スウェーデンで就学・就業をしていたのにビザが下りなかった理由と、ビザ申請で気をつけるべきポイント

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私は3年近くスウェーデンに住んでいたのですが、2016年の春に居住許可証がおりなくて、日本への帰国を余儀なくされました。

こうしてぼくはスウェーデンから強制送還されることになりました。
正確にいうと、強制送還されないために帰国です。はい、先ほどチケットを予約しました。この3月15日に日本に帰国いたします。本来なら少な...

スウェーデンで通っていた大学院にも在籍しながら日本の大学に留学することができ、仕事も日本からできるようになったので、結果的には生活に大きな支障はありませでした。

しかし、もし仕事も学業もスウェーデン国内でしかできなかったなら、私の生活やキャリアは危機的な状態に陥ったはずです。

今回はせっかくなのでどうして私がスウェーデンから帰国せざるを得なくなったのかをシェアしたいと思います。そしてその中でできることがあったのかを、明らかにしたいと思います。

なおスウェーデンで経験したことなので、スウェーデン以外に住んでいる人・スウェーデン以外の国への移住を考えている人は、参考程度にお願いします。

私が提出した書類

2015年の5月にそれまで有効だった居住許可(ビザ)が切れました。新しく申請する必要があったのですが、その時点ですでに今も仕事をしている現地のIT会社で働いていたので、「学生ビザ」か「就労ビザ」のどちらかを選んで申請することができました。学生ビザのほうが1カ月あたりに最低限必要な収入額が少なくてすんだので、私は学生ビザを選択することにしました。

学生ビザを申請するときには以下の書類を移民局に提出する必要があります。

  1. パスポートのコピー
  2. 大学のプログラムの入学許可書
  3. 1年以内のスウェーデン滞在の場合、その間の海外保険証(スウェーデンの社会保障番号を取得している場合は不要)
  4. 滞在期間中の生活費を賄える財政力を証明できる書類(銀行口座情報、あるいは奨学金などにより、もしくは毎月どれくらいの資金がどのくらいの期間入ってくるのかを証明する書類)

現地の会社で働いていた私は、スウェーデンの社会保障番号を持っており、保険証を提示する必要はありませんでした。そこでそれ以外の3点を提出したのですが、4つ目の「滞在期間中に生活できる財政力を証明する書類」が問題を引き起こすことになりました。

申請の準備

この書類では、滞在1カ月につき最低9万4710円 (8010 SEKを2016年10月現在のレートで換算)をどのように確保しているかを明記しなければなりません。つまり、残りの在学期間である10ヶ月 × 9万4710円 = 約95万円が、申請時点で銀行口座に入っているか、奨学金でその額が保障されているかを記す必要があります。もし仕事をしているなら雇用契約書を提出し、修学期間中は毎月8010 SEK 以上の収入が保証されていることを証明することになります。(雇用契約書の提出のみで大丈夫かとうかは、事前に移民局に問い合わせて確認をしました。)

私はその時点で、仕事をしており毎月8010 SEK以上の収入を確保しており、雇用契約も就学期間を十分にカバーしていたので、雇用契約書を提出することにしました。奨学金も、仕送りもなかったので、そうするしかないと言った方が適切ですが。

雇用契約書がここでは鍵になると思ったので、念のため会社の社長にも相談し、移民局からも社長に必要な事項を電話で説明してもらい、さらに社長に手紙を書いてもらって万全にしたのでした。

一度目のビザの拒否

2015 年9月、移民局から連絡がありました。居住許可証を受け取るための通知かと思ったら真逆で、「居住許可を出せない」ということでした。

Photo credit: Tony Webster via Visual Hunt / CC BY

拒否の理由は、雇用契約書の内容の不備。この雇用契約書ではビザ発給に十分な財産を証明できていないということでした。「ここまでやったのに?」と信じられませんでした。

しかし、あきらかに8010 SEK以上の収入があったのでこの判決には私も社長も申請書類に不備があるとは感じられなかったので、この判決に不服申立てをすることにしました。不服申立ては移民局ではなく、移民裁判所にすることになっています。

移民局からの書面からは、何が理由で申請が拒否されたのかはっきりとはわからなかったので、社長と提出した書類を一通り読むことにしました。そこで気づいたのは、確保できている収入が税抜か、税込みでボーダーラインをギリギリ下回っている可能性です。私の雇用契約書はフルタイムのうちの50%~100%の時間働けることになっていました。つまり、1週間を40時間とすると、20時間から40時間自分で裁量権を持って働けるという内容でした。そして、もし50% (20時間)しか働いていていないと仮定して、この8010 SEKが「税抜」だとした場合に、わずかに8010 SEKに達しないということに、却下理由があったのかもしれないひらめいたのでした。というかそれしか、落ち度が考えられなかったのです。

そこで雇用契約書を更新し、「最低でも私はフルタイムのうち60%以上働かなければいけない」ということにして、書類を整え直しました。(しかし、ビザを拒否された理由の説明は不明確だったので暗中模索の状態で申請するしかなかったのです)

この不服申立てを拒否されるわけにはいかなかったので、追加で書類を添付することにもしました。就学期間に必要とされる金額をカバーする額の金額が入った銀行口座 (8010SEK × 10ヶ月)でした。日本の銀行口座と、スウェーデンの銀行口座、その両方に就学期間に必要とされる金額(8010SEK×10カ月)が以上が入っているという口座証明書を作ってもらい、提出しました。もちろん社長にも移民裁判所に連絡をとってもらい、私の状況を説明する手紙も改めて書いてもらいました。

二度目のビザの拒否

そして2016年の2月になりました。この時点で、もう初めてのビザ申請から半年以上経っています。

そして移民裁判所から通知が届きました。「移民局の判定を覆すことはない」ということでした。つまり、不服申し立ては通らなかったということです。

理由はなんと「銀行口座に十分が金額があるも、これを提出すべきは、ビザの切り替え時あった去年の5月時点であるべきだった」ということでした。

銀行口座は、雇用契約書を提出していたので、補完的な追加書類だったにもかかわらず、今度はその銀行口座の提出が「遅かった」という点に目をつけたのです。

粗探しとはまさにこのことで、これだけ時間かかったのはそもそもなぜですか?と思ってしまいました。だったらちゃんと、なぜ一度目の拒否で理由を説明しなかったのでしょうか。そもそも結局銀行口座の残高しか判断基準にしないのなら、なぜ最初からそう伝えないのか、いろいろ怒りが湧き上がってきました。もちろん私の書類不備もありました。しかし最終的には、雇用契約書も銀行口座も提示したのにこのザマだったのです。

私も社長も呆れ果てました。

弁護士に相談するも…

この判決文が届いた次の日の朝には、社長が紹介してくれた弁護士と相談をしました。まだ不服申立てができたからです。しかし、弁護士から以下のようなアドバイスをもらいました。

「次に不服申立てをすると、最高裁判所になるが移民裁判においては毎年10件しかみてもらうことができない。よって最高裁判所がこのケースを取り上げる可能性は低いので、強制送還のリストに載って警察に追われる前に、出国した方がいい。それからまた新しい居住許可証を申請すればいい」

最高裁には一応不服申立てをしましたが、その時には日本行きのチケットも同時に予約していました。

その後、日本大使館に相談するも大使館は基本的にはスウェーデンの行政機関の方針を尊重するということで、止むを得ず帰国することに決めました。

正直ここまでやってもダメだったので、私自身は移民局の判断を疑うことしかできません。逆にこれ以上、どういうステータスで、何をすればいいかを考えることの方が難しいいくらいです。期限、書類の完備、しつこくメールや電話で連絡を取り続けるのは当たり前です。

しかし、ここまでやってもダメな時もあるものなのです。

唯一、あげられるのは弁護士への相談のタイミングです。弁護士に言われたのは、「この一つ前の不服申立ての段階だったらなんとかしてあげることができたかもしれない」ということでした。最高裁判所が扱える件数というのは限られており、それは「変えることができない外部環境」であったからです。ですので、一度目に拒否の判定をもらった時点で弁護士に相談することが妥当だったということでした。

弁護士というと金銭面が心配になりますが、難民支援などにとりくむ弁護士団体などは金銭面を心配せずに相談にのってくれます。私の場合は、Fridh Advokatbyråという団体から弁護士を紹介してもらえました。万が一に備えて、こういった弁護士が存在していることを頭に入れておくようにしておくといいでしょう。

類似事例

似たようなケースありました。

http://www.thelocal.se/20160507/linkedin-man

彼はバングラデシュ人でスウェーデンの仕事をLinkedin経由で発見し、現地に移住して働き始めてワークビザを申請したものの、却下され帰国しました。理由は、雇用側の求人プロセスにありました。スウェーデンで外国人を雇う際にはスウェーデン労働局(Arbetsförmedling)を通じて、求人掲載をしEU内に周知させる義務があるというルールがあります。

これに基づいて求人がされていなかったからです。雇用主側の求人広告の掲載がLinked Inだけではダメだったということです。しかし、彼は仕事をしスウェーデン語を学び税金も払っていました。さらにLinked Inといえば世界最大の求人ソーシャルメディアです。そこでの求人告知すら、認められなかったのです。

結果、この判決を不当であるとし、不服申し立てをしました。(多くの署名も集まりました)

しかし、やはり判決を覆すことができず帰国を余儀なくされたのでした。

ビザ申請時に気をつけるべきポイント

いずれにせよ、これから申請する方には以下のことに気をつけるようにしていただければと思います。

  1. 居住許可の取得は最優先させる。居住許可がないと何もできないから。
  2. 申請期日を確実に守る (早すぎてもだめ)
  3. 申請書類は、完璧に仕上げる
  4. 不明点は、移民局のホームページを「サイト内検索」するなどして洗い出す。
  5. それでも不明な場合は、ただちに移民局に連絡をとって確認する(英語で大丈夫)
  6. その際、電話ではなくメールにする。(そうすると混乱・誤解が少なくなるし、不服申し立て時にメールのコピーが証拠になる)
  7. 現地の日本人とつながり、弁護士などからサポートを受けられるようにしておく
  8. すべては「自己責任」という認識しつつ、あらゆるネットワークを駆使して、助けをお願いする。
  9. 夏休みなど長期休業に突入すると返事が遅くなるので、できるだけそれまでに済ませる。

まとめ

通常は、スウェーデンの大学院に入学する時点で、学生ビザ申請をし、ビザ下りたらプログラムが終わるまではビザがおります。そして、学生ビザの申請は3ヶ月以内に返事が来るという決まりがあるので問題はないはずです。

私の場合は事情が複雑だったこともあります。同居(サンボ)ビザを持っていたので、それが切れるタイミングで切り替えをしなければいけなかったからです。

しかし、このようにして全てを尽くしてもうまくいかない時もあるようです。移民局が居住許可を出すかどうかの最終的な判断基準は、「資金力とそれを証明するもの」に限ります。

私の場合、すべて用意しましたがそれでもダメででした。その点においては今でも納得できません。移民局の、居住許可ユニットのマネジメントが機能しているのかどうかという点においての疑問あります。たとえば、わたしのケースをあつかっている担当者が、ころころかわって連絡が一本化されていないことなどです。未だに、私が「スウェーデンから日本に帰国したかどうかを確認したいからパスポートのコピーを送るように」という連絡が届くことも、それを示唆しています。

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