日本の若者政策の文脈でよく、EUの事例が紹介されますが、その歴史的なコンテキストや大枠は掴めても、その実施のためのガバナンスは不透明でありました。(例えば、EUと欧州委員会と欧州評議会の違いなどわかりますか?)

EU議会 ストラスブール
また、2回の欧州ユースワーク大会宣言を経て、2020年に開催される予定である第三回大会にむけてどのような議論が展開されているかは、不明でした。
というわけで、文教大学の共同研究で欧州入りしてきました。今回は、欧州評議会(CoE)があるフランスのストラスブールと、若者政策の執行機関であるEUの欧州委員会のあるブリュッセルを訪問。(フランスにいる教え子にも会うことができました )
訪問先
訪問先は以下の通りです。
ストラスブール(フランス)
・ストラスブールにあるヨーロピアンユースセンター (ここで宿泊!)
・欧州評議会の若者局
・欧州評議会とEUのユースパートナーシップ
ブリュッセル(ベルギー)
・欧州レベルの若者団体の傘組織であるEuropean Youth Forum
・フランドル地方の政府における若者政策・ユースワークを担当してている省庁
・ブリュッセル内のフランドルコミュニティーの都市型ユースセンターである JES
・フランドル地方のユースワーク団体・若者団体の傘組織である De Ambrassade
これらのすべての訪問先をコーディネートしてくれ、付き添いまでしてくれたのは、ルーマニアの若者・スポーツ省の職員であるMihai Sebe 。
彼なしでは決して成し遂げられない素晴らしい訪問となりました。
訪問しての雑感
改めて、日本だと若者の政治参加(主権者教育)、若者団体(参画)、就労支援、ユースワーク(子ども・若者を対象にした社会教育全般)が、点のままでバラバラであることに気づかされました。この点を面にすることが急務。これがなくて「専門家が若者を語る」ことが相変らず起きるから、いろいろズレていくのです。欧州評議会は、若者団体・若者研究者・政策立案者を同じ席に座らせる基盤が固まってきたフェーズにありますが、日本はどうでしょうか。
例えば、De Ambrassadeが擁護しているのは、ユースワーク団体と若者協議会と若者団体。これらをカバーしているので、若者についての専門家と若者の当事者の専門性がそのまま若者の声として集約化される。おもしろいのが、ここが3つめの事業として、Youth Information 、つまり若者にかんしての正しい情報提供をするウェブサイトWAT WAT (http://www.watwat.be/)を運営して、傘下にある実践者や専門家、若者団体に記事を書いてもらっていること。そしてこの組織は法的に若者声を拾い上げる役割をになうことが位置付けられています。スウェーデンのLSU よりもよっぽど良いです。
日本では事業の改善の文脈が強い「中間支援」がNPO業界では一般的なように思いますが、市民社会の構成要素としての「傘団体」の考え方が改めて、必要だなと感じました。
ユースワークは本質的には「ファシリテートの主体」であると、ユースワークの巨匠であるHoward Williamson は言いますが、若者研究する人こそその専門性の追求による権威性に敏感であるべしですね。プロセスをどう設計するか、そこまでで良いのかもしれません。そのようなヒントが多く得られた訪問となりました。