2018年4月21日、早朝。ひさしぶりに仮想通貨が高騰し、塩漬け状態だった通貨をいくらか売りさばいてしまおうか考えているとき。スウェーデン在住の友人から知らされたのは、Aviciiの訃報でした。
スウェーデンの伝説のDJ、Aviciiが突然の死去
衝撃、スウェーデンの伝説的DJ、Avicii が28歳で亡くなりましたhttps://t.co/SW787U4Sxe
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月20日
Avicii (アヴィーチー)は、スウェーデン出身の世界的に有名なDJです。オマーンで死が確認され、原因は不明。若すぎる死に世界が驚き、Twitterの接続が一時的に切れるほどに。
彼の楽曲がどれだけの人に愛されていたかがわかります。
かくいう僕もAviciiには思い入れがあります。なぜなら僕がスウェーデンに留学をし、現地で暮らしていたときにはいつだってAviciiの曲が流れていたからです。2012年から2016年の間にスウェーデン(ヨーロッパの他の国も?)に留学をしていた人ならその特別な意味がよくわかると思います。
おれのストックホルム生活でいつも流れていた曲ばかり…ショックすぎる https://t.co/9jXTIxYLzM
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月20日
ショックすぎて大学の授業も開講できないくらいです。
今夜、アビーチ追悼のパーティーないですか。さもないと来週の大学の講義は「ぼくとアビーチ in Sweden」という授業を開講することになります
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
それじゃまずいので何とかして記事にすることで、気持ちを昇華させたいと思います。
Aviciiとの出会い
僕は、スウェーデン滞在時に(ニワカ)DJをしていました。といっても街中のクラブでとかではなくて、大学の学生パブで毎週木曜日にやらせてもらっていただけです。ですので、毎週プレイリストを作るときに最新の曲をチェックしていました。もちろん主にいわゆる「EDM(エレクトロダンスミュージックの略)」を流していたので、Aviciiのことは自然に知るようになりました。当時は、まだ「EDM」というジャンルが確立している時ではなかったように思います。エレクトロとかテクノ、プログレッシブハウスと呼んでいました。
僕がAviciiを知ったのは、2011年12月に初めてスウェーデンに留学をしたばかりのとき。どこの学生パブ、パーティー、クラブにいっても流れまくっていた曲がこれ。
Levels というこの曲は、中毒性があるメロディーラインで世界中で爆発的にヒットし、クラブではとりあえずこの曲を流せば間違いなしという状況でした。
この曲のみならず、当時David Guetta(以降、ゲッタ)がAviciiをフィーチャリングしていたことでもまた彼の名前を知りました。アルバム『Nothng but the beat』 に収録されている『Sunshine』でフィーチャーされたのがAviciiだったのです。この頃から少しづついわゆる「Avicii的何かへのトランジション」が、僕個人にも世の中的にもあったように思います。
ゲッタのこのアルバムのラインナップをみてもらえばわかりますが、ニッキーミナージュ、Flo Rida、 Taio Cruz、ルダクリス、スヌープ、アッシャー、will I am、などのわかりやすいアメリカのBillbordチャートで上位をしめるポップアーティストばかりが名を連ねています。ゲッタは、Aviciiの火付け役だったともいわれていますがこの時から、所謂、「パリピのクラブミュージック」からAvicii的なEDMへの「バトンタッチ」をしかけていたのかもしれません。
こんな曲を聞いていました
当時、僕がよく聞いていたのはこんな曲でした。
Levelsとかで有名なAviciiだけど、個人的にはFade into darkness のインストの哀愁感がすっごいスウェーデンの陰鬱な冬の天気と寒さにあってて好きだったhttps://t.co/qGVf2WLk4n
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
Aviciiの作成したインストとゲッタの絶妙なアレンジで世界的ヒットとなったこの曲は、僕のSpotifyに「Vacker House(スウェーデン語で美しいハウス)」という謎のプレイリストを作らせるほどでした。
ちなみにFade into Darknes のインストはもともと「Penguin」という名前でリリースされてた。マイナーコードが哀愁感漂わせてこれだけでもよく聞いてたな〜https://t.co/ZB14u9j2CM
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
さらにうんちくは続きます。
さらにこのインストはレオナ・ルイスの大ヒット曲「Collide」でもフィーチャーされる。しかしこれは無断使用だったのでAvicii側が訴え、最終的には曲に連名表記することで落ち着く。これまたすばらしいサンプルリングhttps://t.co/KWUtzYrNk7
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
***
マイナーコードのメロディラインが、「パリーピーポー!イェーイ!」的なノリに合うはずないですもんね。Aviciiの「EDM嫌い」はこの時から表面化していたのではないでしょうか。2012年の冬は、Aviciiも影響を受けたとされるSwedish House Mafiaらが大ブームでした。ぼくもライブにいきましたが圧巻でした。ダフトパンク、やDJティエストの影響を受け、Aviciiの曲もまた別のDJにサンプリングしまくられということがEDM界で起き始めました。
例えばAfrojackはこんな感じで。
Penguin は名トラックだったので当時売れはじめたDJ達がサンプリングしまくってた。たとえばAfrojackはこんな感じでhttps://t.co/fLCQn7gRcu
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
上述した 『Collide』のAfrojackリミックスは、傑作です。
原曲の良さを損なわずに、Afrojackっぽさを保ちパーティ感も出しながら隕石のcollideを思わせ曲調はむーーーーーーっちゃいいです。
こんな感じで、Aviciiが手がけた音源を誰かがサンプリングやリミックスした曲を舐め回すように聞いていましたね。それでたまに極上の一曲をサウンドクラウドで発掘した時には、、もう。。
Aviciiらしさとは何か?
では「Aviciiらしさ」とは何か?これに答えるには、以下のつぶやきでリンクしてる記事を読んでもらいたいです。
AviciiってただのEDMのDJなんでしょ?って人に読んでほしい
「EDMという音楽のジャンルをひとことで説明すると「パリピの曲」である。(中略)しかしAviciiの曲はつねにどこか寂しく陰鬱な魅力でひとを惹きつけつづけ、そしてその喪失感のなかの救いと光を奏でつづけた。」
https://t.co/ZS4H75VQfL— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
これはビジネスインサイダーの記者である西山リオさんの記事です。EDM専属ライターになっても良いんじゃないかってくらい、表現が控えめにいって完璧すぎています。
「Aviciiのメロディの一番の醍醐味は、「Avicii節」ともいうべき、せつなくノスタルジックでメランコリックな調のつらなりだ。それは80年代ポップ風であり、世紀末風でもあり、そしてなにより、2010年代初頭のストックホルムの路地裏の雰囲気にパーフェクトにあっていた」
https://t.co/ZS4H75VQfL
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
これらの陰鬱さ・感傷さに加えて、ストックホルムの常にフレッシュでマイナスイオンに包まれているような「透明感」を醸し出しているのがAviciiをはじめとする北欧のプログレッシブハウスです。ただの4つ打ちのダンスビートなのに不思議です。
例えばこれらの曲をアコースティックギター調にするとこんな感じになります。(Spotifyのプレイリストからどうぞ)
普通に綺麗な曲ですよね…。
美しいストックホルムの街をジョグするとき、日の短い冬の真っ暗な朝方にメトロで通学するとき、旅立つ飛行機の上空から水の都を眺めるとき、朝までのパーティー帰りに朝霧の中を歩いていくとき、そういうシーンに合う曲なんです。
一方で、普通にイケてる 『My feelings for you 』のようなパーティの前半から中盤にかけて上げていく時にかけたくなるような曲もあれば、ポーター・ロビンソンやZeddが手がけるような「ファイナルファンタジーっぽさ」が漂う曲もあります。
EDM音楽の最大の貢献は、「ダンスのための曲よりかワークアウトするための曲を創ったこと」だと勝手に思っているのですが、もちろんAviciiが立役者であったことは間違い無いでしょう。
スウェーデン人のAviciiだからこそ作り出せた表現てありますよね。「EDM=パリピ、うるさい音楽」みたいなイメージを持たれがちですけど、深掘りしていくとDJそれぞれに個性や独自の表現があって奥が深いんですよね。#Aviciirip https://t.co/0ARhRi3JyQ
— 高橋トモキ@ファーストアクション運営中 (@tomotakafa) 2018年4月21日
「音楽は製作者が育った環境や文化に規定」されるとは、こういうことなんでしょうね。ジンバブエをジョギングしてるときに、Aviciiを流してもなんかしっくりこなかったことも思い出しました。
大トリを飾ったこのライブの最後では、ストックホルムへの愛を表現したようなこんな曲が会場全体を包みました。
EDMへの嫌い
EDMが世界的ブームとなる中、EDM批判をする論調も出始めた。デッドマウスは「ボタンプッシャー(ただボタンを押して曲流す人)」と揶揄され、Tim(Avicii)もまた、彼のパロディ動画ではDaviciiとしてフィーチャされるまでにhttps://t.co/UIU9blx2Ji
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
こんな日のブレックファスト。このしょっぱさはもしかしたら涙の味だったのかもしれぬ🤔😂 pic.twitter.com/OkqBPaP3dN
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月21日
追記:死因は自殺..
アヴィーチー急死の原因は自殺の可能性(https://t.co/QR0ehtXW1s) – Yahoo!ニュース https://t.co/M2JPQEjwlE @YahooNewsTopics
EDM業界の闇が彼を苦しめたことは間違いない….— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月27日
多忙なスケジュールをこなす中、人生・幸せの意味に苦悩し、平穏の中で自分が心から好きな音楽制作に忠実でありたいことを求めた若きDJ。最後に選んだのが自殺だったということかhttps://t.co/oOY3QfOuLK #avicii #vif #rip
— たっぺい/フリーランス系研究者 (@tppay) 2018年4月27日
素敵な記事でした!ありがとう!!!
Avicii だいすきだーーーーー
嬉しいです!ありがとうございます!