2014年の前回の選挙で勝利したのは、社会民主党(S)と緑の党(MP)の中道左派連合体です。首相は、ステファン・ローフヴェン(社会民主党の党首)、首相代理はイザベラ・ロヴィン(みどりの党共同代表)です。
Stefan Löfven steps down as Sweden’s PM after seven years | Sweden …
ちなみにその前の2010年の選挙では、穏健党(M)、自由党(L)、中央党(C)、キリスト教民主党(KD)、から構成される中道右派連合(Alliansen)でした。
党名後のアルファベットは、それぞれの政党のスウェーデン 後の名称のイニシャルで、政党の名前をイニシャルだけで呼ぶこともあるので覚えておくといいです。
これらに加えて、左派側に左党(V)、そして右派側に、スウェーデン 民主党(SD)が主な政党になります。
以下が現在の国会における政党の構成です。半円の左側が「左派」、右側が「右派」とわかりやすいですね。
投票ができる人は?
スウェーデンでは、外国人でも投票ができる場合があります。
国会議員の選挙で投票ができるのは、スウェーデン国民(市民権)であり、選挙日までに18歳を迎えている人です。スウェーデン国民ではない人で県とコミューンで投票が可能なのは、EU加盟国の国、アイスランド、ノルウェー出身の人達です。また、EU圏外の外国人に関しては、永住権保持者で、投票日からさかのぼり3年経っている人だけです。
スウェーデン国外に住んでいるスウェーデン人も投票ができます。海外に住み始めた場合、最初の10年は自動的に投票用紙が引越し先に送られてきますが、その後は、10年ごとにスウェーデン国税庁に投票者としての登録の申請をする必要があります。投票は、郵送、大使館、または委任ですることが可能です。
2018年の今回の国会議員の選挙では、730万人に投票資格があります。初回投票者と、18歳から24歳の投票者数は減っていますが、全体では前回の2014年の投票に比べて、98000人の増加です。
コミューンの選挙では、約58万人の外国人に投票権が付与されており、これはコミューンの選挙投票者の7.4%を占める割合です。
スウェーデンではこうやって投票をします
ここからは実際の投票の手順を紹介します。
投票方法は、選挙管理委員会のホームページに記載されていますが、30の言語で読むこともできるようになっています。
投票日の数週間前に、選挙管理委員会(Valmyndigheten)から投票用紙が有権者に送られます。送付先は、税務庁に登録している住所です。送付物には、投票が可能な最寄りの場所、投票日時が示されています。投票会場は、ほとんどの場合、学校や図書館です。期日前投票は18日前から、どこの投票所からも票を投じることが可能です。選挙日当日に投票する場合は、指定された投票所へ向かう必要があります。
病気や障がいで投票が困難な場合、委任をして代わりに他の人に投票をしてもらうことができます。
投票時には、ID(個人番号が記載されている)カードを持参します。
投票所には、三色の投票用紙が置かれています。
Tryckfel på en miljon röstkort – Sydsvenskan
また、投票方法によっても使う投票用紙は異なります。1つはリストから選択する形式で、政党別に作成された候補者リストから候補者を選ぶことができる用紙です。
例えば、ストックホルムから出馬する社会民主党の候補者のリストはこの通りです。
この候補者リストは、選挙管理委員会のページにあがっており、他の政党と後者リストも同様に確認することができます。
もう1つは、白紙の投票用紙でこちらには、政党名と候補者名を記入します。(理論的には、誰の名前を書くことも可能でその名前が得票の過半数を占めたら選出されるそうです)
記名作業は、投票所の部屋の中に設置されているブースの中でします。
最後は、記入した投票用しを封筒に入れて、投票所のスタッフに手渡します。
スウェーデンは秘密投票なので、もちろん誰に投票したかを知らせる必要はありません。もし投票所で誰に投票したかを勘繰られたくなかったら、投票用紙を複数枚手にして、ブースのなかで投票用紙を記入して一枚だけ封筒に入れば大丈夫です。
開票と選出方法は?
スウェーデンは日本の二院制(衆議院と参議院)とは異なり、一院制です。国会議員は、比例代表制で選ばれます。つまり、各政党が獲得した議席数は、全国の有権者が選んだ政党の数に比例します。しかしすべての政党が議席を得ることができるわけではなく、国会においては4%、県とコミューンでは3%の得票数が必要です。*コミューンに限っては有権者数で2~3%と変動するらしいです。
スウェーデン国会議員の選挙区は、29区で、1区あたり21の県が含まれます。1区あたり2~43の議席数が人口に応じて割り当てられています。349議席のうち310議席は選挙区に割り当てられ、残りの39議席は得票と議席の乖離を防ぐための調整議席です。実際の国民の投票割合と、国会の議席の割合が同じになるようにしています。
ある政党が単独で過半数の投票を得た場合は、その政党の党首が首相になります。しかしスウェーデンでは単独政党が過半数をとることは稀で、得票数が最も多い政党が、主張の近い政党と連立政府をつくることが一般的です。そういう理由で、現在の社会民主党連立政府は、社会民主党とみどりの党による「赤ー緑連立政府」なのです。ちなみに、「赤」は社会民主党の色、「緑」はみどりの党の色を指します。