YKさま
初めまして、綿谷江利菜です。達平くんより連絡を受けて参りました。
私自身もお嬢様と同じくドイツ生まれということで、ひょっとしたら参考になるやもしれません。
略歴:
現地幼稚園、日本人小学校、現地ギムナジウム、ベルリン自由大学卒業です。
中1から並行して日本語補習教室にも通っておりました。
結論から申し上げると・・・お嬢様の意思を尊重してあげるのが一番だと思います。自分で決めてもらってください。どんな結果をもたらすにせよ、自分の行動に責任を取らなければ、何かがうまくいかなかった時にご両親や環境のせいにしてしまうかもしれないからです。海外で育ったのだから、(周りの人から見て)それっぽい人になる必要なんてないと思います。それは、言い方は失礼ですが、親御さんの望んでらっしゃることで、当人の意思ではありません。
これまで、お嬢様は、周りのクラスメイトも似たような進路をたどっていたのもあるのでしょうけど、ご両親の意向に沿って進学してきたのだろうと想像しております。そして、今、インター卒業を控えて、進学に悩んでらっしゃいます。
客観的に見ても、選ぶに選べない状況だと思います。日本語を母国語とし、高校もインターで、今更ドイツの大学に行けと言われても戸惑うのは当然です。(お嬢様が経験する必要があるのかよくわからない)苦労は目に見えていますから・・・。大学が求めているレベルはなかなか高レベルです。ヨーロッパ系の人でも取得するのに苦労しているのですから、尚のことでしょう。ドイツ語も英語も大学でやっていくにはちょっと不安・・・とご本人が一番よく分かっていると思います。その点日本語なら・・・と思う気持ちもよく分かります。
また、ひとつ確実に言えることは、語学は情熱次第です。頭の良し悪しでも環境でもありません。その気になって(モチベーションは様々でしょうけども)情熱を注げばその分だけ伸びます。無理矢理やっているうちはやはり伸びません。日本の大学生としてドイツに留学する道もあれば、もちろん逆もありますし、順番はどちらでもいいのかなぁ・・・とも・・・。
かくいう私自身もお嬢様と似たような気持ちでAbiturを取得後に進路に悩んでおりました。日本の大学楽しそうだなぁ〜・・・東京にも住んでみたなぁ〜・・・入試もなんとかなるんじゃないかなぁ〜・・・と。ドイツ語はかなりできるようになっていましたが、母国語が日本語なので学校では悔しく辛い思い出も多かったので、もう、勉強(語学)で苦労するはうんざりだ!というのが本音だったかもしれません。
その頃、母は内心ではドイツの大学に進学して欲しかったのでしょうけど、あまり口出しはしませんでした。日本の大学の学費が高いことに関しても「お金の心配はあなたがすることじゃない。学費のためにバイトするのは絶対に許さない」と言っていました。それなりの覚悟はあったようです。周りの友人も日本の大学に行くだろうと思っていたようです。
しかし、自分なりにリサートをした結果(実際に見に行ったり、学費を調べて表にしてみたり・・・)、いくら帰国子女とはいえ、東大は厳しそうだし(子供なので東大に受かれば祖父母も少しは支援してくれるんじゃないかと思い)、私学はやっぱり高いなぁ・・・うちの家計をそこまで圧迫してまで行きたい気持ちあるのかなぁ・・・うーん・・・と思い留まり、最終的にはベルリン自由大学に進学しました。無理そうだったり、嫌だったら辞めても良いから、という母の一言で背中を押されたのもありました。
実際に進学して良かったことは沢山あります。学費もほとんどかからず、ドイツの税金でお小遣いまでもらえる留学までさせてもらいました。勉強も楽しくて、語学力も総合的にかなり伸びました。卒業成績も申し分なく、すべてが順調でしたが、就職の時期になって一気に変わってしまいます。
歴史・社会学系学科出身者は就職が厳しい時期だったこともありますが、大手企業は書類も通らないほどでした。成績優秀、留学経験あり、インターンも三つほど経験し、語学も5つできれば、それほど苦労しないだろうと思い上がっていたのです。その結果として、私を受け入れてくれるところを見定めてインターンなどをしながら就職活動をしましたが、もはや気持ちがついていかず・・・。いくらベルリンに仕事がないと言っても、社会は想像以上に厳しく、バーンアウトになってしまいました。「私は何のために頑張ってきたのかな・・・」と。
全ては世間様に認めてもらうため、母を満足させるためだったと気が付いた時はそれはそれはショックでした。いくら言語ができるようになって、周りの人がすごいねと言ってくれたって、私は私じゃない、そう感じていました。勉強が思うように進まなくて悔しくて涙した時よりもずっと辛い時期でした。
誰に反対されても自分が心からやりたい!と感じることを追求してこなかったことの代償はとても大きいものです。自我が芽生えるのが遅すぎたとは思います。でも、特殊な環境で生まれ育つ子供たちは両親の気持ちを汲み取りがちです。私自身、心配する母の気持ちを汲んで、安定した職に就こうかと迷ったこともありましたが、惰性や、周りがそうした方が良いというからという理由で就職するのはまた後悔するだけだと強く自分に言い聞かせております。
今は自分の経験していたことの活かし方や意味、また目指す方向もだんだんと見えてきたので、フリーで通訳・翻訳・MC・芸能系など、出来ることとやりたいことでバランスをとりながら生計を立てています。日本人学校時代の同級生と比べたら稼ぎも随分と少ないですが、でも、それで良いと思っています。自分で決めたことですから。
http://erinawataya.com/?p=640
この記事で私の経験を綴っております。参考になれば・・・。
お悩みになるのは、とってもよく分かります。しかし、一番悩まなくてはならないのはお嬢様本人です!お辛いかとは思いますが、お母様は人生の大先輩として、良き相談相手として、意見を言うのではなく良き聞き手として向き合っていただくのが、お嬢様の先輩(デュッセルドルフ育ちの子供同士という意味で)としては願うばかりです。
願書を出して受験をするだけなら金銭的負担もしれていますし、ドイツも日本も両方検討されてみても良いと思いますよ。ひょっとしたら、大学進学ではない第三の道も出てくるかもしれませんし・・・
生意気なことを沢山偉そうに書いてしまいましたが、お嬢様と境遇が似ているものの意見として受け取っていただければ幸いです。