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あなたがそのテーマにこだわり続ける本当の理由

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シベリアよりこんにちは。

シベリア鉄道乗車、5日目にしてようやく折り返し地点を突破し、モスクワまで残り4000キロを切りました。

なぜそのテーマなのか?国なのか?

先日、ぼくを送り出してくれた東京大学のゼミの送別会でとてもいい話をお聞かせ頂けたので、忘れないうちにシェアしたいと思います。

今、みなさん、それぞれが主体的に取り組んでいることがあります。

それは例えば研究だったり、社会貢献の活動だったり、音楽だったり芸術活動だったり、何かしらの表現活動だったり、留学だったり、海外生活だったりします。食っていくためにしている仕事とそれらが重なる人もいれば、そうではない人もいます。いずれにせよ、どの活動にしても「テーマ」があります。あるいは、活動をしている場や、生活の拠点になっている国があったりします。

わかりやすく僕の研究活動でに絞っていうと、

テーマ:若者参加

国:スウェーデン

です。

ある特定のテーマに決めて、研究や活動をしていくとある時点で

なぜそのテーマなのか?

なぜその国なのか?

なぜその活動なのか?

と聞かれることがあります。

たいていの場合は、ことのきっかけを辿ります。僕だったら静岡で若者支援の活動をやっていて、その過程で北欧へのスタディーツアーに参加したことが、このようなフィールドに入っていく直接のきっかけとなりました。

しかしそれだけがこのテーマを追求し続ける理由ならば、ある時点で別のテーマや国に移り変わっていってもおかしくないはずです。例えば、ぼくはスウェーデンの大学院が始まるまではドイツの首都ベルリンの若者政策を研究するシンクタンクで働いていましたし、昨年の夏にはリトアニアで世界の政治の透明性を高めることを目的とした国際NGOの研修会に参加したりしていました。国もテーマも異なっているので、この時点でドイツやリトアニアを拠点としたり、あるいはこれらの新たなテーマを研究対象とすることもできたはずです。

なぜやっぱりスウェーデンで、若者参加にこだわっているのか。。

その答えは?

僕の留学先のゼミは、東京大学教育学研究科学校教育高度化先行教育内容開発コースのあるゼミです。(長い名前)

このゼミに所属するゼミ生は、学部からストレートで入った人のみならず様々な背景を持った人たちがわんさかいます。

例えば、青年海外協力隊でアフリカに派遣された方や、博士課程でモンゴル・北欧研究をしている方、アメリカの大学院を出て現在は大学の職員をやりながら博士課程をしている方、さらに国内の実践を対象に居場所、共同学習の研究をしている方まで、本当に幅広すぎです。

そんな多彩なバックグラウンドを持った方たちと、留学先の教授と一年間研究を共にして、こうして見送られることになりました。こんな面子なので常に、進路や今後どうするかが話題になるゼミです。今回もいつものごとく、将来どうしようか研究どうしていこうかなどあーだこーだ話していました。

その送別会の最中、教授が教えてくれたのは

その国やテーマを追求し続けているのは、自分自身の価値観と親和性があるからだ

ということです。

たんに成り行きでその国やテーマになったのでなく、その国やテーマのどこかに自分自身の大切にしていることや、絶対に譲れないものなどの「価値観」と一致する点があったりするから、持続的にその国やテーマを追求し続けるということです。

たしかにスウェーデンでインタビューや調査をしていると随所に表出する「価値観」に僕自身も賛同をすることが多くあります。それは僕自身が大切にしたい価値観と近いものがあるということです。

さらにいうと、その国やテーマを追求し続けていると、自分が本来的に持っていた価値観を自分のうちにあることに気づかせてくれることもあります。例えば、常に誰にでもオープンであること、人を信じ続けること、誰も取りこぼさないことなどは、スウェーデンのユースワーク(若者支援)の現場に大切にされていることですが、これらは僕自身も無自覚に大切にしていましたが、現場で話を聞いたことで再認識することができたといった具合にです。

よく何故その活動を続けているのかという質問への答えで、「出逢ってしまったから」という言葉を聞きます。出逢って見過ごせなかったし、他に手を挙げる人がいなかったということですが、それはもっともでしょう。これに加えて、本人自身の価値観が、その国やテーマ、活動の目的や原理原則が基づく価値観と近いからこそ、続けられているのでしょう。

つまりそれは、自分のミッションとの親和性の問題ともいえるのでしょう。

自身の価値観と「ミッション」

送別会では最後に、教授よりマックス・ヴェーバーの「プロ倫」を引き合いに出しながら「自分自身のミッション」をみつけることを卒業の言葉としていただきました。

「自分自身のミッション」という言葉は僕自身も、静岡県立大学のキャリア概論の授業でお話しさせていただいたときにも使いました。自分自身のミッションとは、天から与えられたものでも、あるとき突然出会うものでも、金で買えるものでもありません。様々に悩み苦しみ活動をし、めげずに他者と関わり続ける中で自分の役割、つまりミッションが見出されるのです。(この言葉自体は、あるNPO法人の職員さんよりいただきました。)

僕自身もいろいろ活動をしていく中で、「自分自身のミッション」がくっきりしてきたように思います。様々な活動に手を出していますが自分の中では一貫線があると思います。それはこの一年間、東京で日本の文献を読み漁り、ユースワークや若者参加の現場の方と交流をし、様々な機会で発信させていただく中でより強固になっていったように感じます。

やりたい職業の本当の探し方

日本の水準でいうと28歳で大学院とかどうかしていますしね。当然、日本的な文脈だと普通修士2年目だったら就職活動なども終えているでしょうし、ある程度の進路の目処はこの時点でたっているでしょう。

しかし、30代はじめで日本でいう「定職」に就いている人が多い北欧にいたこともあって、あまり焦っていません。事実、スウェーデンの大学院を始めた時は僕は26歳だったのですが、最年少の中の1人でした。そういう社会があるんですよ世界には。ついでにうと、経済的には3年前から自立していて、スウェーデンの修士課程が始まった2年前から自活してきたこと、去年から個人事業主として独立して今もやれていることなどもあるので、こう思えるのでしょう。

もちろん新たな機会には常にオープンであります(!)が、一方で「自分自身のミッション」を体現する活動はこれからも続けて行きます。それは、スウェーデンのユースワークの研究であったり、日本での若者参加の活動だったり、これから取り組みを構想しているプロジェクトだったり、ブログでの発信だったりするわけです。

このブログでも何度も引用している、山田ズーニーさんの大人の進路教室のLesson20「テーマと世界観」では、自分の進路ややりたいことを探すための方法を具体的な事例を、以下の3つのキーワードに照らし合わせて探すことを勧めています。

「なりたい職業名」×「マイテーマ」×「実現したい世界観」 

この考え方はとても好きで、例え「職業」が自分の自己実現の場になるのか不明であっても、「マイテーマ」と「実現したい世界観」があればそれが軸となり進路・キャリア選択の軸になるからです。

僕の場合だと簡単にいうと

マイテーマ=ユースワーク、若者参加

実現したい世界=スウェーデンのよう持続可能な包摂型な民主主義社会

なのでしょう。職業は、今はフリーランスですが今後どうなるかはお楽しみにという感じですね。

一方で、テーマも、実現したい世界観も「不変」ではなくて常に変わっていくんだという心持ちで新しい世界や価値観に出逢って、実現した世界観もさらに深めてアップデートしていこうと、自分自身に期待していきたいですね。

まとめると、

・みなさん自身が今その活動をしているのには理由があり

・それは自身の価値観と近いから続けているということ

・そしてそれはみなさん自身の世界観でありミッションであり

・それは他者と関わり続けていくことで見出され常に変化していく

・テーマや世界観があると職業は手段でしかなくなる

ということです。

節目節目で考えたい自分の大切にする価値観とミッション、という話でした。

モスクワまで残り、2000キロです。

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