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なぜスウェーデンの若者の投票率は高いのか その② 政党青年部の役割

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以前書き下ろした、スウェーデンの選挙投票率が高い理由①では、その概要や地方自治体のとりくみなどに触れましたが、今回はもう少し草の根の活動である、政党青年部の活動をその理由に挙げてみたいと思います。

政党青年部とは、その名の通り政党の青年組織であり、日本でいうならば自民党青年局や民主党青年委員会でしょうか。スウェーデンには現在、8つの政党があり、そのどの政党にも青年部があります。資金源は、スウェーデン青年事業庁からの補助金や、独自で運営するロトなどを活用しています。

16歳から25歳の若者の青年部所属率は3.5%で、過去10年間でみるととくに大きな変化はなく相対的に安定しており、他の欧州諸国よりも高い水準を保っているとのことです。例えば、社会民主党青年部の支部は全国に26あり二年の一度の総会では全国から249のメンバーが集まります。13歳から30歳であれば会員になることができます。(スウェーデンスタディツアー報告書参照)

政党青年部は、政党間で方針の違いがありますが、基本的にはどの青年部も、同年代の若者の声を代弁し政治へ反映させる役割を担っています。さらにスウェーデンの政党青年部の特徴は、政党青年部が母体となる政党本部とは、政策的にも独立して活動をしているところです。同じ政党なのに本部と青年部で方針が異なった場合は、青年部として本部へ提案をするのです。先週の新聞でちょうどいい具体例がありました。

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先週の金曜日、中央党青年部のマジョリティは大麻合法化の提案に対して賛成の意向を示した。国民党自由党青年部(LUF)は2010年に同様の提案をしている。同党青年部はまた他のドラッグ使用についても解禁を検討している。

「私たちの問題意識は、薬物中毒にかかった人たちをどのようにしたら救えるかということであり、単に警察を送るという方法は効果的であるとは思いません。」と国民自由党青年部代表のリンダ・ノルドルンドはMetro新聞記者に語った。

また中央等青年部代表のハンナ・ワゲニウスはこうも述べる。

「青年部はあえてこれらの問題を異なった方法で取り上げ、事実と調査に基づいて開かれた場でディスカッションをします。例えば、客観性に基づいて言えば、大麻はアルコールよりも危険性が低いという事実があります。」

ちなみに中央党本部(大人で構成される中央党本部)は全く反対の姿勢をとっている。これは、政党青年部が母体となる本政党と一致しない意見のひとつである。しかし、ヨーテボリ大学政治学者ピター・イサイアソンは、将来的には若者の意見は変わる可能性があるとコメントしている。

「政党青年部は大人よりラディカル・リベラルそして理想的であり大衆の意見を反映していない場合も多い。例えば、アンダーシュ・ボルグという政治家が若いころは、民主主義を跳躍して人々にやりたいことをやってもらうと発言していたが、今はその若々しいこの発言を非難しているのだ。このようにして、本部に入党すると考え方も変わりより現実的になる」

こういった事実にも関わらず、リンダはこう述べる。

「しばらく政治活動をしていると、何が可能で何が不可能なのかというのを考慮するようになる。年をとり高い地位につくにつれて口にテープを貼付けるようになる。それでも政党青年部は、長期的視野で理想を掲げてもいい。」

参照 http://www.metro.se/nyheter/statsvetare-de-unga-kommer-byta-asikter/EVHmeo!tzvZZwcvXSEs/

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ただの下部組織、若年層の「票集め組織」として政党青年部があるわけではないことがこの記事からは読み取れます。またリンダも述べているように、理想的な政策を示すことは国の未来の方向性を示すという青年部ならではの役割なのではないのかとも思いました。

このように青年部の活動が活発な理由は、①国政選挙があるたびに実施される「学校選挙」という模擬選挙が中学校から実施されているということ、②選挙権年齢と被選挙権年齢がともに18歳以上ということもあり、同年齢に代弁者が必ずいるということ((日本は被選挙権は25歳なので24歳以下の人は代弁者がいません)、 ③そして最も重要なのは、青年部がただの本部の言いなりになって「お飾り参画」になっておらず、独立して組織化され若者の声を代弁する役割を全うしていること(例えば、選挙で選ばれる議員の25%を35歳以下の若者にするようにしたり、社会民主党の政策を検討する際に青年部のメンバーも参加したり)

などがあげられるでしょう。

日本ではネット選挙の解禁が最近されましたが、こういった環境整備も同時進行していければいいですね。日本の政党青年部は果たしてどれだけ組織化されているのでしょうか。ただの下部組織に成り下がっていないでしょうか。

日本では民間団体のインフォーマルなとりくみももちろん大事ですが、どうもそればっかが取り上げられているような印象を受けます。さらに若者の参画を進めるために様々な環境整備をすることも大事ですが、実質的なコンテンツを伴う事も大事だと思います。例えば、ここでいうならば若者の大麻規制に関する見解を国政に届けるといったことです。若者がどのように参加したらいいかという議論だけでなく、そろそろ若者世代の声を代弁をして社会に働きかけるときが来ていると思います。

なので、政党青年部という「フォーマルなチャンネル」がこのようにして組織化され社会的に位置づけられていくことも同時に重要な点であるとあえてプッシュしてみました。

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