日本の若者を「遅らせる」3つの年齢「投票権・成人・被選挙権」- 世界の潮流は?

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国民投票の年齢、4年後から18歳以上 改正案で自公合意  2013/12/6 20:04

4年後に国民投票に限って投票年齢が18歳となる見込みが決まったようだ。しかしこれは、日本の若者政策の「ガラパゴス化」をさらに加速させるとんでもない勘違い政策だ。これは普通選挙ではなく、国民投票法のみに限るのである。つまり、普通選挙の投票年齢、成人年齢等に関しては従来通り20歳のままなのである。根本的な問いは「投票年齢も、成人年齢も20歳でいいのか?」である。

投票年齢と成人年齢

その前に復習しておきたいのが、投票年齢と成人年齢の違いだ。投票年齢とは、国政総選挙の際に投票が許可される年齢であるのに対して、成人年齢とは法的に、親や保護者から単独で法律行為が行えるようになる年齢(例えば保護者の保証なしでローン契約)のことであり、日本では一般的には「成人式」が開催される年齢との認識が強いだろう。どちらも20歳と定められており、かつ20歳は飲酒、喫煙年齢も同じなので同一視しがちであるが、これらは管轄も異なるため分けて考えるべきであろう。今回の、普通選挙ではなく、「国民投票のみ引き下げ」という決定についてその理由は、

「自民党の一部には『成人年齢の引き下げは時期尚早』という声が強い。例えば18歳でも親の同意なしにローン契約を結べるようになると、若者に不正契約の被害が広がるなどを理由にあげる。」

とのことだ。成人年齢が下がるかもしれないこと、下がると若者が詐欺に引っかかる可能性があり、それを避けたいという狙いのある、議員の意見だ。子ども、若者の「保護」の観点からはこれは一理あるようにみえる。しかしそれでいいのだろうか。

世界の潮流

では世界では、投票年齢は何歳に定められているだろうか。Inter-Parliamentary Unionを参考に集計した結果、世界の約85%の国(196カ国中、167カ国)では18歳を国際選挙における投票年齢としているが明らかになった。以下の地図は別ソースであるが、日本が明らかにこの世界の潮流で少数派であることを理解するには十分すぎる地図であろう。

世界の投票年齢

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世界の投票年齢 : 黄緑=18歳, 緑=20歳

他にも16歳と定めている国もある中で、日本の投票年齢20歳は、明らかに世界の少数派だ。さらに成人年齢も約71%(140カ国)が18歳に定めており、これまた日本は東アジア圏でも浮いているのが一目で分かる。

世界の成人年齢

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世界の成人年齢 : 黄緑=18歳, 黄色20歳

成人年齢は英語ではAge of Majority つまり「多数派」「主流」という訳になるが、その認知度はあまり高くなく、そもそも「成人年齢」という考え方があまり通じない。これはおそらく、児童の権利条約で定めている「子ども」の年齢区分が18歳となっていることも大きな影響だと考えられる。

以上の2つの地図からわかるのは、国際的にみて日本の若者は他国よりも

・政治的意思決定=投票年齢

・保護者からの自立や経済的意思決定をする権利=成人年齢

がその他の国に比べて2年も遅いということだ。ここにまず2つの「2歳の差=ギャップ」が挙げられる。

しかしだからといって、選挙権年齢と成人年齢を「同時に」引き下げることには、多くの関係する法律との調整が必要であるため、現実的ではない。それぞれ、別々に引き下げることが最も現実的であろう。(この点は、10年以上18歳選挙権の実現を目指してアドボカシー活動を行っているNPO法人 Rightsが指摘している)

被選挙権年齢

さらに被選挙権年齢のギャップにも触れたい。被選挙権年齢とは簡単にいうと政治家になれる年齢のことである。日本だと、衆議院議員が25歳、参議院選挙が30歳だ。国際的にみても、被選挙権年齢と投票年齢が異なる国は多い。しかし、この被選挙権年齢と投票年齢の「差」が少々問題ありだ。その前に被選挙権年齢の世界的潮流をみてみよう。以下は筆者が集めた大陸別の世界(196の国と地域)の被選挙権年齢とその国数だ。

大陸別 被選挙権年齢

大陸別の世界(196の国と地域)の被選挙権年齢とその国数

このグラフから読み取れるのは…

・被選挙権年齢21歳が世界的にみて最も多数派の年齢であり、59カ国(約30%)が制定

・続いて、25歳が57カ国(約29%))で、18歳に定めているのは45カ国(約23%)である

・⇒21歳の時点で被選挙権が得られる国は世界で、108カ国(約55%)   

(注 108カ国には17歳,18歳,20歳, 21歳が被選挙権年齢の国を含む)

ということである。

一方で日本は20歳で投票、そして政治家として出馬ができるのは早くても25歳、つまり、若者同世代の代表を送り出すためには、投票権を得てから5年待たなければいけないのである。世界の半分以上の国で21歳で政治家を国政に輩出できる一方で、日本では早くて25歳で被選挙権、つまり、世界と4年間のギャップがあるということになる。

投票年齢と異なる点は、投票年齢はほとんどの国が18歳としているのに対して、被選挙権年齢は非常に多様である。これは国際的にみても若者は、投票はできるのに出馬できない状態が多くの国で起きているということである。しかしヨーロッパでは、44カ国中26カ国が選挙権を18歳としており、そのうち全ての国で被選挙権年齢も18歳で、選挙権年齢と被選挙権年齢が18歳で一致していることは見逃してはならない。

まとめると…日本の若者は、世界の多数派の国と比べて

  • 投票できるのは、世界の国々と比べて2歳遅く
  • 大人になる年齢(=成人年齢)もまた2歳遅く
  • 国の政治家になれるのは4歳遅い

ということである。この「2・2・4のギャップ」を埋めない限り、日本は世界に、一周どころか三周回遅れとなるだろう。

※これは単に、世界の潮流に乗れていないというだけの話しではない。投票年齢が16歳のオーストリアでは、投票に関する実証研究を行った結果、投票権が与えられた16・17歳の若者の投票率は高く、その上政治的成熟度も向上したという結論を出している。(Zeglovista, 2013)

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Comment

  1. […]                 日本は30カ国中、第7位という結果で、東アジアでは韓国に次いで2番目という結果となった。韓国に比べて、6つの指標のうち、特に市民参加と教育の項目が低い結果となった。スウェーデンと比較しても、市民参加、教育で特に差が出ているのがわかる。日本は、市民参加の項目では30カ国中23位、教育は9位、経済と治安では2位、健康は8位、情報技術は6位だ。スウェーデンは総合的に高い評価を受け、世界では2位、ヨーロッパではトップであったが、市民参加の項目では30カ国中12位であった。 日本の市民参加の項目がなぜこんなに低いのか気になり、方法論をチェックしたところ、民主主義指数(スウェーデン2位、韓国は20位で日本は23位)、若者政策の有無(198カ国のうち約6割が若者政策を保持)、被選挙権年齢(世界のほとんどは18歳で日本は20歳)、を指標に含んでいる影響が大きいように思える。とくに日本は被選挙権年齢の高さは先進国の中でも異常だ。その他にもボランティア活動に従事しているかどうか、若者に対する信頼、政府の若者に対する理解をTRU Surveyというマーケティング会社の調査をもとにしているが、オープンデータではないので具体的な中身については掘り下げることができない。(こういう時にオープンデータって大事だと思う…) […]