最近、これからさらにやりたい研究がわかってきました。
・エイジズム
・組織内民主主義のメソッド
・いじめと民主主義
どれも時間をかけてやりたいと思えるテーマです。
「民主主義」を主軸に
キーワードは民主主義です。十年前は「民主主義」は政治の理念くらいにしか理解していませんでしたが、今は生活や教育のあらゆる面で不可欠であり、社会のほとんど民主主義で説明できるものだというくらいには理解が深まりました。それはスウェーデンというレンズを通して可能となりました。
「人権」を基本概念に添えるのも可能ですが、それだけだと「個人」の視点が強くなり、全体がみえない感があります。本来は違うのですが、政策も実践も対処療法的になりがちではないでしょうか。人権は被害にあってからの「権利の請願」というアプローチになりがちではないでしょうか。
ヨーロッパにおける市民社会セクターの位置付け
「民主主義」は逆に大きな、社会からの、そしてその先の未来の視点を与えるる気がするのです。「民主主義」は、「Civil Society (市民社会)」と言い換えることもできそうですが、ヨーロッパではこの「市民社会セクター」が政策領域としても大きく位置づけられているから、教育や第三セクターの政策がぶれないのではないでしょうか。それはスウェーデンの若者政策が、若者市民社会庁(MUCF)という、市民社会政策と隣り合わせであること、欧州連合がNGOや協同組合など様々な市民社会セクターに助成金をふんだんにつけている事実からも明らかです。
「市民社会政策」が学校教育も社会教育も、若者支援もユースワークも、包容しているように思います。これが起きないと、例えば教育が経済人(ホモエコノミクス)育成に偏ったりしてしまうし(それはそれであって良いがバランスが大事)、NPOも行政の下請けのままだし(国家との主従関係を維持したままで主体性が損なわれる)、営利企業が市民セクター領域に過度に入り込んでくる(草の根の市民活動をコスパ重視の営利企業によって淘汰される)ことも可能となってしまうのではないでしょうか。教育の市場化・消費主義化は、この延長にあるといえるでしょう。
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市民社政策の基盤強化が必要な理由
図の出典:福祉社会と市民民主主義―協同組合と社会的企業の役割 | ビクター・A. ペストフ, Victor A. Pestoff, 藤田 暁男, 石塚 秀雄, 的場 信樹, 川口 清史, 北島 健一
日本で必要なのは、市民社会政策の再定義と政策基盤の強化なのではないでしょうか。
スウェーデンの政治学者ペストフが作成した、この国家・市場・コミュニティ、そして第3セクター(市民社会)の関係を示したこの三角形の真ん中(市民社)を大きくすることが、やはり重要になってくるということです。日本は今では、「国家(上)」が何もせず、「市場(右下)」が大きすぎていて、結局、「コミュニティ(左下)」で世帯や家族を頼るしかない状況です。
しかし、核家族化が進み、未婚率が高まり従来の「家族像」が多様化している昨今においては、家族や世帯というコミュニティに頼れる人は限定的になってしまします。だからこそ、頼り先としての第3セクター(市民社会)を大きくすることが、重要となってくるのではないでしょうか。
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