「ソーシャル・ビジネス」が必要ない社会を目指そう。

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今日はスウェーデンの良さを再確認した、いい日でした。午前中に静岡でお世話になっていた津富宏教授とユースセンターへ行き、夜はオロフ・パルメのドキュメンタリーを友人と鑑賞しました。

まずは午前中は毎年恒例のユースセンター訪問。今回は、スウェーデンでセツルメント運動の中で最初に建設されたユースセンター(保育園、児童館も併設)である「ビルカゴーデン( Birkagården)」へ訪問。

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このユースセンターの存在は、僕がスウェーデンの若者政策の歴史について文献を読み込んでいるとき発見しました。どうやらスウェーデンの余暇活動に関する若者政策の歴史の中で最初にできた、若者のための余暇活動施設らしいです。その設立年はなんと1912年。日本でいう大正元年ですよ。スウェーデンではこの当時、イギリスから波及したセツルメント運動のまっただ中だったようでこの施設もその当時に設立されました。この施設は、幼稚園、放課後活動、そして若者のための余暇活動の場もあるので実際にカバーしている年齢層が、1歳から25歳までなのです。他にも毎年夏には異年齢の子ども若者を一緒くたにして群島で1週間ほど過ごす恒例のサマーキャンプを開催していたり、ノンアルコール・ドラッグのクラブイベントを若者主導で開催したり、と活動も様々でした。歴史が長いだけあり、割と保守的なのかと思ったら、社会の変化、その中における若者の変化に対応することを、インタビュー相手の職員さんが繰り返しおっしゃっていたのが印象的でした。また、財源もストックホルム市からと、プロジェクトベースでその他のアクターから持ってきているようで、基本的には「財団」という形態を守ることで、競争からの利潤確保を心配せずに運営できているとのことです。こちらはまた別でしっかりレポートします。

そして夕方には、友達に招かれてスウェーデン元首相で暗殺されたオロフ・パルメの日本語字幕付きのドキュメンタリーを鑑賞。スウェーデンの社会民主党の長年の党首として、今日のスウェーデンの基礎を築いた人物でした。詳細はこちらの記事がわかりやすいです。

あれから20年 (1)− パルメの外交 - スウェーデンの今あれから20年 (1)− パルメの外交 – スウェーデンの今

Youtubeから英語版ですがドキュメンタリーも観れます。

午前中に今日のユースワーカーの現場を、午後にはスウェーデンの過去の歴史を学んで思ったのは、日本はもう一度、民主主義について学ばないといけないということです。「社会的起業」や「ソーシャルビジネス」が一時もてはやされましたが、そもそもそのような「ソーシャルビジネス」がなくてもいい、民主主義社会を目指さないといけないのではないでしょうか。アングロサクソン諸国からの新自由主義の波に飲み込まれた日本では、社会的課題を解決するには残念ながら「ソーシャルビジネス」が、ある意味で最適解なのはしょうがないように思います。しかし、ソーシャルビジネスが競争しあって「我こそは!」となって競争しては本末転倒ではないでしょうか。しかし、そうなるのも仕方ないのです。なぜならそもそものパイ(資源、財源、公共財)が少ないのですから、社会的課題に取り組む人が競争してそのパイを奪い合わなければいけません。そして、「ソーシャルビジネス」がますます注目され、「社会を変える!」で「飯を食う」という謳い文句のもとに、ますます若い人達も「ソーシャルビジネス」で社会を変えていこうがデフォルトになっていく。で、気づいたらその競争のレールに乗ってるわけです。

しかし、僕らが目指したい本当の社会は「ソーシャルビジネスの必要のない社会」じゃないのでしょうか、本当は。社会課題解決のために、似たような課題解決型のNPOが乱立して競争するような社会じゃなくて、そもそもの貧困、不平等、格差、疫病などの社会問題を限りなく少なくする社会ではないのでしょうか。それを民主主義、つまり、基本的人権を基礎として異質な他者と合意形成して作り上げていく社会、つまり社会民主主義というのではないでしょうか。そういった社会では社会的課題を公が担っているわけですから「ソーシャル・ビジネス」の必要がなくなります。

そういうグラウンド・デザインをしないとまずいんじゃないでしょうか。オロフ・パルメは暗殺されたけど、彼の唱えた社会民主主義はこうやって日本人の僕に響きました。理念は死なない、とはこういうことですね。
この夏はオロフ・パルメについての本でも読みましょうか。

Blood On The Snow: The Killing Of Olof Palme

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