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オープンデータで社会を変える方法!活用事例を3つ紹介

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汚職・腐敗の防止を目指す国際NGO 、トランスペアレンシー・インターナショナルのサマースクールで、オープンデータの有効な活用方法を教えてもらった。

ぼくが参加したグループワークはこちら。”How to turn open data to super power?”  つまり、「オープンデータをスーパーパワーにする方法」というセッション。ホストをつとめるのは、ドイツからのゲスト、Journalism++(ジャーナリズムプラス)の創設者でありCEOのニコラス。

彼は、同団体でデータを基盤とした調査を用いた報道のための、ツールやウェブサイトの開発や、自身もそれらを活用したジャーナリズムを行っている。今回、ニコラスはデータを最大限に活用する方法を、事例とツールとともに紹介してくれた。

オープンデータの活用事例

ニコラスがCEOを務めるJournalism++が実際に作成したウェブサイトは、データを可視化してユーザーの利用しやすさを高めた、いい事例である。その中には受賞歴のある作品もある。

報道の自由度ランキング

以下の地図を目にしたことがある人は多いだろう。

これは、パリの本部を構える国際NGO「国境なき記者団」が作成した「世界報道の自由度ランキング」に基づいて作成された地図だ。トップは北欧諸国で、フィンランド、オランダ、ノルウェーが上位を占め、日本は72位と順位が大きく下がったことで大きく報じられた。

キャスター一斉降板問題などで国際NGOが日本の「報道の自由度」後退と指摘。

地図は、白→黄色→オレンジ→赤→黒の順番で報道の自由度が色分けされており、一目で世界の状況がわかるようなっている。ホームページ上の地図は、インタラクティブな仕様となっており、国をクリックするとランキンング順位と、詳細が記述されたページへのリンクが表示される。

Reporters Without Borders (RSF) presents the 2017 World Press Freedom Index.

このインタラクティブマップの作成をしたのが、ニコラスがCEOを務めるJournalism++なのである。ただのランキング表だけに留めるのみならず、このようにしてユーザビリティを高めているという点において、評価ができる好例である。

The Migrants File

Journalism ++の別の作品に、「The Migrants File」がある。このページではUNHCRなどの公開されているデータを用いて、ヨーロッパの移民・難民問題に関するデータを可視化している。15以上のヨーロッパの国からのジャーナリストらと、ともに作成された。

The Migrants Files is a consortium of journalists from over 10 EU countries. It is coordinated by Journalism++.

例えば以下は、移民・難民が死亡した場所と人数を可視化するページだ。

地図上の赤い丸の大きさは、ヨーロッパに渡る途中で亡くなった移民・難民の数の大きさに比例しており、クリックすると具体的な数字が表示される。

2013年から始まったこのプロジェクトは、ヨーロッパにたどり着く過程で消息が途絶えた移民・難民のデータベースが利用可能でなかったことが発覚して始まった。それまでは、感情的な議論が多かったヨーロッパの移民政策に、数字という裏付けを伴った議論を促すことに貢献することが、プロジェクトのひとつの役目であった。結果、多くのメディアやアーティスト、NGOや活動家、地方政府に引用されることとなった。さらには、同プロジェクトが開始されててから、国際移民機構などの国際組織が独自のデータ収集を開始するようになった。中には、死亡した絶対数よりも、ヨーロッパへのルート別の死亡率などもはじき出す調査なでも現れたという。

The Migrants Files: The Money Trail

The Migrants Filesは、他にも欧州加盟国の移民政策の出費に関するインフォグラフィックスも、公開している。このインフォグラフィックで伝えようとしているのは、EUの移民政策がどれだけ移民・難民の帰国送還に費用を投じているかということだ。

データによると、28EU加盟国とノルウェー、リヒテンシュタイン、スイス、アイスランドは、2000年以降、数百万人の移民・難民を送還しておりそこに投じられた費用は、11.3 ビリオンユーロ(100億円以上)である。サイト上のインフォグラフィックをみると移民政策の他の部門に投じられた費用と比べて、送還にかけられた費用がどれだけの割合で高いかが直感的にわかるようになっている。

最下部の「Deportation」が送還にかけられた費用。画像は途中で切れているが、サイト上では、このカーキ色の部分がスクロールダウンしても、しばらく続くように表示される。

調査段階において明らかになったのはベルギーを除くほとんどの国で、強制送還にかける費用が試算されていないということであった。スウェーデンとスイスは、送還の際の渡航費用は明らかにしているが(一時的な)留置の費用は、追跡していないという。移民政策は、欧州全体に事柄であるにも関わらずに、このような移民・難民の強制送還にかける費用が明確になっていないということで、データを独自に収集し可視化したのがこの取り組みである。

Journalism++の、これらの記事は高く評価され、大きな影響を与えた。実際に、2015年の欧州プレス賞、2014年、データジャナリズム賞も受賞している。

データには物語が必要

ニコラスは、オープンデータが本当に社会を変えるために必要なこととして、視覚化(Visualization)の重要性を唱える。しかし、だからといって単にわかりやすく芸術的なインフォグラフィックをつくればいいというわけでもない。視覚化(Visualization)が本当に活きるためには「ナラティブ(物語)」に注目する必要があると。つまり、そのデータが存在する歴史的・社会的文脈を考慮し、その上でデータをどのような切り口でストーリーをつくるかということだ。むしろThe Migrants Filesの場合は「問題意識」が最初から明確であった、ストーリー先行型といえるだろう。

次回もまた活用事例を紹介しようと思う。

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