は、ドイツの首都ベルリンに本部をおく世界の110カ国に拠点をもつ国際NGOです。「汚職・腐敗の防止を促す社会システムを構築、腐敗との闘いをリードする市民社会組織として腐敗のない世界の実現」をミッションとしています。
1993年、ベルリンで反汚職・腐敗のシンクタンクとして、世界銀行のアフリカ担当局長であったピーター・アイゲン氏によって創設されました。日本にも支部があります。
TIの活動分野は多岐にわたります。メディアの透明性、公共財源と調達の透明性、政党・政治的キャンペーンの透明性、ネットの透明度を確保するツールの開発、市民のエンパワメントと教育、若者世代への透明性の原則と伝達と反腐敗的な活動への巻き込み、などです。
腐敗度指数とは?
TIの知名度の高い活動の一つに、「腐敗認識指数(CPI)」の公表があります。
「腐敗認識指数2015」では、世界168の国・地域を評価し公表しました。腐敗認識指数は、公共部門の汚職レベルを0(腐敗度が高い)から100(腐敗度が低い)まで指標化してあります。その度合いを国際比較し、国・地域別のランキング化したものです。
今回の発表では、168カ国中、68%の国や地域でいまだに指数50を下回っており、深刻な汚職問題をぬぐいきれない状況にあるということです。
上位5カ国は、以下の通り。(〜点)は汚職度指数(CPI)の点数です。
1位 デンマーク(91点)
2位 フィンランド(90点)
3位 スウェーデン(89点)
4位 ニュージーランド(88点)
5位 オランダ/ノルウェー(87点)
日本は2014年の15位(76点)から18位(75点)に順位を下げました。アジアのトップはシンガポールで8位(85)で、香港も日本と同じ18位(75点)、台湾は30位(62点)、韓国は37位(56点)、中国は83位(37点)でした。
「なぜ汚職度指数は認識に基づいているのか? 」
「どの国や地域が汚職度指数に含まれるのか?そして、なぜなのか?」
「汚職度指数の情報源は何か?」
などの疑問はこちらのTI 日本支部の文書がわかりやすいです。
Integrity とは何か?
今回のサマースクールの名前はSchool on Integrity ですが、integrityとはなんでしょうか。
Integrity「整合性・完全性・統合性・高潔・品位」などいろいろありますが、ピーター・ドラッカーの翻訳では「真摯さ」と表現されています。
“They may forgive a person for a great deal: incompetence, ignorance, insecurity, or bad manners. But they will not forgive a lack of integrity in that person.”
(無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は許さない)
マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則
また、オックスフォード英語辞書では、
the quality of being honest and having strong moral principles
(正直さと確固たる道義を備えている状態)
としています。ただバカ「正直」であれば良いというわけではなく、そこに倫理的な道義が加わった状態、つまり、「誠実さ」ともいえそうです。
今回、ぼくがこのスクールに参加しようと思ったのは、TIの活動に興味を持ったからです。数年前にベルリンで若者政策のシンクタンクで働いていたときに、TIの本部が目と鼻の先にあったものですからTIの人も私たちをよく訪問しに来ていたので、そこで存在を知りました。
TIの活動にもっと関わりたいと思ったのは、大学院の「教育とプランニング」というプログラムをとっていたときでした。このプログラムでは、UNESCOの教育政策を診断するフレームワークを使い、ある一国の教育政策を評価することになっていました。そこで気づいたのは、結局は政策を供給する側のマネジメントの問題であると。つまり政策を供給する側からの改善が、政策の実施、実現、アウトカムに作用するということです。
だからトランスペアレンシーに興味を持ったといえば飛躍がありますが、何か「民主主義を監視する仕組み」が日本にはまだまだ備わっていないんじゃないかということを、以前から考えていました。スウェーデンで様々な市民団体や若者団体を訪問してきたなかでその思いは、疑問から確信へと変わっていったのでした。そしてこれまで以上に、市民社会を担って生きていきたいという思いが強くなってきたからでした。
これまでネットとプライバシーなどの記事も書いてきていましたが、最近は書けていなかったので、これを機にいろいろ学んでまた発信していこうと思います。
そういうわけで参加します。新しい分野でどこまで、自分自身「楽しんで」できるかはわかりませんが、とりあえずまずは身を投じます。
スクール参加中は、アウトプットを兼ねてブログやTwitterでライブ実況中継をしていこうと思います。参加者向けのハンドブックは、こちらでこのように公開してあるのでぜひ興味ある方は御覧ください。
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