2014年のTime紙の記事で、「選挙投票率を高めるスウェーデンの方法」という記事がおもしろかったのでシェアします。
スウェーデンのダーラナ地方のファールン市が選挙投票率を高めるためにやったことがまとめられています。以下、ファールン市が実際に取り組んだことです。
- 18歳の初めて投票する若者に「デモクラシーパスポート」なるものを配布
- 「デモクラシーパスポート」とは、パスポートのサイズで、ファールン市、国、EUレベルの政治機関に関してファールンの市民がどのように関わりがあり、どのレベルの政治機関がどのレベルで何をしているか、そしてどの点において市民が権力を行使できるかについてまとめているパンフレットのようなもの
- 図書館に「デモクラシーセンター」を設置
- 公の場での対話の場の提供。情報共有や学びの場になる
- 「デモクラシーナビゲーター」をフルタイムの職員として雇い、ファシリテーションをしてもらって、参加者のひとりひとりの声が聞かれるようにした
- 市のネットサービスを向上させ、市民とのやりとりや透明性を向上させた
- このプロジェクトは、ファルーン市のすべての9つの政党が合意したことによってはじまた
- 政治システムの消費者として市民からコミュニティへの直接的な参画者というパラダイムシフトの転換をすることも目的とした。
- 事前投票、手紙投票、第二投票を許可した
- 第二投票とは、事前投票した人でも選挙当日に投票所に行けば、事前投票の投票先を変えられるという制度
- またソマリア系スウェーデン人を雇いパンフレットをアラビア語に翻訳や討論会の通訳をするなどして、アラビア語を話し市民への配慮も忘れなかった
- 結果、EU選挙の投票率は45%から54%へ上昇し、スウェーデンの総選挙の投票率も82%から87%へ上昇した。 (おそらくこれはファールン市における投票率)
とのことです。
記事でも触れていますが、スウェーデンの自治体の選挙対策委員会は、4年ごとの選挙に先駆けてどのようにしたら投票率をあげることができるかを「4年かけて」準備するようです。日本は選挙が多いですが、スウェーデンは4年に一度と決まっているのでプランが立てやすいというのもあるんでしょうね。
週末のストックホルムはいい天気でした
そして本質的だなあと思ったのが、教材の配布だけに留まらず、直接的な民主主義の対話の場をコミュニティに提供していること。これ、2年前に訪問したクリスティーンハム市での取り組みとすごく類似しています。クリスティーンハム市の自治体にも、もともと若者政策を扱う部署がありましたが、デモクラシーセンターのような活動をしていくうちに、次第にあらゆる世代を巻き込んでいくことになりました。結果、部署名が「デモクラシー課」になったという象徴的な話しを思い出しました。
デモクラシー・ナビゲータ的な活動している日本の友人の様子をみると、本質を理解して実践に落とし込んでいて本当に尊敬します。
今までも様々な角度からスウェーデンの若者の選挙投票率の高い理由を紹介してきましたが、日本も今年は18歳で投票できるようになるので、さらにスウェーデンの取り組みを紹介していこうと思います。