留学すべきか悩んだら考えたい、たった1つのこと

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2011年4月11日のNHK「クローズアップ現代」で「18歳は大人か!?~ゆれる成人年齢引き下げ論議~」が放送された。内容は、未成年住民投票、スウェーデンの若者団体の紹介、未成年模擬選挙などであった。スウェーデンに留学中の僕がこの番組のテーマを知ったのは、日本にいる友人のTwitterでのつぶやきからだ。

「自分たちが社会に影響を与えられると感じている若者の割合は、日本が24%であるのに対し、スウェーデンは65%に上っています」

これを見た僕は、持病の椎間板ヘルニアが再発せんばかりにびっくりした。なんとこのデータは2年前に僕がスウェーデンでとったアンケート全く同じ結果だったからだ。それもそのはず、ニュース・ソースは僕が所属するNPOに取材依頼がきていたからだそうだ。このアンケートは2年前(2009年)のゴールデンウィークにスウェーデンに訪れた際に、首都ストックホルムの駅前でとったものと、別の日に同じアンケートを静岡でとったものとを比較したものだ。このアンケートの結果を裏付けるように、スウェーデンには、若者が社会に対して影響を与えることができる機会が豊富にあることを、この時に参加したスタディツアーで目の当たりした。このスタディツアーではNHKで出てきた若者団体や、若者政策を担う省庁や学校、余暇施設などを訪ねてインタビューを行い、いかにスウェーデンの若者の声が社会に届いているのかを実感した。現に昨年、世界最年少18歳の国会議員が誕生したのは記憶に新しい。日本でもこうなったらいいなと思い、スウェーデンでの秘訣を探るために、このとき僕は留学を決意した。

なぜ”留学”なのか

そもそもなぜ僕がこのような目的を持って、留学をすることになったのかというと、それはアンケートを取るずっと前からひとつ、続けていたことがあったからだ。
留学前の大学2年の春、若者支援をおこなう学生団体を大学教授と立ち上げ、支援活動をおこなってきた。「若者による若者支援」をモットーに、これまでに中高生の企画実現を大学生がサポートする事業や、講演会や上述のアンケート、冊子の発行などを行ってきた。現在は代表を退いてOBとしてサポートをしているが、今年からはありがたいことに内閣府からの委託事業を受けるなどして、少しずつ活動の幅を広げている。その活動のなかで、「若者が社会に参加できるようにするには、どうすればいいのか?」「そもそも若者が社会に参加するってどういうことなのか?」という疑問がふつふつと浮かんできた。そんな中でひょんなことから、スウェーデンのことを知り、スタディツアーに思い切って参加してしまったことが、今の2年間休学してのスウェーデン留学につながった。

そして今 (2012年5月時)、多くの方からの助けと応援を支えに、ストックホルム大学の子ども・若者学部にいる。現在僕は、卒論も書いたこともないのに修士論文を書き上げるコースを取ってしまい、その課題の多さ、添削の厳しさに日々絶望の声をあげている。多くの留学生がヨーロッパの格安航空会社を利用し、競うようにしてヨーロッパ旅行を楽しんでいるのを横目に、僕はこの課題とせっせと向き合っている。しかし「絶望の中にしか希望はない」という言葉があるように、一方では充実した毎日を送っている。これこそ僕が勉強したいと思っていた長年のテーマであり、一生涯かけてでもやりがいのあるテーマだとも思う。

学生団体立ち上げの「原体験」

ここまで僕を突き動かすのは、3年前に学生団体を立ち上げ活動を続けた「原体験」があるからだ。3年前の僕は「起業したい!」という”若気の至り”でとにかく何かでかいことをしてやろうと意気込んでいた。そして様々な学生団体の活動や起業塾などにも参加した。がむしゃらに進もうとしていたのだ。そんな時に、先程の教授に声をかけられ、団体の立ち上げをすることになった。しかし、イベントを企画したり、プロジェクトを進めていく過程で多くの方と出会い、僕自身が社会を身近に感じるようになっていた。同時に、自分に対しても自信が持てるようになった。「ああ俺でもできることがある」と。若者が社会と関わり、そのつくり手となれるとき、最も勇気づけられるのは、若者自身であることをこの時に感じたのだ。これが僕の「原体験」である。この「原体験」をもっと多くの若者にしてもらいたいという思いで、今も活動を続けている。

このような「原体験」のおかげで僕は、留学生が仲良く暮らしている学生寮に住めず、孤独にアパートに借り暮らしをしていても、希望を持って日々を過ごすことができている。僕がこれから留学を考えている人、留学をあきらめようとしている人、今留学をしている人に伝えたいのは、英語のスキルアップの方法でも、いい大学に入る方法でも、異文化交流のすばらしさでもない(もちろんそれぞれすばらしい)。

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この「原体験」を持っているかどうかだ。

これは単に明確な留学の目的を持っているかどうかという問題ではない。英語の上達、異文化交流を目的にするな、と言ってるわけでもない。それらが自分の人生の目的でいいのかどうかとうことである。

留学は確かに素晴らしい。英語という世界中の人がわかる言葉で誰とでも通じ合うことができ、これまで知らなかった世界を知れる素晴らしい機会だ。しかし、だからといって僕は留学をごり押しするつもりはない。そんなことよりも、自分がこれからの長い人生で打ちこめる「何か」を見つけるほうがよっぽど大事だと思う。別にそれは海外じゃなくてもいいし、むしろ自分がホントにやりたいことであればなんでもありだと思う。英語が必要とされる時代だからとか、っていう他人の動機を気にして留学しちゃうよりもそのほうがずっといい。そうしないと、いざ留学しにきたとき、何も勉強しなくなる。目的がないから、とりあえずの行事に参加してある程度の英会話で終始する毎日になる。留学したくてもできなかった人だってみてきたから、僕はそんな毎日は耐えられない。

もちろん勉強していく中で興味関心を掘り下げていったり、留学の過程で「原体験」と出会い、自分が熱を持って取り組むことを見つけることができるかもしれない。しかしそれだったら、じゃなんで留学前からそれをやらないの?と思ってしまう。留学したその先、海外にしか「原体験」はないのかな。僕はそうは思わない。

自分がやりたいことに忠実であることには、「世間体」とかリスクとかあるから勇気がいるけども、自分に正直であることが「原体験」をもたらし、一生の幸せをもたらすと思う。それは仕事かもしれないし、恋愛かもしれない。

「原体験」の探し方

今、原体験がないという人は、これから探せばいい。だけど、実は過去に「原体験」をしていたという場合もある。その点を線に紡ぐのか、言葉であり経験であり、人との出会いだと思う。山田ズーニーさんが「自分のやりたいことは自分の中にあるのではなく、他者とのつながりの中にある」(大人の進路教室)と言ったように、他人とつながり、何かをしてく中で自分が見えてくることもある。そこから「原体験」を探してみてはどうだろうか。

留学はそれから考えてみてもよい。少なくとも僕はこの”核”や”背骨”になるような「原体験」なしには、今の絶望的な留学生活を送る「覚悟」はつかなかったと思う。ここまでやれば休学なんて全然怖くない。そして、異文化交流、英語力はその後の”おまけ”でついてくる。

最後に、僕の留学を応援してくれた家族を始め、昔からの友人、大学でお世話になった教授や先輩、後輩、そして同じ志をもってともに活動をしている仲間、すべての人に感謝の言葉を贈りたい。

 ※この記事は日本ギャップイヤー推進協会に寄稿した記事に修正を加えたものです。

この本を引用しました。進路に悩んだたときにオススメです。